「花粉よりヤバい黄色いヤツ!」黄砂の破壊力をあなどるな!! 愛車徹底防御術
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ベストカーWeb より
ニュースで盛んに注意喚起されている黄砂。春は大量飛散の季節。中国やモンゴルの砂漠から偏西風にのって飛来し、さらには中国の工業地帯や都市部の上空を通過する際に粉塵や重金属、化学物質などの有害物質が付着しているというヤバい存在なのだ。
地域によっては視界不良となり、交通機関に影響が出ることも……。
このように、実は花粉より体への害は深刻と言われることが多い黄砂は、人間だけではなくクルマにとっても超やっかいな存在。
よほどの飛散量ではないと塗装面に降り注いでいることに気づかないことも多いが、それが命とり!
うっかり塗装面に手をついただけでも小キズがついてしまうことも……。黄砂の破壊力は花粉をはるかに凌ぐものなのだ。
今回は、そんな恐ろしい黄砂から愛車を守る術を解説していこう。
文/藤原鉄二、写真/写真AC
黄砂が花粉よりヤバいワケ
黄砂が花粉よりも厄介な理由は、やわらかい粒子の塊である花粉とは異なり、石英や長石などの硬い鉱物という点にある。
顕微鏡で黄砂を見ると、表面がトゲトゲ&ザラザラ。
つまり、パンパンと手で黄砂を払うというのはクレンザーで塗装面をゴシゴシとこするようなものなのだ。
さらに紫外線や太陽光の熱にさらされると粘度のように硬くなって塗装面に固着してしまう。
それを放置すると、化学反応を起こして塗装面を侵食したシミができてしまうことも……。
また、酸性雨と混じり合うことで化学反応を起こしてシミができてしまう。
時には、塗装面の奥底まで浸食していることもあり、そうなったらDIYで取り除くことは不可能となってしまう。
塗装面とフロントガラスは触らない!!
ここからはクルマを黄砂から守る実践法を解説していこう。
・毛ばたきやモップはやさしく使う
黄砂は花粉と異なり、硬くギザギザな粒子なので毛ばたきやモップなどで強くこすりつけてしまうと微細なすりキズがついてしまう。
もし払う場合は塗装面の表面をサッと軽くなでる程度に。触らぬ神に祟りなしなのだ。
・高圧洗浄で水洗い
シャンプーで洗車をする前に必ず水洗いをして黄砂を流れ落とす。とくに高圧洗浄と細かいところに入り込んだ黄砂も落とせるのでお薦めだ。
「花粉よりヤバい黄色いヤツ!」黄砂の破壊力をあなどるな!! 愛車徹底防御術高圧洗浄で水洗いをするのが一番。
細かいところにまで入り込んだ黄砂も取り除ける。
高圧洗浄機がない場合は、ホースの口を潰してできるだけ水圧を高くして水をかけよう
・シャンプーをしっかり泡立てる
残った黄砂をこすりつけることになるのでスポンジでゴシゴシと洗うのは厳禁。
シャンプーをしっかり泡立てて、泡で汚れとともに黄砂を包み込んで落とすというイメージで洗車しよう。
・黄砂の飛来時期(3~5月)は週一で水洗い
黄砂の塗装面への固着を防ぐため、ピークの時期は水洗いだけでもいいので週一くらいのペースで洗車をするのが理想だ。
・ボディカバーをきちんとつける
シャッター付きの屋根付きガレージといった贅沢仕様のガレージ以外に駐車している場合は、ボディカバーをかけるのが一番。
ただし、隙間いっぱいのガバガバ状態で装着すると隙間から黄砂が入り込んでしまううえ、風でボディカバーが動いてしまうと摩擦が発生して塗装面に傷をつけてしまうおそれがある。
・コーティング剤でボディを保護
コーティング剤は黄砂を付着させにくくする効果があるため、黄砂が多くなる時期は使用をおすすめする。
いっぽう、ワックスは黄砂を付着させにくくする効果はあまりないため、ワックスのみでは保護効果は期待できない。
・黄砂飛散量が多い日、強風の日には洗車をしない
水洗いをしても、水分を拭き取る時にボディに新たな黄砂が付着し、拭き取りの際に小キズをつけてしまうおそれがあるので、黄砂飛散量が多い日、強風の日の洗車は避けよう。
・いきなりワイパーは厳禁!
フロントやリアウィンドウはワイパーで払うのは絶対ダメ! ウォッシャー液だけでは十分に洗い落とせないため、水をかけて洗い流そう。
・ワイパーを立てておく
ワイパーとフロントガラスの間はたまり場になるため、黄砂の飛散量が多い日にはワイパーを立てて駐車をするというのも手だ。
車内は黄砂を持ち込まないことが先決
花粉以上に体への害が大きい黄砂だけに、車内に滞留していると体調不良を引き起こすリスクが高まる。とにかく車内に黄砂を持ち込まない、残さないことを徹底しよう。
・乗車前に服を叩く
乗車前に衣類に付着した黄砂を叩き落とす。また、髪の毛は黄砂の密集地帯なので、できれば乗車前にバサバサとするとより車内に黄砂を持ち込む量を減らせる。
・エアコンは内気循環モードに
黄砂まじりの外気を取り入れないように、飛散量が多い日は内気循環モードをデフォルトに。
・掃除機をかけたり水拭きをする
フロアマット、シートの隙間や縫い目、スイッチの凹凸部分、ドアポケットなどは黄砂のたまり場。掃除機をかけてしっかり吸い取ろう。
ダッシュボードやウィンドウは水拭きして、黄砂を吸い寄せる静電気の滞留を防ぐことも有効だ。
黄砂飛散のピークは3月~5月頃だが…
黄砂の正体は、中国やモンゴルに位置するタクラマカン砂漠やゴビ砂漠、黄土高原などにある砂や塵。
風によって数千m上空まで巻き上げられた砂や塵が偏西風に乗って日本に飛来する。
黄砂が飛来するピークは3月~5月頃。九州や西日本、東北や北海道の一部など、地理的に中国大陸に近い地域が特に飛散量が多い。
ただし、気象状況によっては太平洋側の地域でも、空が黄色くなるほどの量の黄砂が飛来する可能性がある。
また、近年の気候変動の影響で、ピークを過ぎても飛来が観察されることが増えてきているし言われているため油断は禁物だ。
飛散量が多い日はニュースなどでも注意喚起が行われるが、気象庁のホームページなどでもリアルタイムで確認することが可能だ。
気象庁・黄砂情報
健康被害も花粉以上に深刻!!
黄砂は花粉以上に重篤な目のかゆみ・充血、鼻水やくしゃみ、皮膚のかゆみなどのアレルギー症状、喘息症状を引き起こしやすいと言われている。
また、中国上空を通過する際に付着した工場の排煙、排気ガスなどに含まれるさまざまな有害物質、重金属が付着しているため、より深刻な健康被害を引き起こす可能性も……。
呼吸器の基礎疾患をもつ人は特に注意が必要だ。
また、黄砂は鉱物のため、金属アレルギーを持っている人は症状が重くなるケースがあるので注意したい。
黄砂は、クルマにも体にも深刻な害を及ぼすことは間違いない。ピークの時期には基本的に目に見えない砂粒や塵が空気中に漂っているものと思い、いつもより洗車を頻繁にする、車内に持ち込まないなどの工夫をして、凶悪な黄砂から愛車と体を守ろう!