「新品タイヤはそのまま走っちゃダメ、皮むきしてから」って本当? 開発試験者が解説します
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ベストカーWeb より
タイヤは、使っていても使っていなくても、時間の経過によって劣化します。
そのため、「新品タイヤへ交換した直後がもっとも性能が良い」と思われがちですが、実は最初から、タイヤの持つパフォーマンスを最大限引き出せるわけではありません。
タイヤの「皮むき」とよばれる作業についてご紹介しましょう。
文:吉川賢一
アイキャッチ画像:Adobe Stock_daniy
写真:Adobe Stock、写真AC
皮むきとは、タイヤのトレッド表面についた離型剤を剥ぐこと
「タイヤの皮むき」とは、新品タイヤのトレッド表面にのっている薬品の膜を剥ぐために、慣らし走行をする行為のこと。
タイヤは、金型にゴム素材を入れて焼き固めてつくられますが、このときに金型からタイヤをはがれやすくするため、トレッド表面には離型剤という薬剤が使われています。
出来上がったタイヤの表面へ均一に付着していますが、離型剤は滑りをよくするワックスのようなものであるため、そのままの状態だと滑りやすいのです。
そのため、新品タイヤへ交換した直後は、無理な走行はせず、ゆっくりと丁寧に運転をすることが推奨されているのです。
離型剤を除去するため、タイヤ表面を洗剤でゴシゴシと洗ったり、紙やすりで削って除去する人もいるようですが、タイヤ表面にのっている薬剤には、長期保管時にタイヤを保護する成分も含まれていますので、お薦めはできません。
以下でお薦めするような、慣らし運転をすれば十分だと考えられます。
距離100kmが皮むきの目安
具体的な「皮むき」のやり方としては、タイヤメーカーやタイヤショップでは時速60km/hで100kmの走行距離が推奨されています。タイヤの皮むきが済むまでは、高速道路の走行は避けるようにとするタイヤメーカーもあります。
筆者も自動車メーカー勤務時代に、新品タイヤを使用する車両実験を行う際は、皮むきのために、100km/hの高速巡行走行で1時間走り続ける作業をしていました。
急なハンドル操作や急ブレーキなどは避け、あくまで丁寧な運転で100km程度走行することで新品タイヤのゴムをあらわにし、タイヤのパフォーマンスを100パーセント発揮させることができるのです。
ただ、気にしすぎる必要はない
そうはいっても、「新品タイヤは滑るので怖い」と考えすぎる必要はなく、丁寧な運転を心がけていれば何ら問題はありません。
タイヤに関しては、それよりも日頃から空気圧チェックを欠かさないことのほうが重要。
タイヤの空気圧は、横方向のグリップ、乗り心地、ブレーキ、静粛性、燃費など、動性能の全てに影響を及ぼします。
1ヵ月ごとの空気圧チェックは、怠らないようにしたいものです。