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ぶっちゃけ煩わしい!? 最近ガソリンスタンドでやたらと「アプリ」をすすめてくる裏事情
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WEB CARTOP より

アプリ推進は売り上げのためだけではない


 休日、ガソリンスタンドに寄ると、店員さんが笑顔で「アプリの登録はいかがですか?」と声をかけてくる光景は、もはや日常茶飯事。昔なら会員カードの作成を勧められていたが、いまやアプリ一色。「なぜこんなにアプリを推してくるのか?」と疑問に思ったドライバーも多いはずだ。熱心すぎる営業トークに「またか……」と思うのも自然だろう。しかし、この背景には単純に売り上げアップ以上の、ガソリンスタンド業界を取り巻く大きな変化と戦略が隠されている。
<デジタル化の波に乗り遅れまいとする業界事情>

 ガソリンスタンドがアプリを推進する最大の理由は、業界全体のデジタル化への対応だ。各社が競うようにアプリのダウンロードキャンペーンを展開しており、新規登録者には給油クーポンやポイント付与などの特典を用意している。その背景には、単なる顧客サービス以上の意味がある。



 従来のガソリンスタンドは、顧客が来店した際の売り上げしか把握できなかった。せいぜい会員カードの導入でリピーターを増やす程度だ。しかし、アプリを導入することで、顧客の給油頻度、利用時間帯、購入パターンなどの詳細なデータを収集できるようになる。これらのデータは、より効果的なマーケティング戦略の策定や個別顧客に最適化されたサービス提供に活用される。

 また、ENEOS公式アプリが累計1800万件以上ダウンロードされるなどの成功事例を受けて、ほかのガソリンスタンドチェーンも競うようにアプリ開発に力を入れている。顧客囲い込みの激化により、アプリ登録数は各社の重要な経営指標となっているのが現状である。



 キャッシュレス決済の普及も大きな要因である。かつて大手ガソリンスタンドチェーンは独自のキーホルダー型決済ツールを開発・普及させた。この決済ツールはクレジットカード情報と紐づけられ、給油の際にクレジットカードを出すことなく給油ができる。事前に油種や給油数量、給油金額など、給油に関する情報を登録することができるので、顧客は給油機にかざすだけで、給油を始められる。

 アプリはこの延長線上にできたサービスで、決済の簡便性はもとより、顧客データの蓄積にも大きく貢献するため、各社が力を入れるのは当然の流れだ。

アプリを通じて積極的にサービスを展開


<油外品販売の生命線としてのアプリ活用>

 スタンド経営の視点からもアプリは外せないツールだ。現在、ガソリンスタンドは、ガソリンの販売だけでは十分な利益を確保することが困難になっている。そこで重要になるのが「油外品」と呼ばれる、ガソリン以外の商品やサービスの販売である。

 実際、ガソリンスタンドの収益構造を見ると、粗利ベースでは油外収益が大きな部分を占めている。洗車やオイル交換はもちろん、水抜き剤のような小物商品はとくに利益率が高く、店舗運営にとって欠かせない収入源だ。一部の店舗では、アルバイトスタッフに対して油外品の販売実績に応じたインセンティブを設けるほど重要視されている。



 アプリを通じてクーポンを配信することで、顧客の来店を促し、その機会に油外品の販売につなげるというわけだ。アプリの機能は給油割引クーポンの配信から決済機能まで多岐にわたり、顧客の利便性を向上させながら購買機会を創出している。

 さらに、アプリ経由での予約システムも重要な要素だ。車検やオイル交換といった高単価サービスの予約をアプリから簡単に行えるようにすることで、従来の「その場での営業」から「計画的なサービス提供」へとビジネスモデルが進化しているのである。

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 さらに昨今のEV推進化が進めば、直接影響を受けるのがガソリンスタンドだ。だからこそENEOSのように、一部店舗で急速充電器の設置を進め、EVユーザーを取り込もうとする大手も出てくる。そうすることで将来の油外品販売につなげるわけだ。今後EVの台数が増えていけば、他社も追随することだろう。

<店員さんもじつは大変! 評価制度とアプリ推進の実情>

 ガソリンスタンドの店員がアプリを熱心に勧める背景には、彼らを取り巻く評価制度の変化もある。表向きには厳格なノルマは設けられていないとされるが、実際には店舗ごとに販売実績やアプリ登録数が評価対象となることが多いのが実情だ。

 多くの店舗では、スタッフが勤務を開始して半年程度経過すると、接客や営業スキルの向上を目的として油外品の販売を任されるようになる。ノルマの有無や運用方法は店舗によって大きく異なるが、なんらかの形で販売実績が評価対象となることが多い。



 アプリ登録数も、こうした評価指標のひとつになっている可能性が高い。店員にとっては、アプリを1件登録してもらうことが、自身の評価向上につながるため、自然と熱心になるのは理解できる。また、アプリを通じた顧客との継続的な関係構築が、長期的な売り上げ向上に貢献することを店舗側も理解しているため、アプリ推進に力を入れるよう指導されているケースも多い。

 ただし、若いスタッフが営業をおこなう際の困難さも見逃せない。年配の顧客から軽視される場面も多く、セールストークを展開しても素っ気なく断られることが少なくない。店員さんたちは、顧客の反応を見極めながら、適切なタイミングでアプリを紹介しようと努力している。



 現代のガソリンスタンドにおけるアプリ推進は、単なる一時的なキャンペーンではない。デジタル化による業界変革、油外品販売の重要性増大、そして従業員の評価制度の変化など、複数の要因が絡み合った結果だ。確かに熱心すぎる営業は時として煩わしく感じるかもしれないが、その背景には業界全体の生き残りをかけた戦略があることを理解すれば、少し見方が変わるかもしれない。

 とはいえ、私たちにとってもアプリを登録することで受けられる恩恵は大きい。1リッターあたり数円の割引クーポンが定期的に配信され、近隣店舗の検索やメンテナンス予約といった便利な機能も利用できる。ガソリン価格が高騰するなか、少しでもお得に給油できるメリットは無視できないだろう。

 次回ガソリンスタンドで「アプリはいかがですか?」と声をかけられた際は、その裏にある業界事情を思い出してみてほしい。店員さんの熱心さも、きっと違った角度から理解できるはずだ。


引用元:https://www.webcartop.jp/2025/08/1694282/


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