なぜ信号待ちで「N」に入れたらダメ? 燃費向上効果があるは“ウソ”? 「D」に入れたまま“サイドブレーキ”もアウトな理由とは
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くるまのニュース より
基本はDにしたままフットブレーキで待機が最適
交差点の信号待ちや渋滞中にギアをD(ドライブ)のままにする方もいれば、N(ニュートラル)にしている人もいるかもしれません。本来はどちらにするのがよいのでしょうか。
また、AT(オートマチックトランスミッション)車で信号待ちや渋滞時の待機方法として他に手法はあるのでしょうか。今回はNで待機するメリット、デメリットや、最適な待機方法について考察します。
「AT車の信号待ちでシフトはDのままで待機かNやP(パーキング)を使用した方がよいのか」。この話題は、AT車の普及が始まりだした頃からあり、その結論は変わらずDにしたままフットブレーキで待機が最適と言えるでしょう。
基本的にAT車は、快適で容易な運転を実現した装備であり、運転中は原則Dに入れたままの使用を想定されています。
また、耐久性や燃費、安全性等の観点から総合的に見てもDで待機することが最適です。
耐久性については、近年の国産車であれば信号待ちでNを使用してもDのままであっても10万kmレベルで不具合が出ることは稀です。
しかしD→NやN→Dの操作を繰り返すとAT内部で動力伝達を司るクラッチの入力と切断が繰り返されることになります。
こういった動きはクラッチ部の摩耗が促進されるのに加えて、ミッションやドライブシャフトなどの駆動力を伝達する部品にも悪影響をおよぼし、長期間に渡って繰り返されれば耐久性に悪影響を招くリスクとなります。
さらに、信号待ちでシフト変更のショックがあれば乗員にとっても不快な動作となります。
燃費については、アイドリングストップ機能付きのクルマの場合、Nへ入れるとアイドリングストップが解除されるので、燃費が悪化する傾向となります。
また、Dのまま止まるとトルクコンバータへ負荷がかかり燃費が悪化するという考えもありますが、近年の車はDで停車すると自動的にクラッチを切断しNに切り替わる「ニュートラルアイドル制御」又は「ニュートラルコントロール」といった機能が搭載されたクルマが主流となってきており、手動でNへ入れる意味が無くなりつつあります。
安全性に関しては、誤操作や坂道での後退といったリスクがあります。想定されるのはNにしていたことを忘れ発進時にエンジン回転数のみを上げてしまい、この状態でDへシフトを入れてしまうことで動力がつながってしまい急発進してしまうことや、坂道の場合後退してしまい最悪の場合後続車へ衝突してしまうことも考えられます。
信号待ちでは知らぬ間に青になっていて発進で慌ててしまった経験の人も多いのではないでしょうか。こうしたリスクを避けるために無難にDのままフットブレーキで待機することが推奨されます。
D+サイドブレーキはアリ?
前述の通り、信号待ちではDでフットブレーキを使って待機するのが最適ですが、疲労軽減のためにブレーキペダルから足を離したくなることもあるかと思います。
そんな時、サイドブレーキ(パーキングブレーキ)をかけておけばブレーキペダルから足を離してもクルマを止めたままにできるので、やってみたくなった方やすでにやっているという方もいるのではないでしょうか。
この方法はサイドブレーキをかけるだけの楽な動作でもあるため、ついつい習慣的にやってしまいがちです。しかし、この方法は絶対にやめておきましょう。
万が一サイドブレーキが緩くなってしまっていたり、ブレーキのかけ方が甘かった場合はクリープ現象でクルマが動いてしまいます。そのまま気付かなければ、接触事故となる可能性もあります。
途中で気付いても、一度ペダルから足を離してしまったために焦ってしまい、ペダルの踏み間違えで急発進してしまうこともあるかもしれません。
クルマにとっても前進しようとしているとこを、サイドブレーキで強引に止めようとすれば、クラッチやトランスミッションに余計な負荷が発生し、故障の要因になりかねません。
また、絶対にやめておいた方がいいことはもう一つあります。それはN+サイドブレーキで待つ方法です。
N→Dへの切り替えはブレーキペダルを踏まずにできるクルマも多くあり、無意識に体の一部がシフトレバーに接触しDに入るリスクがあります。
気づかないうちにDへ切り替わってしまい、さらにサイドブレーキのかかり方が弱ければクルマは動いてしまうため、事故に繋がります。
Dへ入らずとも道路が傾斜になっていれば、クルマが勝手に動く可能性があり、注意が必要です。
※ ※ ※
信号待ちや渋滞時にフットブレーキで止まり続けるというのは、運転手自身が「ブレーキを踏んでいる」とハッキリ意識できる点が重要です。
しかし、レジャーなどで出かけると何十kmも渋滞が続くようなに環境に巻き込まれてしまうこともあります。そのような状況ではフットブレーキを踏み続けるのも疲れてくるでしょう。
あまりにも車が動かないようであればNではなく、Pを使い足を休ませれば誤発進のようなミスも防止できます。
Nは、故障時に手で押したりけん引される場合など、一時的に外部から動かす必要がある場合のみでの使用に限定しておくのが無難です。
AT車の運転では、原則Dのみで目的地まで走行をする意識にしておくのが、事故やトラブルのリスクを減らせると考えられます。