車内に「ドライバー」積んでおくと逮捕される? 車載工具は対象? 過去には逮捕者も…実態は
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くるまのニュース より
なぜクルマにドライバーを積んで逮捕されたのか?
以前、クルマの中にドライバーを隠し持っていたとして鳥取県の男性が逮捕されたというニュースが報じられました。
ドライバーは日常的に使う可能性のある工具ですが、工具をクルマやバイクに積んでいただけで検挙されることはあるのでしょうか。
2022年5月、車内に工具のドライバーを隠し持っていたとして鳥取警察署が市内の男性を逮捕したと報じられました。
このニュースに対しSNS上では、「俺のクルマにも工具セットある」、「仕事道具として積んでいる」といった声や「ドライバーがダメなんて知らなかった」などさまざまな反響が寄せられています。
また、ドライバーはクルマの修理やアウトドアなどでも使用する可能性がある工具のため、「積んでいるだけでアウトなのかな?」と心配する声も聞かれました。
では、どのような工具をクルマやバイクに積んではいけないのでしょうか。
前述の事案では、ピッキング防止法違反の疑いで男性が逮捕されました。
ピッキング防止法とは正式名称を「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」といい、空き巣や事務所荒らしなど、犯人が建物に侵入する際に使う道具について取り締まる法律です。
ピッキング防止法では、正当な理由なく「特殊開錠用具」を所持することと、「指定侵入工具」を携帯することを禁止しています。
特殊開錠用具とは、鍵を開ける際に使われるピッキング用具、サムターン回しなどの道具のことをいい、鍵屋が業務に使うなど正当な理由がある場合以外は所持してはいけません。
とはいえ、特殊開錠用具は一般の人が日常的に使用する道具ではないため、あまり心配しなくても良いでしょう。
その一方、指定侵入工具は日頃使用する可能性があるため、持ち運び方法や大きさなどに留意する必要があります。
指定侵入工具とは、一定の条件に該当するドライバーやバール、ドリルのことであり、これらの工具を正当な理由なく”隠して”携帯していた場合に違反となります。
正当な理由があるかどうかは工具を携帯していた人の職業や工具の使用目的、携帯状況などを総合的に考慮して判断されます。
修理業者が業務で使用する道具を工具箱に入れて持ち歩く場合や自分でクルマの修理をするために持ち運ぶ場合、引っ越しに際して必要があって携帯する場合などは基本的に正当な理由があるとみなされます。
ただし、特に使用目的がなかったり護身用のために使うといった理由では、正当な理由がないと判断されるため注意しなければいけません。
また、工具を衣服のポケットの中やクルマのダッシュボードに入れているなど人目に触れない状況があれば、隠して携帯していたと判断される可能性があります。
具体的にどんな工具が対象となるのか?
ピッキング防止法の対象となるドライバーについては「先端部が平らで、その幅が0.5cm以上であること」や「長さ(専用の柄を取り付けることができるものにあっては、柄を取り付けたときの長さ)が15cm以上であること」という決まりがあります。
よく勘違いされがちですが、ピッキング防止法では”マイナス”ドライバーのみが対象であり、プラスドライバーは含まれません。
バールに関しても「作用する部分のいずれかの幅が2cm以上であること」や「長さが24cm以上であること」という決まりがあるほか、ドリルも「直径1cm以上の刃が附属するものに限る」という規定があります。
特殊開錠用具を正当な理由なく所持していたり、指定侵入工具を正当な理由なく隠して携帯していた場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
しかし、ドライバーなど日常的に使用する工具に関しては使用目的が明らかで、隠して携帯している状態でなければ、クルマに積んでいるだけで逮捕されることはまずないといえるでしょう。
なぜならば、警察側も工具を携帯している人の職業や使用目的などについて裏付けをおこない、総合的な状況から判断するためです。
仮に警察に職務質問を受けたとしても、慌てず冷静に説明することが大切といえます。
※ ※ ※
一定の大きさのマイナスドライバーやバールなどの工具を正当な理由なく、隠してクルマやバイクに積んでいる場合にはピッキング防止法違反に当たる可能性があります。
普段使用しない工具などは積みっぱなしにせず、整理しておくと良いでしょう。