「アイドリングストップは常時オフ」のほうが愛車が長持ちして結局コスパいいって本当??
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ベストカーWeb より

低燃費技術(=CO2排出低減)の方策のひとつとして、2000年ごろから普及し始めたアイドリングストップ。信号待ちで停止している際などのアイドリング時に、エンジンを停止させることで燃料の消費を抑え、CO2を低減させるというものです。
アイドリングストップで低減できるCO2排出量はわずかではありますが、「塵も積もれば山となる」というように、環境保全のためにはこうした積み重ねが重要。ただ実は、純ガソリンエンジン車(ディーゼル車含む)のアイドリングストップは、愛車にとっては、あまりよくない装備であることご存じでしょうか。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_tarou230/写真:TOYOTA、Adobe Stock、写真AC
燃料消費はわずかながら抑えられるものの、バッテリーにかかるコストが増える
冒頭で触れたように、アイドリングストップ機構とは、信号待ちなどでクルマが停止したときに、エンジンを停止させる機構のこと。エンジンを停止させることで無駄な燃料消費を抑えるというものです。
わずかながらでも燃料消費が抑えられることで、CO2排出量を削減できることのほか、ユーザーとしては気になる燃料代を抑えられるのでは、と考えがちですが、実は純ガソリンエンジン車(ディーゼル車含む、以下同様)のアイドリングストップ機構は、節約できるどころか、逆にお金のかかる装備。信号待ちのたびに停止と始動を繰り返すためにバッテリーにかかる負担が大きく、そのためにバッテリーが高性能である必要があるからです。
高性能であることが求められるため、アイドリングストップ非搭載車のバッテリーよりも1.5倍ほど高価で、かつ交換サイクルも短く、アイドリングストップ非搭載車の「3~4年に1度」に対し、アイドリングストップ車用バッテリーは多くの場合「18か月または24か月」と、おおよそ2分の1程度しかありません。
半分の交換サイクルで、1.5倍も高価なものに交換することでかかるコストを、アイドリングストップしたことで抑えられたわずかな燃料代で取り返すことはかなり難しいこと。ガソリン車のアイドリングストップは、愛車にとっては負荷が大きく、コストのかかる装備なのです。
ちなみに、ハイブリッド車(ストロングハイブリッド)のアイドリングストップは、補器バッテリーにかかる負荷がガソリン車よりも格段に少ないため、ガソリン車のアイドリングストップ搭載車のように専用の補器バッテリーを搭載する必要がありません。どのメーカーも概ね従来の補器バッテリーを搭載しているようです。
メーカーもアイドリングストップの搭載をやめる動きが
そのためか、昨今のガソリン車の新型車では、アイドリングストップが搭載されていない車種が増えています。トヨタの場合は、ヤリス、カローラ(スポーツ、ツーリング、セダン、クロス、GR)、RAV4、ハリアー、ランドクルーザー300、ランドクルーザー70、ランドクルーザー250、アルファードなど(いずれもガソリン車)では、アイドリングストップ装置が搭載されていません。
ホンダでは、Nシリーズ全種とステップワゴンにはアイドリングストップ装置が搭載されていますが、フィット、WR-V、ZR-V、ヴェゼル、新型フリードでは非搭載。日産では、ルークス、デイズ、セレナ、NV200バネットにはアイドリングストップ装置を搭載していますが、スカイライン3Lターボには非搭載となっています。三菱デリカD:5やエクリプスクロスも非搭載です。スバルやマツダでは、主要車種においてアイドリングストップを搭載していますが、スズキもソリオやワゴンRの一部車種でアイドリングストップを搭載していません。
アイドリングストップを搭載していても、ユーザーが(再発進時にもたつくなどの煩わしさから)機能を停止していることが多く、またハイブリッド車の販売比率が右肩上がりで増えているいま、ガソリン車のアイドリングストップによる燃費向上については、メーカーも重要視していないのでしょう。
オフにしておいてよいのでは
アイドリングストップにはまた、これから迎える夏の時期には、カーエアコンのコンプレッサーも作動させることができなくなるため、信号待ちで送風モードになってしまう、という難点もあります。
アイドリングストップ搭載車であっても、機能をオフにしておくことで、バッテリーの交換サイクルは長くすることが可能。わずかながらでもCO2の排出低減をできるアイドリングストップ機能ですが、バッテリーの交換頻度が上がることから、本当に環境によい方策なのかも微妙なところ。そのため、コストや使用感が気になるならば、ガソリン車では機能をオフにしておいてもよいのではないでしょうか。