「3秒停止が必須」は都市伝説! 止まったのに違反をとられた!? 元教習所教官が教える「一時停止」のホントのところ
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WEB CARTOP より
一時停止ってそもそも何秒止まればいい?
内閣府が発表している「令和5年交通安全白書(全文)」によると、令和4年中における車両等の道路交通法違反(点数告知に係る違反を除く)の取締り件数は505万3271件でした。このうち、一時停止違反は、146万6131件と違反件数第1位です。一時停止は、一般的に3秒止まらなければならないと言われることがあります。また、一時停止で完全に止まっても違反になるケースもあるようです。
では、これらは本当なのでしょうか。今回は、一時停止とは何なのか、どのような場合に取締りの対象となるのか考察します。
そもそも道路交通法上の一時停止とは?
一時停止とは、文字どおり一時的に止まることです。タイヤが完全に止まってクルマの動きが止まれば、一時停止をしたということになります。そのため、一時停止したと判断されるためには3秒の時間が必要などという時間の定めはありません。
では、なぜ3秒が目安と言われるのでしょうか。
目安が3秒と言われる理由
一時停止の目安がおおよそ3秒と言われるのは、一時停止したあとの安全確認の時間が含まれるからだといえるでしょう。
国家公安委員会が作成している「交通の方法に関する教則」の「交差点の通り方」には、次のような記載があります。
【交通の方法に関する教則「交差点の通り方」より一部抜粋】
・「一時停止」の標識のあるところでは、一時停止をして、安全を確かめなければなりません。
・交差点(環状交差点を除く)に入るときは、交通量の少ないところでもいきなり飛び出さないで、安全を十分確かめ、速度を落として通りましょう。また、狭い道路から広い道路に出るときは、とくに危険ですから一時停止をして安全を確かめましょう。
交通の方法に関する教則の文面からわかるのは、一時停止したあと、先の道路の状況や交差する道路の状況、歩行者や二輪車のすり抜けなどがないかを確かめてから発進しなければならないということです。つまり、一時停止して、周囲の安全を確認してから、クルマを発進させるという順序になるため、おおよそ3秒ほどの時間がかかるといわれるようになったと考えられます。
ポイントは「停止位置」!
一時停止で完全停止しても違反になるのはホント?
一時停止で完全停止しても一時停止違反になるというのは本当なのでしょうか。じつは、一時停止しても一時停止違反になる可能性はあります。
道路交通法第43条には、次のように明記されています。
【道路交通法第43条「指定場所における一時停止」より一部抜粋】
車両等は、交通整理が行なわれていない交差点またはその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあっては交差点の直前)で一時停止しなければならない。
ここでポイントとなるのは、一時停止する位置です。
条文の「道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあっては交差点の直前)」という一文からもわかるように、停止線がある場合は停止線の直前、停止線が設けられていない場合には交差点の直前で一時停止しなければ一時停止したとみなされません。
では、具体的に「直前」とはどのくらいの距離なのでしょうか。
法律の条文には明記されていませんが、停止すべき場所の手前2m以内で一時停止しなければ一時停止したと判断されません。これは、筆者が教習指導員として勤務していたときに技能検定員(技能試験の採点をする試験官)から教えてもらったことです。
なぜ2m以内なのかというのは、一時停止の方法を考えることで解決することができます。
一時停止は、前の車両に続いて止まった場合であっても、停止線または交差点の直前で一時停止しなければ、一時停止したことにはなりません。つまり、前の車両に続いて止まったからという理由では、一時停止したことにはならないのです。
このことからわかるのは、停止線または交差点の直前で、停止すべき位置から間隔を空けすぎている場合、二輪車が発進したあと、そのまま発進したと誤解される可能性があるということです。そのため、停止線または交差点の直前(2m以内)で一時停止しなければ取締りの対象になる可能性が十分にあるといえます。
このように、停止位置が不適切なために、一時停止したと判断されず取締りの対象にならないようにするためにも、一時停止場所では直前でしっかりと止まりましょう。