クルマのボーナス払いって実は損!? 知らないと後悔する「金利の仕組みと落とし穴」
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ベストカーWeb より

今年も、ボーナスの時期がやってきた。この時期だからこそ見直したいのが、ローンのボーナス払いである。毎月の返済負担が小さくなり、便利に使えるボーナス払いだが、その裏には知られざる落とし穴がある。自動車ローンも住宅ローンも、ボーナス払いをしている人・検討している人は、是非本稿でボーナス払いの仕組みを覚えておいていってほしい。
文:佐々木 亘/画像:Adobestock(トップ写真=Валерія Дємідова@Adobestock)
ボーナス払いは悪ではないが使い方には注意しておきたい
結構当たり前に使われているボーナス払い。筆者が自動車ディーラーで営業マンをしていた時も、ローンを利用するユーザーの半数近くはボーナス払いを利用していた。
もちろんボーナス払いは悪いことではない。ローンの月々の返済額を大きく抑えられるのが、ボーナス払い併用型ローンの良いところだ。
例えば自動車ローンの場合、ボーナス払いを15万円くらいに設定すると、5年間・月々2万円の返済で約300万円する新車に乗れるなんてこともある。(借入元金300万円、内ボーナス返済元金50%、年利2.9%、返済期間5年で計算)
仮に、この条件でボーナス払いを使わないと、月々の返済額は5万4000円前後だ。毎月決まったお金が出ていくときに、その金額が2万円と5万円では、家計のやりくりに大きく差が出ることだろう。
そのため、ボーナスの支払いがほぼ約束されているようなサラリーマン世帯だと、自動車ローンをボーナス払い併用で組みがちなのだが、この組み方は、ローンの総支払額で考えると損しか生まない。
均等払いは少し違う、ボーナス払いの仕組みについて解説していこう。
ボーナス払いは元金溜めっぱなしだから利息が余計にかかるのよ
一般的に月々の返済だけでローンを組む場合よりも、ボーナス併用にした方が、ローンの総支払額は大きくなるのだ。借入期間と金利は同じだから、単純に利息の支払いがボーナス併用の場合に多くなるということ。
これは、ボーナス併用払いによって、借入元金の減るスピードが遅くなることによって発生する。どういうことか、具体的に見ていこう。
ローンの月々支払い額は「元金」部分と「利息」部分に分けられる。返済を繰り返していくうちに借り入れ元金が少しずつ減っていき、かかる利息も少しずつ小さくなっていくのがローンの仕組みだ。
これが大きなボーナス払いを設定していると、月々の返済ではほとんど元金が減っていかず、かかる利息も大きいまま。借入元金が大きく減るのは年2回のボーナス返済のタイミングであり、6カ月ごとに訪れるその時まで、大きな元金に対して利息がかかり続けることが大きな問題となる。
このため、ボーナス払い無しの月々返済よりも、ボーナス返済ありの方が支払利息は多くなる傾向にあるのだ。金融機関や信販会社によっては、月々返済分の借入元金とボーナス払いの借り入れ元金が別々に管理されているところもあり、この場合は支払利息がさらに大きくなる。
ローンの返済は1円でも安くしたいと思っている人が多い中で、不思議と選ばれているボーナス併用。それぞれに、どれだけの差が出るのかは、ローン契約締結前のシミュレーションで明らかにできるので、ローンを組む前に金融機関やディーラーで試してみてほしい。
ボーナス出なかったらマジでヤバいよ
ボーナス払いのもうひとつの大きな問題がある。それは「ボーナスが出なかった時」にどうするのかということだ。
想像したくは無いが、昨今不安定な景況では、勤め先の経営が傾く可能性が様々な業界に当てはまるだろう。突然の賞与カットなんてことも珍しくなくなった。
預貯金を取り崩して支払えればいいが、お金の工面ができずに支払い不能に陥るケースを、筆者は何例も見ている。特に、月々の返済額の5倍以上にボーナス払いを設定しているケースは要注意。
ボーナス払いを使う際には、もしボーナス払い無しで借入金額を月々で均したら、ローンを支払っていくことができるのかどうかを一旦立ち止まり考えてほしい。もしも月々に均した金額が払えないのであれば、そのローンを組むことには危険が生じる可能性が高いのだ。
安易なボーナス払いと残価設定ローンは後でしっぺ返しをくらうことも多い。支払計画は、無理なく安全な範囲で作っていきたいものだ。