なぜ信号「緑」を「青」と呼ぶ?? 青信号は「進め」じゃない!? 信号機の正しい意味を正しく理解できてる?
口コミを書く
口コミを見る
ベストカーWeb より
クルマを運転するときに「必ず」と言っていいほど目にする信号機。横型の信号機では左から「緑・黄・赤」の灯火が並んでいるが、それらの意味を正しく理解していないドライバーが意外と多いという。そこで今回は信号機のお話。
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/写真AC、Adobe Stock
そもそも、なぜ緑・黄・赤なのか?
世界初の信号機は、1868年にイギリス・ロンドン市内で馬車の交通整理のために設置されたガス灯火式信号機。
電気式信号機としては、アメリカ・ニューヨーク五番街に1918年に設置されたものが世界初と言われている。このときの信号機の色は、いまと同じく緑・黄・赤が使われており、現在も世界中で緑・黄・赤となっている。
これは、CIE(国際照明委員会)により、信号機に使用してもよい色として緑・黄・赤・青・白が規定されていて、交通信号機には緑・黄・赤が割り当てられているからだ。
ちなみに、信号機が左から緑・黄・赤という配列で赤色が右端にあるのは、できるだけ道路の中央寄りにして街路樹などがあってもよく見えるように、という理由から。赤色さえ見えればクルマは止まるので、事故は起きないというわけだ。
「緑」の信号を日本では「青」と呼ぶ理由は?
現在、日本では「緑」の信号を「青」と呼んでいる。交通教本にも「青色」と書かれており、1947年に制定された道路交通取締法第3条でも「青色」とされ、現在の道路交通法施行令 第3条にも「青色」と記されている。
この、緑を「青」と呼ぶ理由として、日本では緑色の野菜を「青物」、緑色をした竹も「青竹」、緑に染まった景色を「青々とした」と表現するなど、日本での「青」が表す範囲の広さによるという説や、色の三原色である青・黄・赤が影響しているという説などさまざま。
だが、いまも一般的に「緑色の信号機の灯火」を「青」と呼ぶため、今回はすべて「青」と呼ぶことにする。
次項からは青・黄・赤の灯火の意味をおさらいしたい。
青色の灯火は「進め」ではなく「進んでもよい」
●青色の灯火の意味
1.歩行者は進むことができる。
2.自転車やリアカーなどの“軽車両”は直進・左折ができ、軽車両を除く車両と路面電車は直進・左折・右折ができる。
3.軽車両と、排気量50cc以下の原動機付き自転車(いわゆる原付一種で、“原チャリ”とも呼ばれている)が右折する場合は、“二段階右折”を行う。
その行い方は、左端の車線(直進レーン、左折専用レーン問わず)を右ウインカーを出しながら走って交差点をまっすぐ渡り、向きを変えてから、進むべき方向の信号機が青になるのを待ち、青になってから進む(これで右折完了となる)。
「右ウインカーを出しながら直進?」と思うが、これが正解なのだ。左折専用レーン内で右ウインカーを出しながら直進する原動機付き自転車は、パッと見はおかしな動きだが「二段階右折するんだな」と理解しておきたい。排気量50cc以下の原動機付き自転車は普通自動車免許で運転できるので、自らがこの操作をすることになるかもしれない……。
●青色の灯火で勘違いしやすい点は?
青色の灯火を「進め」と認識しているドライバーもいるだろうが、歩行者や他車など他の交通状況が良ければ「進んでもよい」という意味。簡単に言えば、「進め」ではなく「進むことができる」が正解だ。つまり、安全が確認できない場合は進んではいけないのだ。
黄色の灯火は基本的には「止まれ」
●黄色の灯火の意味
1.歩行者は、道路の横断を始めてはならない。横断中の歩行者は、すみやかに横断を終えるか、横断をやめて引き返さないとならない。
2. 車両と路面電車は、停止線を越えて進んではならない。しかし、信号が黄色に変わったときに停止線に近づいていて、安全に停止することができない場合はそのまま進むことができる。
●黄色の灯火の点滅の意味
歩行者、車両、路面電車は、他の交通に注意して進むことができる。
●黄色の灯火で勘違いしやすい点は?
黄色の灯火を「注意して進め」と思っているドライバーもいるかもしれないが、基本的には「止まれ」なのだ。
また、黄色の灯火のところで、「安全に停止することができない場合」というくだりがあるが、これは「停止することで急ブレーキとなり、追突・スリップ・転倒・同乗者に対する危険が予測できる場合」を指している。
赤色の灯火の点滅は「停止線で一時停止」が大事
●赤色の灯火の意味
1.歩行者は横断してはならない。
2.車両と路面電車は、停止位置(停止線)を越えて進んではならない。
3.交差点ですでに左折している車両や路面電車は、左折方向の信号が赤でもそのまま進むことができる。
4. 交差点ですでに右折している車両や路面電車は、右折方向の信号が赤でもそのまま進むことができる。この場合、その車両や路面電車は、青色の灯火に従って進んでくる車両や路面電車の進行を妨げてはならない。
ただし、軽車両や二段階の右折方法により右折する原動機付自転車は、右折方向の信号が赤のときは、その右折している地点で停止していなければならない。
●赤色の灯火の点滅の意味
1.歩行者は、他の交通に注意して進むことができる。
2.車両と路面電車は、停止線で一時停止し、安全を確認して進むことができる。
●赤色の灯火、赤色の灯火の点滅で勘違いしやすい点は?
赤色の灯火を「止まれ」と思っているドライバーもいるかもしれないが、これは厳密に言うと停止線を越えて「進んではいけない」が正解。
例外として、赤信号になったときに右左折のために停止線を越えて交差点内にいる場合はそのまま進める。なぜなら、信号が赤になったからといって交差点内で急停止するとかえって危険だからだ。
また、赤色の灯火の点滅を、「徐行して進める」と思っているかもしれないが、「停止線で“一時停止”したうえで、安全確認した後に進むことができる」が正解。“一時停止”が非常に重要なのだ。
「左折可」の標示板があるときは要注意!
道路の左端や信号機に「左折可」の標示板(白地に青い左向き矢印)があるときは、前方の信号が赤色や黄色であっても、歩行者や周りの交通に注意しながら左折できる。
この標示板、そんなに頻繁に見ることがないので、とっさに「???」と戸惑ってしまうドライバーもいるだろう。
「左折可」の標示板より前方の信号が赤色の場合や、この一瞬の戸惑いからブレーキペダルを踏んで急減速したために後続車が追突……なんてことも起こりうるので、「左折可」の標示板の意味はきちんと覚えておきたい。
普段なにげなく見ている信号機の話、「え? 認識を間違ってた!」という人も多いのではないだろうか? ちなみに筆者は二段階右折時の右ウインカーを知りませんでした。原付→自動二輪→普通自動車……と免許を取ったのにお恥ずかしい。
引用元:https://bestcarweb.jp/feature/column/740561