安易にやっちゃいけないこともある!? 「クルマ泣かせのDIY」4つの注意点
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ベストカーWeb より

「できれば自分の愛車は自分で点検・整備したい」と考える人はある一定数存在する。難しい整備はできなさそうだけど、「タイヤにバッテリー、ライトバルブ交換程度なら」とDIYで作業したら大変なことに……。
文/山口卓也、写真/AC
愛車を自分で整備するのは違法ではない
道路運送車両法 第47条には「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。」とあり、そもそも自分のクルマは自分で点検・整備を行わないといけない。
「自分で点検・整備を行うのは違法では?」と思われがちだが、まったくもって問題ない行為なのである。
そこで自分のできそうな箇所からDIY精神で……と手をつけがちだが、じつは危険もしくはかなりやっかいなことになる可能性大な箇所もある。
その1 ジャッキアップ時の事故は数多い!
ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへの交換、またはその逆の作業を行う人は意外と多い。特に積雪地帯ではスタッドレスタイヤ装着は必須となるため、自分で行う人は多いようだ。
クルマに搭載されるパンタグラフ式ジャッキを使う場合、ジャッキの接地面積が小さいため、路面が凸凹していると不安定な状態になりがち。
クルマをジャッキで上げたはいいが、凸凹路面の場合はゆっくりとジャッキが傾いて外れ、クルマが地面に接地または自身がクルマの下敷きになる死亡事故も起きている。
よって、万が一そのような状況になった場合を考えて、必ずタイヤホイールをクルマ下部と地面の間に置くこと。
また、クルマには指定されたジャッキを掛ける位置“ジャッキアップポイント”があり、取り扱い説明書にそのポイントが記載されている。
このジャッキアップポイントを外した箇所でクルマをジャッキアップするとオイルパンやアンダーカバーなどを破損し、多額の出費となる場合があるので要注意! フロアジャッキを使う場合も同様に説明書の指示に従うこと。
●油圧式フロアジャッキの注意点とは?
なお、油圧式フロアジャッキはアームを伸ばす際に油圧を使用するが、劣化で油圧が漏れているものはクルマを上げた後に徐々に下がってくる場合も。
これも大事故につながりかねないので万が一の事態を想定し、フロアジャッキを使う場合は通称「ウマ」と呼ばれるリジッドラックを必ず併用してクルマが絶対に落下しないような対策を。
また、フロアジャッキはアームをジャッキポイントに当ててジャッキアップさせる際に、ほんの少しフロアジャッキ本体が前後に動くような構造になっている。地面に凹凸があってジャッキ本体のホイールが回らない状態で使うと、ジャッキアップポイントからアームがズレてしまう可能性もあることも知ってほしい。
その2 脱輪は左後輪に集中している!
国土交通省が公開している資料(平成29年度)によると、タイヤホイールの脱輪事故は積雪地域での事故が半数以上、その事故はタイヤホイールの脱着交換後1カ月以内が半数以上。
さらに注目すべきは、脱輪したのは左後輪が8割以上という点。
この原因は、
・右折時は比較的高い速度で旋回するために荷重が左後輪に集中する
・左折時は比較的低い速度だが、左後輪があまり回転しない状態で旋回するために回転方向に対してねじれる力が働く
・道路は排水のため中央部が高く、路肩部は低いために左後輪に大きな荷重がかかる
と言われているが、ホイールボルトの締め付け不良や劣化などタイヤホイール脱着作業者のミスがほとんど。よって、自身で作業を行う場合は十分注意して行ってほしい。
その3 バッテリー交換でエンジン不調、データ消失!
電装系のDIYは、大がかりな工具などが不要なため自身で行う人は多い。
しかし、結線が手でひねっただけのいい加減なものや、工具を使ってもしっかりとカシメて(金属部品などを変形させて固定すること)おらず接触不良、プラスとマイナスを間違えてショートさせた……など、トラブルは意外と多い。
まず、電装系をDIYする場合は必ずバッテリーのマイナス端子を外して作業すること。これだけでショートは防げる。
この時、マイナス端子を外すために工具を回してプラス端子に触れるとショートするので注意!
また、マイナス端子を外すとナビのデータなどが消失するので、事前にメモリーバックアップをクルマ側に装着すること。じつは筆者もドイツ車のバッテリー交換でナビが起動しなくなり、ディーラーに駆け込んだことがある。
さらに、バッテリー交換後にエンジン不調となることも。
これは、エンジンコントロールユニット(ECU)の学習機能がリセットされてアイドリング不調となったり、交換後のバッテリーをECUが認識していないせいでエンジン不調となるもの。
しばらくアイドリングを続けていれば直る場合もあるが、リセット作業が必要になる場合もあるので知っておきたい。
また、基本的なことだがヒューズから電源を取る場合に市販のヒューズ電源を使うことになるが、万が一ヒューズが切れてしまった場合は必ず指定アンペア数のヒューズにすること。
その4 ヘッドライトや室内灯交換で出火やエンジン不動!
ヘッドライトや室内灯のLEDバルブ交換は、付属のカプラーに差し替えるだけ、もしくはLEDバルブに差し替えるだけと作業自体は非常に簡単なDIY。
室内灯を明るいLEDバルブに変更もしくは交換時にショートさせたらエンジン始動不可やクルマの電源すら入らない、ヘッドライトバルブ交換の場合は光軸が合わず車検落ち、HIDのヘッドライトユニットから出火……など、笑えない事故も。
ショートさせる原因は、先にも書いたがマイナス端子を外していないからだ。マイナス端子を外さずにバルブを差し込んでショートしない場合「も」あるが、マイナス端子さえ外しておけばショートはまず起こらない。
室内灯のLEDバルブへの交換程度でクルマが動かなくなるなんて思いもしないが、特定の車種では実際に起こっているので要注意!
こうなってしまうと、愛車をクルマ屋へ持ち込みたくとも持ち込めず、レッカー車を手配する必要があるなどかなり大ごとになる。
さらに、ネットでは海外製の安価なLEDバルブも売られており、「爆光!」などとうたっているLEDバルブのなかには粗悪品や光軸の合わないものもある。よって事前の下調べはかなり重要といえる。
とにかく電装系のDIYはショートに十分ご注意いただきたい!