口コミを投稿する

ユーザーのリアルな新車口コミサイト 買おっかなー!

意外な場所で愛車が水没!? ゲリラ豪雨によって起きる「都市型水害」とは
口コミを書く 口コミを見る

ベストカーWeb より


 2025年9月、地下駐車場がゲリラ豪雨によって水没し、200台以上のクルマが水没するという被害が発生した。都市部へのゲリラ豪雨によって近年増加している「都市型水害」について、災害リスクのスペシャリスト、横山芳春氏が解説する。

※本稿は2025年11月のものです
文:横山芳春/写真:横山芳春、気象庁、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年12月10日号

都会の低地や地下街・地下駐車場を襲う「都市型水害」



 2025年9月12日夜、三重県四日市市周辺を襲った記録的な豪雨によって浸水害が発生、同市中心部の近鉄四日市駅前にあった地下駐車場「くすの木パーキング」が水没するという事態が発生した。

 不幸中の幸いで人的な被害はなかったものの、最終的に駐車していたクルマの浸水被害は274台にものぼる大惨事となった。

 なぜ地下駐車場という私たちが日常的に使用する一方で、あまり浸水などの危険であることを感じにくい場所で、これほど大規模な被害が発生してしまったのだろうか。

なぜ未曽有の災害が発生したのか?



 駐車場被害ほど報道がされていないが、浸水被害があった地下駐車場だけでなく、その周囲の四日市市内における住宅街でも豪雨による浸水・冠水が発生しており、住宅の床上・床下浸水による被害が生じている。

 四日市市では、市内の一部の地区だけでも床上浸水が約200軒、床下浸水が約3100軒という浸水被害を把握と報じられている。

 四日市市でこのような甚大な浸水害が発生した原因としては、まずは「記録的短時間大雨情報」が発表されるほどの記録的な短時間での集中豪雨、いわゆるゲリラ豪雨による降水であることは言うまでもない。

 ただし、豪雨の際に降った雨水が、下水道などの都市の排水機能によって適切に排水・処理されれば浸水や冠水の発生には至らない。

 一般的な都市の排水能力は1時間に50mm程度の雨量を想定した計画が一般的で、四日市市街の主な地域も同様とみられるが、同日の四日市市では、2.4倍以上の1時間に123.5mmという、観測史上最大となる豪雨が降っていた。

 これによって、都市の排水能力を超えた雨水が地表に溢れ出す内水氾濫が発生したとみられる。排水が追いつかないと路面の浸水・冠水が起こり、それが地下空間という低い場所にある地下駐車場に流れ込んだものであった。

四日市の地下駐車場は特殊だったのか?



 山がちで、平坦な土地が少ない国土に発達した日本の都市では、水害リスクがある都市の地下部に駐車場があることは珍しくない。

 近年では洪水や高潮のみならず、都市型水害の主な原因となっている内水氾濫は各地で発生している。今回のケースはなぜ大きな被害となってしまったのだろうか。

 まず、豪雨の際に浸水が想定される、海に近く川に挟まれた低い土地で、ハザードマップでも内水氾濫想定されていた、浸水害が起きやすい立地にあったこと、そこに都市の排水能力を超える豪雨が降ったという条件がある。

 そのような場所の地下に広大な駐車場があって、合計15カ所もの出入り口(工事用等を含む)から水が浸入することを食い止められないと、水はどんどん駐車場内に侵入し続け、その浸水した水位は上昇し続けてしまうだろう。

 水は低い場所に流れ集まっていくものだ。浸水を食い止めることができなければ、地下駐車場はあたかも、地下貯水池のように水が溜まっていく場所になってしまう。

浸水被害後の補償はどうなっているのか?

 2カ所の出入り口には、国土交通省が管理する電動式の止水板があったようだが、当日は動かなかった。国土交通省は、この止水板が2021年11月に故障していたことを明らかにしている。

 国土交通省は故障の翌月に報告を受けていたが、国と運営会社のどちらが修理をするか決まらず、故障したまま約4年間放置されていたとされている。

 今後は、浸水被害に遭ったクルマの所有者に対する補償の有無・対応と、駐車場自体の復旧・営業再開に向けた具体的な議論や、今後の豪雨時への対策などが焦点となっていくだろう。

 水害によるクルマの損害に対する補償は、一般的な駐車場の利用規約などでは天災や不可抗力による損害は免責となっていることが多いだろう。ゆえに、所有者が民間の保険会社による自動車保険(車両保険)に未加入であった場合には、補償の対象とならないことが多い。

 しかし、今回は国による責任の所在という面もあったことから、車両保険に未加入だったクルマの所有者に対する補償の有無などが注目されるだろう。

都市型水害とその対策



 都市部で多発する「都市型水害」と呼ばれる浸水害は、主にゲリラ豪雨や線状降水帯による急激な降雨によって発生する。

 地表がアスファルトなどで覆われた都市部では、雨水が地中に浸透しにくいため、短時間で大量の雨が降った場合、排水能力を超過して浸水や冠水を引き起こす「内水氾濫」によるものが多くなっている。

 以下、都市型水害が起こりやすい場所とその対策について解説する。

(1)地下部の浸水(地下街・地下鉄駅、地下階など)
 地下部の出入口は、周囲の道路より低くなっていることが多く、地上で冠水が発生すると、溢れた雨水が階段などの地上との接続部から侵入しやすい。水の侵入防止や排水ができないと地下部の浸水に繋がってしまう。

 公共施設だけではなく、地下階や半地下がある建物でも、同様に注意が必要だ。特に、ドアが外開きの場合には、浸水が始まると水圧でドアが開かず避難ができなくなってしまうこともある。

●対策
 利用者としては早期の退避、施設としては止水板・止水パネル、土嚢の設置が有効だ。地下空間の出入口に設置し、水の流入を防ぐことで地下空間への浸水を防ぐものだ。



(2)平地でのクルマの冠水メカニズム
 舗装された道路では、排水能力の限界を上回ると雨水が道路上に溜まってしまう。特に周囲より低い場所では水深が深くなり、走行中や駐車中のクルマが浸水・冠水してしまうことがある。

 高台の地域でも、周りより低い場所では発生してしまうことがある。道路上では、中央分離帯などが水の流れを堰き止めて冠水等に至ることもある。

 冠水部では水の濁りなどで浸水した深さがわからないこと、側溝などとの境目が見えにくく危険であるため突入は避けたい。車種にもよるが、水深30cmを超えるとエンジンの故障が発生することがある。

●対策
 豪雨が想定される際には、クルマを周りより高い場所、上階の駐車場など安全な場所へ移動させること、すでに安全な場所に駐車している場合は、クルマでの外出を控える、時間をずらすなどを検討してほしい。

(3)アンダーパスでの冠水
 線路や道路などの下をくぐる立体交差の地下道であるアンダーパスは、構造的に周囲の地面より最も低いため、地上に降った雨水が集中しやすく、豪雨で排水能力を超えると急速に水が溜まり冠水してしまうことがある。

 中央部がくぼんでいる構造により水深が深くなっていることがあり、非常に危険な場所となってしまう。

●対策
 大雨時は、通行禁止となり危険を知らせる表示板等がある場合が多いが、表示板等がない小規模な場合のほか、通行規制が間に合わないことがある。普段通っているアンダーパスの位置を把握し、豪雨時には迂回ルートを準備しておきたい。



引用元:https://bestcarweb.jp/feature/column/1386636


    • 口コミ題名:

    • 内容:


    • 掲載には当サイト運用チームによる審査があります。

    • 誹謗中傷や公平性に欠けると判断した場合には、掲載されない可能性がありますのでご注意ください。