永遠に使えるものなんてない!! [消費期限があるクルマのパーツ]あなたはどれだけ知ってる?
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ベストカーWeb より

自身の体の健康に関わる食品には賞味期限や消費期限がある。さすがにクルマのパーツに賞味期限はないが、寿命を迎えるパーツは多くある。モノによっては明確に“◯年”と期限が決められているパーツもあるのだ。長期休暇期間中は今一度、愛車の消耗品をチェックするチャンス! この機会に一度総チェックしてみてほしい。
文/山口卓也、写真/写真AC
■使用期限が1日でも過ぎると車検不合格となる可能性の高いパーツも!
クルマのパーツには明確に期限が決められているものと、「〜を目安に交換」とされているパーツがある。
明確に使用期限が決められているパーツは、1日でも過ぎると車検に合格しない場合があるので、ユーザー車検で済ませている人は必ずチェックしておきたい。
■寿命を過ぎると事故につながりかねないパーツ
寿命を過ぎて使っていても 「効果が低下しているようだが特に不満はない」と感じる程度のパーツと、寿命を過ぎるとある日突然その正しい能力を発揮しなくなり、事故につながりかねないパーツがある。その代表的なパーツが次の2つ。
●タイヤ
タイヤはブレーキと並んで、安全走行に欠かせないパーツ。寿命をはかる目安は“残り溝”と“期間”。寿命を過ぎたタイヤを使っていると他車や他者をも巻き込む大事故につながりかねないのでしっかりと確認しておきたい。
・タイヤ交換の目安 残り溝1.6mm 使用期間5年 製造後10年
残り溝を正確に測るためには専用の工具が必要だが、工具がなくても残り溝が1.6mmに達したこと知る方法がある。
タイヤショルダー(肩)をよく見ると△マークがあり、このマークが指す先にあるのが「スリップサイン」と呼ばれるタイヤの寿命を見極めるための溝内の突起。残り溝が1.6mmに達するとこの突起が溝とつながる(溝と同じ高さになる)ことで寿命を知らせてくれる。
・4桁の数字が示す製造年週
多くのタイヤの製造年月はタイヤのサイドウォール(側面)に4桁の数字で記載してあり、製造年月というより製造年週の記載となる。
例えば3823と記載があれば、最初の2数字38はその年の38週目であることを指し、後ろの2数字23は2023年を指している。
残り溝と使用期間・製造年週のどちらを優先するか? という疑問があるが、溝がまだまだ残っていても使用期間が5年を過ぎているか製造後10年を経過したタイヤは、経年劣化が進んでゴムから油分が揮発して柔軟性が著しく低下していることがある。
こうなるとグリップ力が低下して大事故につながりかねないので、悩む人はタイヤ販売店などで点検を受けるべき。
●ブレーキ
タイヤと並んで、寿命を迎えたものは事故につながりかねないので即交換したいのがブレーキ関係。
摩耗するのはディスクブレーキでは主にブレーキローターと摩擦材であるブレーキパッド。ドラムブレーキでは主にブレーキドラムとブレーキシューである。
・ブレーキパッド交換の目安 残り厚2mm
・ブレーキシュー交換の目安 残り厚1mm
「残り厚」の目安を書いたが、ディスクブレーキはまだしも、ドラムブレーキの残り厚は外から目視できない。よって、DIYでタイヤを外してホイール交換するくらいの人でなければ自身で確認する方法はほぼないと思っていい。
お薦めなのは、タイヤ交換をショップにお願いする際にブレーキの摩耗具合も点検してもらうこと。「残り厚◯mmですね」と言われた際に、交換するかどうかを決めればいい。
また、次のような異常がある場合は交換の可能性は非常に高い。
・ブレーキをかけた時や走行時に異音がする(キーキーやシャンシャンという音)
・制動力の低下を感じる
・ブレーキペダルを踏むと振動する
・ブレーキペダルをいつもより深く踏まないと制動しない
■寿命を迎えた場合にはショップに交換をお願いしたいパーツ・油脂類
タイヤやブレーキ関係もそうだが、以下は寿命を迎えた場合にはショップに交換依頼することをお薦めする。また、目安はあくまで目安であり、詳しくは愛車の取り扱い説明書に従うこと。
・エンジンオイル ガソリン車:1.5万kmまたは1年(ターボ車やディーゼル車、シビアコンディションでは大きく変わるので取り扱い説明書に従う)
・オイルフィルター エンジンオイル交換2回に1回
・冷却水 新車:16万kmまたは7年 2回目以降:8万kmまたは4年
・燃料フィルター 10万km
・ブレーキフルード 車検ごと
・クラッチフルード 車検ごと
・ヘッドランプ ハロゲン:3年1000時間 HID:5年2000時間 LED:15年10000時間
・ドライブシャフトブーツ 点検後に異常があれば
・タイミングベルト 10万km
・スパークプラグ 点検後に異常があれば
・Vベルト 点検後に異常があれば
■寿命を迎えた場合に自身でも交換可能なパーツ
「ホイール交換もオイル交換もショップにお任せ!」という人でも、寿命を迎えた場合に自身で交換可能なパーツがある。それが次の6つ。
ちなみに、ここで示す寿命はあくまでも目安で、使用条件、車種によって異なる場合があることはご了承いただきたい。
・発炎筒 4年
・ワイパーゴム 1年
・エアコンフィルター 1.5万km~3万km(シビアコンディションでは1~1.5万km)
・エアクリーナー 5万km(シビアコンディションでは2.5万km)
・パンク修理キットの修理剤 4年
・バッテリー 2~3年
上記6つのうち、多くのクルマでは助手席の足元に設置される発炎筒は正式名称を“自動車用緊急保安炎筒”と言い、誤表記しがちな発煙筒ではなく“発炎筒”が略称。
発炎筒の有効期限に関しては保安基準に記載がなく、「設置されていれば車検に通る」と言われることもあるが、筆者は数年前に受けたユーザー車検で「有効期限が切れているので交換してください」と検査官にはっきりと言われたことがある。
最近では火薬式の発炎筒ではなく、LED式の非常信号灯が普及しつつあり、火薬式の発炎筒を装備していて有効期限が心配な人はLED式に交換するのも手。ただし、使用電池が消耗していないかは必ずチェックしておきたい。
ワイパーゴムやエアコンフィルター、エアフィルターなどは特別な工具を必要とするものはほぼないため、自身のクルマの取り扱い説明書や商品パッケージ裏側などを確認すればDIYが苦手な人でも交換可能。
バッテリーに関しては作業手順こそ難しくないものの、ナビなどの他のメモリー機能が失われたり(ディーラーへ復帰作業をお願いすることになる場合も……)、交換時にプラスとマイナスをショートさせて大トラブルを生む可能性もあるので、少しでも不安を感じる人はショップへお願いするべきだろう。