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オイルの燃焼温度は350度! エンジン内部は2000度! だったらなんでエンジンオイルは燃えないのか?
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WEB CARTOP より

なぜエンジンオイルは燃えない?


 編集部から、素朴ながら「そういえばなぜ?」と考えさせられるテーマを預かってしまった。エンジン内部は相当な高温になっているはずだが、その内部を循環しているエンジンオイルにはなぜ火がつかないのか、という疑問である。

 この問題、クルマのメカニズムに精通している人ほど、エンジンオイルに火がつくという問題はスルーしていると思う。というより、エンジンが正常に機能しているなら、エンジンオイルは燃える要素にカウントされていない、といったほうが正しい見方になるだろうか。



 内燃機関としてもっとも一般的なガソリンエンジンを例に挙げれば、ガソリンと空気の混合気をシリンダー内で燃焼するエンジンは、確かに相当の高温になっている。周囲の冷却媒体の温度にもよるが、燃焼室内の温度は1600℃から2400℃になるともいわれる。これに対してエンジンオイルの発火点は350℃前後といわれている。この条件なら、たしかにエンジン内でエンジンオイルに火がつき燃えてしまうのではないか、と思えてくる。



 この考え方、正確には「半分正しく、半分間違っている」といえる。

 というのは、燃焼室まわりに存在するエンジンオイルの状態を考えてみればよくわかるからだ。シリンダー内でエンジンオイルが主に存在するのはシリンダー壁であり、ピストン上死点位置で形成される燃焼室内には油分(オイル)が皆無であるからだ。そもそもエンジンオイルは、シリンダー部に関していえば、往復運動をするピストンが摩擦でシリンダー壁に焼き付かないよう、ピストンとシリンダー壁の間に油膜を形成し、その潤滑作用によってピストンが焼き付きを起こすことなくスムースに動くように使われている。



 もう少し正確にいえば、ピストンとシリンダー壁は直接触れるのではなく、ピストンリングを介しての接触であることを思い出そう。接触面積でいえばごくわずかだ。しかも、ピストンリングには、気密性を保つコンプレシッションリングとシリンダー壁に付着した余分なオイルをかき落とすオイルリングがあるため、燃焼室側に残るオイルは構造上、皆無といってよい。

 つまり、いくら高温になっても、燃焼室内には燃えるだけのエンジンオイルがないのである。しかも、潤滑のためのエンジンオイルは、ピストン側から供給されるため、シリンダー燃焼室側には構造上まわらない仕組みになっている。

オイル上がりとオイル下がりとは


 エンジンオイルが燃えないことは構造上当たり前……というのはこうした理由によるものだが、逆に燃えるケースもあるのだ。つまり、エンジンオイルが燃焼室内に入ってしまった場合で、混合気と一緒にエンジンオイルが燃えてしまう場合だ。

 エンジンオイルの燃焼室内への進入経路はふたつある。

 ひとつは、シリンダーヘッド側から浸入するケースで、これはバルブステムの摩耗によるもの。もうひとつは、ピストン側から浸入するケースで、こちらはピストンリングやシリンダー壁の摩耗によるものだ。それぞれ、ヘッド側(上)から浸入するケースをオイル下がり、ピストン側(下)から浸入するケースをオイル上がりという。



 この両ケース、よほど距離を走り込んだクルマでなければそう起きることはないが、オイル下がり/オイル上がりを起こすと燃焼室内でエンジンオイルが燃え、排気管から真っ白いオイル煙を吐き出すことになるのですぐにわかるはずだ。どちらかといえば、旧車と呼ばれるカテゴリーのクルマで気を付けたいケースで、どちらの場合も根本的な改善にはオーバーホールが必要だ。



 オイル下がりの場合は、バルブステムだけでなくバルブシートなどの摩耗もチェック、オイル上がりの場合はピストンリングの摩耗やシリンダー壁の摩耗。この場合、ピストンリングの交換、シリンダー壁はボーリングによってシリンダー径を拡大。0.25mm、0.5mmといったオーバーサイズのピストンに換装し、あわせて新品のピストンリングを組み込む修理を行うのが一般的だ。

 エンジン内で、基本的にエンジンオイルが燃えることはないが、逆にオイルが燃えるようなケースは、エンジン内部に摩耗があることを示しているので要注意だ。


引用元:https://www.webcartop.jp/2025/10/1734677/


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