道路にある「謎の棒」の役割は? ぶつかっても大丈夫? 柔らかい理由は?
口コミを書く
口コミを見る
くるまのニュース より
ラバーポールは事故を未然に防ぐすごいヤツ
街中の至る所にはオレンジ色の「謎のポール」が設置されていることがあります。
特に道路のセンターライン上には並んで配置されるこのポールにはどのような意味があるのでしょうか。
道路上で無数に並んでいるオレンジ色や緑色のポールを「ラバーポール」といいます。
正式名称は「車線分離標」と呼ばれるもので、一般道のみならず、高速道路や歩道、駐車場など設置場所は多岐にわたります。
ラバーポールは、ポストコーンやコールコーンなど製造元によってさまざまな名称が与えられていますが、国土交通省ではラバーポールと表記されているので、この名称が一般的といえるでしょう。
設置の目的は、道路の区分をわかりやすくするために用いられ、普段街中を運転しているときに見かけることも多いかもしれません。
最近では高速道路のスムーズな合流を促すためや逆走防止のために本線の合流地点でも数多く設置されるようになりました。
また夜間の運転の際は、反射板のおかげで暗い道でもコースがわかりやすくなり、ガイドラインとしての役割も果たしています。
ラバーポールが普及した理由のひとつに、高い衝撃吸収性があげられます。
それでは、なぜポールコーンは衝撃吸収性の高い素材を使用しているのでしょうか
ラバーポールの製造・販売を行う積水樹脂の担当者は次のように話します。
「ラバーポールは、車が接触する可能性の高い場所に設置することが目的の製品です。
そのため、車が接触してもドライバーや車にも大きな衝撃をあたえず、大きな事故につながらないようやわらかさをもたせています。
また、車に踏みつけられても速やかに起き上がり、しかもその機能が長期間にわたって維持される素材を使用しています」
※ ※ ※
さらに、クルマとラバーポールが衝突しても、双方に傷や破損はほとんど見られなく、10年以上設置しているラバーポールも存在します。
とくに片側1車線の高速道路上で中央車線に設置されるのは、事故の際に緊急車両が臨機応変にUターンできることも理由のひとつといえるでしょう。
海外でも人気!見た目は似ていても用途は多彩なラバーポール
耐久性にも優れ、気象条件にも関係なく設置できるので、近年ではアジア、ヨーロッパ、アメリカなどのクルマ大国でも日本発祥のラバーポールの利用が広がっています。
また、ラバーポールが海外で高い需要を発揮する理由について、前出の担当者は次のように話します。
「海外では硬いコーンやレールで車に強制力を持たせるケースが多かったのです。
しかしラバーポールの認知度もあがり、車が接触しても壊れにくく、車にも大きな傷がつきにくいラバーポールが広がってきたと思われます。
一言でいうと、一般的に全ての製品において、海外(特にヨーロッパ)は車を壊してでも止めることを優先し、日本はドライバーが怪我をしないように計算した製品をつけています。
しかし、海外でも日本のような考え方に変わってきた形です」
このように、その安全性から世界各国で高い需要を誇るラバーポールですが、どのような場所に設置されているのでしょうか。
最も一般的なのは、センターラインや歩道と車道を分離させるところに設置されています。
最近では、自転車専用道路でも普及してきており、車道と自転車道を区分するために設置されているものもあります。
ほかにもスピードの出やすいカーブやUターン禁止区域でもラバーポールは設置され、スピードの抑制や交通違反防止の役割を果たしています。
また、逆走禁止やスクールゾーンなどの注意喚起で設置されることも増えてきました。
ラバーポール自体は30年以上の実績があり、今日に至るまでにさまざまな進化を遂げています。
見た目は普通のラバーポールでも、反射板の一部にスワロフスキー社製の精密な特殊ガラス材を使用することによって、さらに高い視認性を実現しているものもあります。
また、ラバーポールは見た目や素材だけでなく、設置方法も大きく進化しているようです。
以前は路面に対して、ベースごと直接接着するかアンカーで固定する方法でしたが、現在ではアンカーを埋め込みねじ込み式で設置する方法も誕生してきました。
ポストを路面に差し込み半回転で撤去、設置が可能で、着脱時間は4分の1まで減少しています。
また、破損時の交換が楽なだけでなく、豪雪地帯の除雪作業ではラバーポールの着脱が必須なこともあり、従来に比べて作業効率もアップしているようです。
ほかにもベースを硬い素材で、ポール部分を柔らかい素材で作成することによって、衝突耐久性を持たせているタイプもあります。
※ ※ ※
他にも、ポールコーンと似たものに、「プロテクトボラード」があります。これは、横断歩道・歩道への車両進入や車両暴走による事故から歩行者を守る車止めの役割を果たしています。
通学路や歩行者の多い交差点で特に設置されており、今後ポールコーンとともにさらに普及していくかもしれません。