ぶつからないほうがむしろラッキーなくらい!? NEXCO西日本管内だけで年間約12万件も発生している「落下物」を避けるにはどうする?
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WEB CARTOP より

1日300件以上起きている落下物によるトラブル
高速道路を走行していると、時折遭遇する落下物。NEXCO西日本の発表では2017年度におよそ11万9000件もの落下物が管内で発生。1日あたりおおよそ330件もの落下物が高速道路の路上で発見されている計算になる。またJAFがドライバーから募ったアンケートでは、「運転中に落下物に遭遇したことがある」という回答が79.0%に上ったという。
NEXCO西日本の同年の集計では、高速道路の落下物でもっとも多いのはプラスチック・ビニール・布類(プラスチック容器、ゴミ袋、毛布、シート類)で、全落下物中およそ33%を占める。次にタイヤや自動車付属品などの自動車部品類で、こちらは11%、その次が角材やベニヤなどの木材で10%となっている。また2023年のNEXCO中日本の調べでも、全5万5800件中プラスチック・ビニール・布類が2万900件、自動車部品類が8400件、木材類が5700件となっている。
毛布やシート類は、建材や引っ越し荷物の家具などをトラックに積み込む際に、荷崩れ防止のためにカバー(養生)していたもので、おそらく走行中にトラックへの結束がゆるみ、落ちたものだろう。タイヤなど自動車部品も同じく走行中に外れてしまったもの。筆者もかつて深夜の東名高速で前方を走っていたワゴン車のタイヤがバーストし、そのタイヤが後方に転がってきたのをとっさに避けたことがある。一方プラスチック容器やゴミ袋はドライバーが走行中に故意に捨てたものに違いない。これは決して許されることではない。
高速道路のみならず、道路の落下物は落とし主だけの問題ではなく、後続車の事故や渋滞の原因になる可能性がある。実際に落下物が原因の重大事故も発生しており、高速道路上の落下物を避けるために車線を変更した貨物車にバスが衝突し、乗員1名が死亡するという事故があったり、走行中にトラックの輪止めが外れ、対向車線を走っていた乗用車のフロントガラスを突き破り助手席の同乗者に直撃したり、さらにはトレーラーから落下した資材ボックスが原因で渋滞が発生し、その車列にトラックが衝突して10人以上が死傷するなど、落下物を原因とした悲惨な事故は各地で発生している。
まわりをよく見ることが落下物を避けることに繋がる
道路交通法第70条の10項では、「自動車の運転者は(一部省略)積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない」と定められており、これに違反した場合は「3カ月以下の懲役、若しくは5万以下の罰金、又は10万円以下の罰金」の刑罰が課せられるだけでなく、第三者に損害を与えた場合は落とし主に賠償の責任が生ずるほか、「道路交通法」や「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」などの違反によって罰せられることになっている。
高速道路では、車外に積載する荷物は強い風圧や振動にさらされるため、荷物をしっかり固定する必要がある。とくにトラック、平ボディなど荷物が車外に露出する車両は、積載する荷物の数もしくは質量も大きいため、万が一荷物が落下した場合は重大な事故にも繋がりかねない。
そういった事態を防止するために、トラックドライバーは荷物の積載を独自に工夫するほか、固定も十分以上に行なう必要がある。もっというと、平ボディのトラックで日々仕事に従事する真面目なドライバーは、荷物をカバーする「シート」のかけ方にもこだわりをもって日々作業しているのだ。またサービスエリアなどで休憩する際にも、積み荷の積載状態をしっかりチェックしており、運転も荷崩れを起こさないよう万全の注意を払っている。
また積み荷を落とさないことも重要だが、後続車が落下物事故に遭わないための対策も大切だ。
車間距離を十分にとり、脇見運転にも気をつけることが基本。道路情報板に 落下物の表示があったときは、前方の道路状況や先行車の動きなども注意する必要がある。落下物を発見した際にはブレーキやハンドルで事故を回避できる時間も短くなるため、速度を控えることも重要。
万が一落下物とぶつかってしまったときは、非常停車帯に駐車し、本人や同乗者の安全を確保したうえで、携帯電話や路肩に設置されている非常電話などから事故を通報する。その通報は「道路緊急ダイヤル(#9910)」からでも可能だ。また落下物を発見した際の通報は、サービスエリアや料金所の係員にも伝えることでもいい。
トラック・乗用車問わず、道路を走行する際は落下物を発生させない、落下物に巻き込まれない運転に日々注意することを心がけたい。