ターボってガソリン喰いまくりのエンジンじゃなかったっけ? いまどきのターボがむしろ省燃費な理由
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WEB CARTOP より
ターボエンジンの燃費が向上した背景
かつて、ターボエンジンといえば、高出力だが燃費が非常に悪い、という認識が当たり前となっていた。これは、よく考えなくてもわかる話で、ターボ過給によって多量の空気(酸素)をシリンダー内に送り込み、それに見合った燃料(理論空燃比というかそれ以上に多い燃料量)を供給することで、爆発的なパワーを得ようとしていたからだ。

ところが、時代の流れとともにターボチャージャーの捉え方が変わってきた。きっかけは、環境保全、省燃費を前提条件に据えた「ダウンサイジング」の登場だった。ダウンサイジングは、端的にいえばエンジン排気量の縮小化のことで、不用意な大排気量はやめ、必要に応じた排気量設定こそが合理的、という考え方だ。たしかに、絶対的な加速力や超高速走行の維持にエンジンパワーは必要不可欠だが、そのためには大きな排気量が絶対条件となる。しかし、その一方で高速道路での巡航走行や一般市街地の走行には強力なエンジンパワーは必要ない。この両者、いってみれば相反する要求性能となる。

ところが、この問題を一発で解決できる対応策があった。ターボチャージャーの活用である。ターボチャージャーは、大気中に捨てていた排気ガス(熱エネルギー)を使って吸入気を圧縮し、見かけ上のエンジン排気量を増大させるデバイスだ。それゆえ、かつてのターボチャージャーは、出力向上のみに目が行き、過給をかけてガンガン燃料を送り込めば大パワーが得られる、という捉え方をされていた。ところが、ダウンサイジングの発想が生まれた段階で、必要に応じてエンジン排気量を変えられるデバイス、という認識に変わったのである。

要するに、パワーがほしい場面(大きなアクセル開度が必要な場面)では、過給効果によってパワー(排気量)を上げ、小さなアクセル開度で済む場面には、ターボチャージャーを使わず燃費に優れた自然給気の小排気量エンジンで使おうという考え方だ。
さて、過給効果によってエンジンパワーを増大させるターボチャージャーだが、現代のダウンサイジングターボを体感すると、なんのためにターボチャージャーを装着しているのかという、目的意識をはっきり理解することができる。伝わってくるのは、かつてのような圧倒的なパワー感でなく、なに不自由なくクルマを走らせるパワー感やトルク感で、結果的に小排気量設定により、燃費性能が格段によくなっているという事実である。

ダウンサイジングターボは、必要な領域で必要なぶんだけ過給をする設定により、燃費性能を引き上げる効果を生んでいる。とくに、ターボチャージャーが苦手とする低回転域での特性改善が、より燃費性能を改善する効果を発揮している。
ターボ本体以外も進化している
では、どんなところが進化してきたのか。
まず、ターボチャージャー本体から見ていくと、CFDを活用した高効率型タービンブレードの開発・設計、過給レスポンスの向上に結び付く電動ウエストゲートの採用など、タービンをまわして過給を得るという基本原理はかつてと同じだが、ターボユニット自体は大きく様変わりしているのだ。

ターボユニットの性能向上に歩調をあわせ、霧化効率の高い燃料噴射インジェクターの開発・採用も大きく効いている。簡単にいってしまえば燃焼効率の引き上げだが、加えていうなら燃料噴射方式に関しても、吸気管内に噴射する間接噴射からシリンダー内に直接噴射する直接噴射方式、いわゆる直噴方式の実用が大きなポイントとして効いている。シリンダー内に直接燃料を噴射するため、ノッキングを抑えたり圧縮比を高く設定でき燃焼効率が向上。かつてと同じパワーを得るのに、少ない燃料量で済むようになったのだ。
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NISSAN DESIGN D3-3[/caption]
効率向上に関しては、各種電子制御技術の進歩も大きなポイントになっている。最終的には、熱効率の引き上げにつながる要素だが、1ccの燃料を可能な限り効率よく燃やし、エンジン側での損失を減らし、どれだけクルマを走らせるエネルギーとして活用することができるか、この考え方がダウンサイジングの基本となっている。
また、全般的な自動車テクノロジーの進化も見逃せない。
とくに大きな効果があると考えられてるのが空力性能だ。ただ、空気抵抗は速度の2乗に比例して大きくなるため、市街地走行のような走度域では効果は得にくいが、高速走行時には大きな違いとなって表れてくる。同じ速度で走ろうとした場合、空力に優れればそのぶんだけアクセル開度を小さくできるのは大きい。

走行抵抗の軽減も同様だ。エンジンの回転力をタイヤに伝えるまでの駆動系の抵抗軽減(機械損失の低減)だが、実際のところ、それほど飛躍的に進歩したという領域の話ではなく、極端にいえば、ミッションギヤ1枚にいたるまでの回転抵抗、摺動抵抗の低減を積み重ねる地道なレベルでの話だが、それらが集まることで確実に機械的な損失を引き下げる効果を発揮している。この考え方は、回転抵抗に優れた省燃費タイヤも同じである。

かつては、出力のみに特化したターボチャージャーシステムだったが、ダウンサイジングによる効率重視の考え方が一般化したことで、燃費性能を始めとする環境性能や実用性能の引き進められてきた、と受け取ってよいだろう。






































