自動運転に欠かせない「LiDAR」がスマホのカメラを壊すってマジ? 噂の真相を大手サプライヤー「ヴァレオ」に聞いてみた
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WEB CARTOP より
撮ったらスマホが壊れる?
自動運転を支えるテクノロジーは、運転制御を担う人工知能と、周囲の状況を精細に検知するセンサーが二本柱となっている。
現時点の主流である先進運転支援システム(自動運転レベル2)における主なセンサーは、カメラやミリ波レーダーとなっている。そして、より高度な自動運転(レベル3以上)ではLiDAR(ライダー)と呼ばれるセンサーが重要になるといわれている。
LiDARとは、「Light Detection And Ranging」の略称。目には見えない近赤外線のレーザー光をパルス状に放射、その反射データによって物体の形状や距離を緻密に計測できる空間センサーのことだ。その高性能ぶりはミリ波レーダーやカメラの比ではないといわれ、高性能な自動運転に欠かせないといわれることもある。
実際、世界初の自動運転レベル3を実現したホンダ・レジェンドには当時最新のLiDARが備わり、周囲の状況を検知していた。

そんなLiDARだが、「スマホやデジカメを壊す」といった噂が流れている。モーターショーのような場所に展示されているLiDARを撮影したことで、カメラやスマホのイメージセンサーが破損したという報告も少なからずあがっている。現在はLiDARの装着車は少なく、そうした問題はごく一部でしか発生していないが、自動運転が広がっていき、LiDAR搭載車が増えてくると、イメージセンサーの破損は日常になってしまうのだろうか。
スマホやデジカメについては「自動運転車を撮影しないように」と注意喚起すれば済むが、もし監視カメラのセンサーがLiDARによって破損するようになったら社会的な大問題になりかねない。はたして、次世代センサーの筆頭であるLiDARの問題は解決できるのだろうか。
そこで、LiDARの市販・量産について14年の経験をもつメガサプライヤー「ヴァレオ」に質問を投げかけた。前述したレジェンドのLiDARもヴァレオ製であり、世界で初めてLiDARを搭載したアウディA8に提供したのもヴァレオである。もっともLiDARの知見をもつ一社であるヴァレオの回答を、ここで共有したい。

安全な波長を使用しておりカメラへのダメージはない
──LiDARによるデジカメやスマホの破損について、原因を教えてください。
昨今報告されている、LiDARによるカメラ損傷の問題は、波長1550nmのLiDARセンサーに関連するものです。1550nmはより高い出力での使用が可能ですが、その一方でカメラのような精密機器に損傷を与える可能性があります。
※nm=ナノメートル、ここではLiDARが発する赤外線の波長を示す
──量産モデルへの搭載実績もあるヴァレオのLiDAR「SCALA」シリーズも同じ問題を抱えているのでしょうか。
ヴァレオの『SCALA』LiDARセンサーは、905nm帯の光源を使用しているため、この問題の対象外です。905nmベースのLiDARは放出される光の出力が大幅に低いため、このような問題は発生しません。

──センサーとしては1550nmの波長を使うほうが性能を高められる面もあると思いますが、905nmのLiDARにこだわる理由を教えてください。
ヴァレオは14年以上にわたる車載LiDARの研究開発を通じて、安全性と信頼性に関わる厳格な規制および製品コンプライアンスのもと、お客様のパフォーマンス要件に最適に合致する技術を選択してきました。
とくにカメラへの損傷に関する懸念は、弊社の長距離LiDARセンサーに1550nmの光源を採用しないという決定を下す際の中心的な判断材料となりました。現在生産されている弊社のすべてのセンサーは、レーザーの安全性および実地運用における厳格なコンプライアンスに基づき、905nm帯の光源を採用しています。

ヴァレオの見解によれば、低出力の905nm光源を使うLiDARであればカメラのイメージセンサーを破損することはないということだ。つまり、自動運転テクノロジーの進化に伴ってLiDARを採用するクルマが増えてきても、社会的な問題となる可能性はかなり低い。
また、ヴァレオによれば同社の最新世代LiDAR「SCALA3 Evo」は、ガラスによる赤外線の減衰という課題を乗り越え、フロントウインドウ内側に設置できるよう進化したという。これまでLiDAR搭載車では、ルーフ先端やバンパーなどでセンサーが目立ちがちだったが、これからは存在が気になることのないLiDARが増えることになりそうだ。




































