普段の何気ないクセがATを壊す!? やってはいけない寿命を縮めるNG行為とは
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ベストカーWeb より

普段何気なく操作しているその運転操作、実はAT車やCVT車の寿命を縮めているかもしれません。最新車種でも避けたほうがよいNG行為の嘘、ほんとを解説します。 あなたの愛車の健康寿命がグッと伸びるかも!
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:望菜竹内@Adobe Stock)
1:停車中にDレンジからNレンジに頻繁に切り替えると壊れるのは本当か?
クルマの運転は、日々の積み重ねが車両のコンディションに大きく影響します。特にATやCVT(無段変速機)を搭載したクルマは、便利さの反面、構造が精密で繊細。何気ない操作が、長期的にダメージを蓄積する可能性があります。
ここでは、多くのドライバーが無意識にやりがちな「NG習慣」を3つ取り上げ、その行為がATを壊す要因になるのか、本当のところを解説していきます。
まず、信号待ちや渋滞時、燃費の改善を考えてDレンジをNレンジに変えて待つ方もいますが、これは注意が必要です。
信号待ちでDレンジのままか、Nレンジにしたほうがいいのか問題。つまり、DレンジからNレンジ、D→3→2など、頻繁にレンジを切り替えるとクラッチ板が減りやすくなり、摩耗粉が油圧経路に回ればシフト不能になるなど、油圧制御機構のトラブルの原因になる……と、昭和に誕生したクルマのAT車はそう言われていました。
そのために、できる限りDレンジのまま走らせるのが理想で、信号待ちでNレンジにわざわざシフトチェンジするのはやめたほうがいいと言われていました。
ところが、パドルシフトなどのマニュアル操作機構が採用されだした平成10年代くらいからは充分な耐久性が確保されたため、Dレンジからシフトレバーを頻繁に動かしたからといって問題になることはまずありません。ネオクラシックカー含め古いクルマを除いてですが……。
むしろ、日常的に急発進や急加速を繰り返していたり、完全停止しないうちにDレンジからRに入れる、乱暴なシフトレンジのほうが、トランスミッションにとってはよくありません。
ちなみに免許更新時に渡される交通教則本を見ると、「交差点などで停止したとき→停止中は、必ずブレーキペダルをしっかり踏んでおき、念のためハンドブレーキも掛けておきましよう。停止時間が長くなりそうなときは、チェンジレバーをNに入れておきましよう。 ブレーキペダルをしっかり踏んでおかないと、アクセルペダルを踏まなくても自動車がゆっくり動き出し(クリープ現象)、追突などの思わぬ事故を起こすことがありますので注意しましよう」と書いてあります。
その一方でJAFのX(ツィッター)では「ATのクルマで、交差点で停車するたびニュートラルにする人を見かけます。万が一エンジン回転が高い状態でドライブにシフトしてしまうと大変危険。大事故にもなりかねません。エンジンが動いている状態では燃費にほとんど差がありませんヨ」とツィートされていました。
現代の車両では「ニュートラルアイドル制御(ブレーキペダルを踏んで停車している際にATが自動的にニュートラル状態になる機能のこと。これにより、アイドリング時の振動を低減し、燃費を向上させることができる」や「アイドリングストップ機能」が普及。Dレンジのままでも内部で駆動力を切り離してくれる設計が主流です。
JAFが指摘しているように信号待ちでNレンジに入れることは誤発進に繋がってしまうおそれもあります。信号待ちでNレンジに入れたあと、Nレンジであることを忘れてアクセルを踏み、クルマが進まないことでNレンジであることに気づき、慌ててDレンジに入れてしまうとクルマは急発進してしまうのです。
交通教則本は停止時間が短い時はDレンジでブレーキをしっかり踏んで、念のためサイドブレーキを踏む、停止時間が長くなりそうなときはNレンジ、という教えです。
また、Dレンジで停車するとエンジンが自動停止する「アイドリングストップ車」の場合、Nレンジにするとアイドリングストップ機構がキャンセルされ、エンジンが再始動するモデルが多く、当然、停車時Nレンジにすると、エンジンがかかっている状態なので燃費が当然悪化することになります。
最近増えてきたオートブレーキホールド装着車ですが、信号で停止する際はDレンジで待機し、長くなりそうな場合もNレンジではなく、オートブレーキホールドを利用しましょう。
結論:信号待ちで頻繁にDレンジからNレンジに入れることで、ATが壊れるということはあまり聞きませんが、誤発進の可能性があるため、信号待ちはDレンジにしてブレーキをしっかり踏むというのが正解ではないでしょうか。
2:停止する前にD→R、R→Dに切り替えるのはNG行為?
駐車や切り返しのとき、クルマが完全に止まる前にシフトを切り替えていませんか? これも見落とされがちなNG習慣です。
近年のATやCVTでは、一定速度以上でのシフト操作が物理的にできない構造になっており、すぐに壊れることはありません。しかし、繰り返すことで内部のクラッチやブレーキにストレスが蓄積し、結果的にトランスミッション寿命を縮める可能性は否定できません。
特に、車庫入れなどで「ゆっくりだけど停止しきっていない」状態でのシフトは要注意です。
結論:クルマを長持ちさせたいなら、必ずクルマが“完全に停止”してからシフトチェンジを行うクセをつけましょう。
3: 駐車時にPレンジだけで済ませてしまうとATが壊れる?
「坂道じゃないから大丈夫」と思って、パーキングブレーキを使わずPレンジだけでクルマを止めていませんか?
実はこれ、大きな間違いです。Pレンジでは「パーキングロックポール」という金属部品がギヤに噛み合ってクルマを動かないようにしていますが、この機構だけに頼るのは非常に危険です。勾配やちょっとした衝撃でロックが外れて車が動き出す恐れがあります。
また、法律でも「クルマを離れるときは完全にブレーキをかけること」が義務付けられており、怠ると厳しい罰則が科されることもあります。
結論:正しい手順は以下の通りです。
・フットブレーキで停止
・パーキングブレーキを引く
・Pレンジにシフト
・エンジン停止
この順番を徹底するだけで、あなたの愛車も周囲の安全も守ることができます。
編集部まとめ
今回紹介したATが壊れるNG習慣の嘘、ほんとをお届けしましたが、いかがだったでしょうか。ATやCVTの進化は目覚ましく、多くの場面でドライバーのミスをカバーしてくれるようになりましたが、それでも機械には負担がかかるもの。
編集部としては、技術の進化に甘えるのではなく、基本に立ち返った丁寧な操作をお勧めします。愛車との付き合いを長く、快適にするために、ぜひ今日から見直してみてください。