視界良いのに「フォグランプ点灯」違反になる? よくみる「フォグ+スモール」はどうなる? そもそも「フォグ」って何語ですか? 正しく活用したい「謎のランプ」とは
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くるまのニュース より

よく見る「フォグランプ点灯」 違反にならないの?
夜間はヘッドライトを点灯させますが、一緒に「フォグランプ」も点灯させているクルマをよく見かけます。
そもそもフォグランプとは何のために存在し、どのような時に使うのでしょう。また、「点灯させた方が明るいから」「何だかカッコいいから」といった理由で点灯させても違反にならないのでしょうか。
フォグランプのフォグとは、英語のFog(日本語の「霧」)に由来するもので、正式には「前部霧灯」といいます。
道路運送車両法の保安基準第33条の2では、前部霧灯について、このように定義されています。
「前部霧灯は、霧等により視界が制限されている場合において、自動車の前方を照らす照度を増加させ、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない」
霧のなかを走行した経験がある人であれば、「ヘッドライト(ロービーム)だけ走行するのは大変だった」と感じたはずです。
かといってハイビームに切り替えると、今度は霧に光があたって反射してしまい、かえって視界を遮ってしまうこともあります。そこでようやくフォグランプの出番となるわけです。
フォグランプを点灯させると、前方、特に足元(フロントの下部)の視界が確保できるようになります。
それと同時に、同じく視界が悪くて見えない対向車や周囲に、自分のクルマが「ここにいる」ということを知らしめる意味合いもあります。
そのため、直前の視界さえも確保できないような豪雨のときも、威力を発揮することがあります。
輸入車では欧州の法規の関係で標準装備されることが多く、一部の国産車(寒冷地仕様でオプション設定されることもある)にも装備されている「リアフォグランプ」も、同じく濃霧や著しい悪天候のときに、後続車に自車の位置を知らせる意味で重要な役割を担っています。
筆者(自動車ライター 松村透)も高速道路を走行中、ワイパーが効かないほどの集中豪雨に何度も遭遇したことがありますが、前方を走る1台の輸入車がリアフォグランプを点灯してくれたおかげで、ギラッとした赤いランプを頼りに走行することができました。

実際どうなのか
このように、フロントおよびリアフォグランプともに、悪天候時に使用することを前提に設計・装着されています。
ただし、実際のところはヘッドライトやブレーキランプのように、すべてのクルマにとって装着が義務づけられているものでもありません。
保安基準でもフォグランプはいわゆるヘッドライト(前照灯)やスモールランプ(ポジションとも・正式には車幅灯)とは違う灯火として位置づけられています。
標準装備されているクルマがあるいっぽうで、オプション設定だったり、装着自体が不可といったモデルがあるのもそのためです。
では、平時にヘッドライトとフォグランプを点灯させた状態で走行することは、何かの違反になるのでしょうか。
道路交通法には、「必要のないときにフォグランプを点灯させてはならない」という明確な文言はありません。つまり、結論からするとフォグランプを点けること自体は特に違反にはならないのです。
ただし、フォグランプを点灯させたことで、対向車のドライバーにまぶしいと感じさせれば、道路交通法第52条の2に違反する可能性もあります。
同法では以下のように明言されており、違反として取り締まりを受ければ「減光等義務違反」として、違反点数1点、普通車は6000円の反則金が課せられます。
「他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない」
ときどき、非常に明るいLED式やHID式のフォグランプを点灯させているクルマがいますが、ほかの迷惑になっているのであれば、十分違反になりえます。
さらに、ロービームやハイビームを点灯しなければならない夜間に、スモールライトとフォグランプのみを点灯させた状態で走行するクルマを見かけることがあります。
実はこれ、「無灯火」と見なされるため違反として検挙される可能性があるのです。先出の通り、フォグランプはヘッドライトやスモールランプではないからです。
その際、普通車の場合、違反点数1点と反則金6000円の罰則が適用されます。
悪天候時に非常に役に立つフォグランプ。ただし、本来の機能や役割を正しく理解しないと、周囲の迷惑になることもあります。しっかり理解したうえで、正しく活用することが望ましいでしょう。