それ危ないよ!! 後退時にバックカメラ「だけ」みてない?
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ベストカーWeb より

後退時車両直後確認装置のひとつであるバックカメラ。後退時に後ろの様子が映し出され、非常に便利な機能だ。しかし、バックカメラ「だけ」を見て後退するドライバーも散見される。この行為の危険性と注意すべき点をチェックする。
※本稿は2025年5月のものです
文:YUKO/写真:日産、Adobe Stock(トビラ写真=naka@Adobe Stock) ほか
初出:『ベストカー』2025年6月10日号
バックカメラには「死角」が存在する!?
バックカメラは、インパネのモニターにクルマ後方の映像が映し出され、それを確認することで、ミラーや目視では死角となる部分も確認しながらクルマを後退させることができる……という便利な装置。
普及し始めてから20~30年が経過し、もはやバックカメラなしではクルマを止めることができない、という人も少なくないのではないだろうか。
しかし、バックカメラ「だけ」を見てクルマを後退させるのは、モニターには映らない「死角」があるから危険といえるのだ。
生産されるクルマには装着が義務となっている
ご存知の方もいるだろうが、現状、「生産されるクルマにバックカメラを装着するのは義務化」となっている。
2021年6月に公布された「道路運送車両の保安基準等及び保安基準の細目を定める告示等の一部改正」によって、2022年5月から新型車への装備が義務化された。
それに加えて、2024年11月1日からは、継続生産車についても装備が義務化になったという流れ。自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で採択された協定規則に、準ずるカタチで改正されたものだ。
すでに多くのクルマで装備されているバックカメラ
国土交通省が行ったASV(先進安全自動車)技術普及台数調査によると、総生産台数におけるバックカメラの装着台数(乗用車)は、義務化前の2021年時点ですでに70%を超えており、2023年には、全体の77%にも到達している。
生産されるすべてのクルマに義務化されてからはまだ日は浅いが、バックカメラはすでに多くのクルマに搭載されている装備といえる。ナビゲーション機能のない液晶ディスプレイが登場したことも、バックカメラの普及に貢献しているといえそうだ。
「クルマの後端30cm以内」と「画角から外れる側方」は見えない!
クルマを後退させる際、「死角」が減ることで、クルマ後退時の事故防止に有効だと考えられるバックカメラだが、実は、バックカメラにも死角は存在する。
前出の「保安基準等の改正」文書では次のように記載がある。
後退時車両直後確認装置(バックカメラ、検知システムまたはミラー)の主な要件として、(1)クルマの後端から0.3m離れたところから、3.5m以内が確認でき、かつ、(2)この0.3mの位置から1.5m離れたところにある高さ0.8m、直径0.3mの円柱を確認できる。
とされている。
ということは、クルマの後端から0.3m以内は確認できない可能性がある。加えて、カメラには画角があるので、側方からやってくる自転車などは見えないことが懸念される。
クルマの後部に子どもが!!
JAFの実験でも、バックカメラはクルマの左右後方に置いたパイロンは、クルマから遠くであれば確認できたものの、クルマのごとく近いところに置いたパイロンは確認できないという結果になっている。
一瞬の隙に、クルマの後部に子どもが入り込んでしまったり、歩行者や自転車、電動キックボードなどが、後退中にクルマの後方を横切ろうとしたりすることは大いに考えられる。
今一度、バックカメラで映らない箇所があることを認識し、クルマを後退させる時は、カメラのモニターだけでなく、目視やミラーで確認することを徹底したい。
「周囲の状況を把握する」。ドライバーとして基本的なことを心がけたい。
カメラ頼り過ぎずに賢く使うのはアリ
バックカメラを使う際、「カメラに頼りすぎない」「必ず目視やミラーで確認する」というのは大前提だが、ここで日本導入が噂される新型パトロールのカメラを紹介したい。
パトロールのコックピットには14.3インチの大型ディスプレイが2枚並ぶ。この画面にはT字路に侵入する際の死角を減らす広角画像のほか、日産お得意のアラウンドビューモニターなど、車両周囲の情報を「これでもか」と映し出せる。
非常に便利だが、それでもカメラに頼り過ぎてはいけないのだ。