突然の「パッシング」はどっちの意味? 「お先にどうぞ」それとも「来るな」!? 教習所で教えてくれない「謎の“ぴかぴか”しぐさ」どうすればイイ?
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くるまのニュース より
本来の意味は「前のクルマはどけどけ!」だった!?
時代が変わればルールやマナーは変わるもの。さらには地域が変わると、意味が逆になることもしばしばです。
クルマのルールで時代や地域によって変化が大きいのが、ヘッドライトをチカチカさせる行為、いわゆる「パッシング」の使い方でしょう。
教習所では教えてくれなかった、「謎の“ぴかぴか”しぐさ」について考えます。
そもそもパッシングというのは和製英語です。
英語でヘッドライトを短時間ハイビームで点灯させる行為は「headlight flashing」と表現されます。
ではなぜパッシングという言い方が、日本では日常的に使われるようになったのでしょうか。
これは英語で追い抜きや追い越しを表す「Passing」の意味から来ており、本来の使用意図は、自車が先行車に追いついた際に「先に行きたいから道を譲ってほしい」という意思を示すためのものでした。
本来的なパッシングの使い方は、スーパーGTなどの自動車レースを観戦していると見ることができます。
どのクルマにも搭載されているパッシングの機能ですが、取り扱い説明書では、どのように記載されているのでしょうか。
メーカーごとにその表現は様々です。
トヨタ車では、ランプスイッチの欄の「ハイビームにするには」という項目でパッシングの操作方法を示しています。
しかし、レバーを引いているあいだ、ハイビームを点灯(ランプが消灯していてもハイビームが点灯します)と書かれているだけで、“パッシング”という文字はありません。
日産・ホンダ・三菱などは、ハイビームへの切り替えかたの中に「パッシングするときは~」という項目があり、操作方法が載っています。さらにマツダでは「パッシング合図」という説明書上の項目があって、パッシングのやり方が説明されていました。
ただ、各社で共通しているのは、パッシングを何のために使うのか、そのルールや意味については記載していないことです。
自動車メーカー各社も機能は付けているものの、何のために使うのかまでは言及をしていません。
道路交通法では、パッシングの使用場面や回数、目的などに関する具体的な記述はなく、パッシングを行ったことで検挙されることはほとんどありません。
しかしあおり運転のように、相手に威圧を与える形で使用された場合には、安全運転義務違反のような違反行為として取り扱われることもあるでしょう。つまり過度なパッシングは、法的にNGとなることもありそうです
意味を取り違える可能性のあるパッシング合図は逆に危険!
ドライバー同士のコミュニケーションツールとして使われるパッシングですが、意味が逆に取られて危険なケースも散見されます。
パッシングが使われるケースでは、直進車が右折待ちをしている対向車に対し「お先にどうぞ」の合図が多いです。
しかし中には直進者側が「曲がってくるな!こちらが先に行く!」という意思でパッシングを使うこともあります。
このように全く逆の意味で使われるパッシングがあるので、使用には十分な注意が必要です。
また、対向車からパッシングを受けて、道を譲ってもらったと思い右折をしたところ、対向車の後ろに隠れていたバイクや自転車が飛び出してきて、不意にぶつかってしまう右直事故も増えています。
道を譲られると、譲ってくれた相手のためにも急がなければと、周囲への確認が疎かになってしまうことも多いため、パッシングで道を譲られた際には、いつもよりも注意して曲がるようにしなければなりません。
※ ※ ※
「お先にどうぞ」「先に行かせて」「この先でネズミ捕り(交通取締り)実施中」「落下物注意」「危ないぞ!」など、様々な意味のあるパッシング。
コミュニケーションの便利な道具ですが、それぞれの使用意図が一致していないと、大きな事故にもつながってしまう諸刃の剣です。
パッシングを使われた時にも、譲ってくれたなどと安心せず、普段以上の安全確認を行って確実な運転操作をしていきましょう。































