自然災害でのクルマの水没は保険対象外って噂はホント? 車両保険の補償対象は要チェック!
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WEB CARTOP より
「浸水や冠水は車両保険の対象外」はケースバイケース
ここ数年、ゲリラ豪雨による浸水のニュースを見かけることが増えている。都市部でも地下鉄や地下駐車場などで水没被害が発生するのは、直接的には「想定した排水能力を超える雨量に見舞われた」ことが理由だが、過去何十年も問題の起きなかった排水能力を超える雨が降ってしまうのは、気候変動(地球温暖化)の影響も無視できないというのが実際のところではないだろうか。
さて、地下駐車場が豪雨によって浸水、そこに停まっていたクルマが水没するという事象は記憶に新しい。このニュースを目にして、一部の人は「浸水や冠水は自動車保険(車両保険)の対象外だ」と思ったかもしれないが、それは半分正しく、半分は間違った認識だ。

あらためて自動車保険について整理しておこう。
自動車保険は、加入が義務付けられている「自賠責保険」と、ユーザーが条件を変えて加入できる「任意保険」に大別される。後者の任意保険には対人・対物のほか、搭乗者や車両に対する保険をつけることもできる。そして、自車の損傷や盗難に対して修理費や車両の購入代金を補償する保険は、「車両保険」と通称されている。
「車両保険」が補償する範囲や金額は、契約内容によって異なるが、いずれにしても愛車が壊れてしまったときなどに力になってくれる保険といえる。
しかし、前述したように「クルマが水に浸かってしまった場合、車両保険の対象外になる」と捉えているユーザーは少なくないようだ。おそらくその背景には東日本大震災で津波被害を受けたクルマは車両保険の対象外だった、というエピソードへの印象が強いからではないだろうか。

たしかに、多くの車両保険において地震と噴火による被害は対象外となっている(一部、特約によって補償されるケースもある)。津波というのは地震や噴火が原因で起きる現象であり、その被害は車両保険で補償されないのだ。
水没などのケースでは使えるならば保険を使うのが吉
しかしながら、台風や大雨といった天候に由来する被害については、ほとんどの車両保険で対象となっている。ゲリラ豪雨による水没、強風により物が飛来してきた傷、雪崩による被害などは、車両保険で補償されることが多い。
じつは、天候由来の災害については不可抗力といえるため、原因を作った側に損害賠償責任は発生しない。たとえば、大雨によって河川が氾濫、愛車が水没した場合でも、河川の管理団体を訴えることはできず、自身が加入する車両保険によって修理することになる。

隣家の屋根瓦が飛んできたというような、明らかに個人が判別できるケースでは相手方に修理代を負担してほしいと感じるのが人情ではあるが、損害賠償責任は発生しないため、補償を求めることはできないというのが通例だ。
「車両保険を使ってしまうと翌年の保険料が上がるから踏んだり蹴ったりだ」と思うかもしれない。もちろん、保険料に影響する等級は下がってしまう。台風による被害で車両保険を利用した場合、1等級ほど下がることが多い。さらに、「事故有係数」も適用されるため、それだけ翌年の自動車保険は高くなってしまう。
不可抗力なのに等級が下がり、事故有係数もかかってしまうのは納得いかないかもしれないが、そもそも保険というのは自分ではカバーできないほどの損失が発生した際に役立つものであり、一生に何度も出会わないであろう水没で車両保険を使わないのであれば、そもそも車両保険に加入する意味はない。

高額な修理費や車両買替など、想定される大きなアクシデントであれば保険を活用すべきだ。たしかに、保険等級が下がってしまうことで増える保険料と実際にかかる修理費の関係によっては、保険を使わずに自費で修理することが賢明な選択となる。とはいえ、水没レベルの大きなアクシデントであれば車両保険を使うことが適切になるケースが多いと思われる。
まとめると、車両保険は地震や噴火の被害は対象外であり、そこには津波による浸水も含まれる。一方、大雨や強風といった天候が原因の被害については補償対象となる。台風やゲリラ豪雨による冠水被害は誰もが不可抗力となるため、自身の加入している車両保険によって修理するというのが標準的な対応といえるのだ。


































