車内で冷却スプレーが爆発!? 猛暑ドライブで命を守るために絶対知るべき使い方
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ベストカーWeb より

連日35℃を超える猛暑が続くなか、出勤時や外回りから戻った際、車内でデオドラントスプレーや冷却スプレーを使ってクールダウンしている人も多いだろう。しかし、こうしたスプレー製品は使い方を誤ると大事故につながる可能性がある。今回は、あなたの身を守るために知っておくべき「冷却スプレー使用時の注意点」をお届けする。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トップ画像:yamasan@Adobestock)
2025年も発生! 過去にも繰り返された“夏の爆発事故”
2025年8月6日午後、札幌市中央区のドラッグストア駐車場で、停車中のクルマが爆発し、運転手の男性と、隣に止めていた車両の女性が軽傷を負う事故が発生した。
警察や消防からの詳細な事故原因の発表はまだないが、同じ駐車場に止めていた別のクルマのドライブレコーダーには、爆発により吹き飛ぶ冷却スプレーの缶が記録されていた。消防は、スプレー缶から噴出したガスが車内に広がり、何らかの火気により引火した可能性があるとみて調査を進めている。
推測ではあるが、ドラッグストアで購入した冷却スプレーを車内で使用後、換気をしないままタバコに火をつけたことで、ガスに引火し爆発につながったと考えられる。
実はこのような事故は、過去にも繰り返し発生している。
2014年には、大阪府豊中市内を走行していた軽乗用車の車内で小規模な爆発が発生、運転手を含む男性2人が負傷。2020年には、広島県福山市と岡山県倉敷市で、信号待ちしていたトラックのフロントガラスが吹き飛ぶ爆発が発生し運転手が負傷している。
過去の事故では、「車内で冷却スプレーを使用後、換気せずにタバコに火をつけた」ことが運転手の証言でわかっている。
なぜ爆発する? 冷却スプレーの“噴射剤”が原因
冷却スプレーを含む多くのスプレー製品には、噴射剤としてLPガスやブタンガスなどの可燃性ガスが使われている。
このガスは、薬剤を噴射する際に同時に空間中へ放出される。30秒程度の噴射でも、車内のような狭い空間は充分にガスで満たされてしまう。
この「30秒」という時間は、実際に爆発事故を経験した運転者の証言による体感時間だが、密閉空間ではそれでも充分な爆発力を持つ。
さらに注意したいのは、冷却スプレーを服と体の間に直接噴射する場合。ガスが服の中にたまり、火気によって引火し服が燃え、ヤケドを負う危険性もある。特に燃えやすい素材の服を着ていた場合、被害はさらに大きくなる。
屋外であっても、服の中に残ったガスが引火・延焼する可能性があるため、充分な注意が必要だ。
「換気」が命を守る! 使用後の行動がカギ
可燃性ガスによる爆発を防ぐ方法は、換気以外にない。
ただし、サイドウィンドウを少し開ける程度では不十分だ。可燃性ガスは空気より重く、プロパンガスで空気比1.5倍、ブタンガスで2.0倍の比重がある。そのため、ガスは車内の下部(シート下など)に滞留する。
この滞留したガスを逃がすには、ドアを開けて換気するしかない。
「せっかく冷えた空気を逃したくない……」という気持ちはわかるが、それよりも命が大切だ。
タバコは換気後に! 安全確保の“順番”を忘れずに
暑い屋外から戻り、冷却スプレーを吹いて、エアコンを強風&低温設定にして風を浴びる——最高に気持ちのいい瞬間かもしれない。だが、その直後にタバコを一服……というのは非常に危険だ。
まずはドアを開けて換気を! そのうえで、安全が確認できたら一服する——そんな順番を、ぜひ心がけてほしい。