知らず知らずのうちにクルマも疲れがたまる 「季節の変わり目にやるべきカーメンテ」
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ベストカーWeb より
冬がようやく終わり、桜が咲き、春が本格的にやってきた。こうした季節の変わり目にはクルマのメンテナンスを行う必要がある。そんな季節の変わり目に行うべきカーメンテナンスとは?
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(タイトル写真:Songkhla Studio@Adobe Stock)
■スタッドレスタイヤからノーマルタイヤに履き替える際に気をつけること
春は日々の寒暖差や気圧変動、日照時間の変化などによって人間も体調不良がよく起こる。そう、クルマも季節の変わり目は各部が不調になることが多くなるのだ。
冬から春にかけて急激に気温が変化するこの時期、メンテナンスを行うことは特に重要なので放っておかずにしっかりクルマのチェックを行いたい。降雪地域に住んでいる人は、霜や雪で酷使したワイパーや融雪剤が付いている下回りを洗うとともに錆ができていないかチェックしたい。
住む場所によってはまだ履き替えていない可能性のあるスタッドレスタイヤ。夏タイヤに履き替えたら、スタッドレスタイヤを保管することになるが、そのまま保管するのはよくない。
保管する前に、汚れや油分などしっかり落とし、既定の空気圧が入った状態はタイヤにとっては負担になるので既定の空気圧の半分程度に抜き、屋内で専用のタイヤラックに立てて保管するか、横に積んで保管するのがいいだろう。屋外であれば紫外線や水分から守ることのできるカバーをかけて保管しよう。
またノーマルタイヤの空気圧も再チェックしたい。タイヤは空気を充填することで形状を維持しているため、空気圧が足りないと変形してしまい、操縦安定性や燃費に悪影響が現われる。このため、空気圧チェックは、季節の変わり目の重要なメンテナンスの1つに挙げられる。くれぐれも注意したい。
■酷使したバッテリーのケア
冬の時期は気温が低く、日照時間も短いため、ヘッドライトやスターターの使用頻度が多いため、バッテリーが酷使され、化学反応も鈍く、性能が低下する。
さらに、渋滞路でのアイドリング時には発電量が消費電力を補いきれず、放電する一方の状態になりやすく、最悪、走行中にバッテリー上がりを起こすこともある。
なお、近年主流のメンテナンスフリーバッテリーのケース上面には、コンディションを目視確認できるインジケーターが設置されているが、このインジケーターを確認し、もし良好ではなかったらプロに点検を依頼したほうがいいだろう。
ターミナルをチェックも重要だ。緩みや白い粉が付いているような腐食を起こしていないかチェック。また接触不良があると電気の流れが悪くなり、緩んだだけでセルが回らなくなることがある。緩みはボルトを増し締めし、腐食していたら磨いてからグリルを塗ったほうがいいだろう。
ただし、2~3年ごとに新品バッテリーに交換している人なら大丈夫かもしれない。
一方、サルフェーションが進んだバッテリーは注意が必要。このサルフェーションとは化学反応に失敗した希硫酸が電気を通さない鉛となり結晶化、それがマイナス極板(負極板)表面にこびりつくことによって、極板と電解液の接触面積が減り、充電スピードが鈍化してしまうこと。
しかし、パルス充電を行うことによって、このサルフェーション現象を解消できる。実際、5年間で2、3回バッテリー上がりを起こしてしまったような乗り方でも、パルス充電を行なうことで交換することなく使い続けられるケースもあるという。
バッテリーの価格が高くなっている現在、高性能なバッテリー充電器でも、バッテリー価格の3分の1程度で手に入れることができるので、バッテリーを長持ちさせたいならパルス充電器で充電することをおススメする。
■軽視しがちなクーラント液
性能向上が著しい近年のクルマはオーバーヒートを起こしにくくなっており、統計的にも減ってきている。また、LLC(ロングライフクーラント)よりも寿命が長い長寿命なスーパーLLCの普及によって冷却水もメンテナンスフリー化しつつある。
とはいえ、乗りっぱなしで、必要最低限の日常メンテすら怠っていたとしたら、この限りではない。交換の目安としてLLC は2~3年での交換が推奨されている。
スーパーLLCの場合は、新車で走行距離16万kmまたは7年、2回目以降は8万kmまたは4年と長めになっている。
寒い冬の時期、よく起こるのが冷却水が少ないことによって起こる、暖房の不調。もし暖房が効かない、効きにくい状態だったら、冷却水が漏れていないか、診てもらったほうがいい。
冷却水の点検はタンク側面には上限と下限を示すラインが表示されているので、その間に液面があればいい。
ただし、水温に応じて液面が変化するため、点検はエンジンが冷えているときに行うのが原則で、補充するときは市販の「LLC補充液」を利用する必要がある。
また、点検時は劣化や水漏れの有無にも気を配る必要がある。LLCはワインのような透明な赤もしくは青や緑色で、もしもサビ色に変色していたら劣化している証拠で要交換。
■基本中の基本、季節の変わり目にはエンジンオイルをチェック
冬の終わりには、クルマに対してお疲れ様という気持ちを込めてエンジンオイルの量が適切や劣化していないかチェックを行いたい。
以前は寒い冬に柔らかいエンジンオイル、暑い夏に硬いエンジンオイルと、粘度の違うエンジンオイルを交換していたが、いまでは幅広い環境温度範囲をカバーするマルチグレードのエンジンオイルが普及しているため、1年を通じて同じ粘度のエンジンオイルを使っても問題ない。
さて、レベルゲージを引き抜いたなら、先端に付着しているオイルをウエスできれいに拭き取っていったん元に戻す。そして、再び引き抜いたときゲージ先端に付着したオイルで判定する。
ゲージ先端には上下2本の線溝があり上が「Hiレベル」、下が「Lowレベル」を意味していて、このHとLの間にオイルが付着してればオイル量はOK! Lレベル近辺まで減少していたときはHレベルまで補充しておきたい。
また、劣化の判定は素人が目視したところで正確な判断などくだせない。エンジンオイルには洗浄効果もあり、交換直後なのに汚れを取り込んで真っ黒ということも珍しくないからだ。
このため、あくまで目安となるが、レベルゲージに付着したオイルをきれいなウエスに1滴たらして、汚れの広がり方を確認してみたい。中心に汚れが凝縮され、その周囲に透明感のあるオイルが広がるようならまだ大丈夫。全体に真っ黒なオイルが広がるようなら劣化している可能性大。
このほかにも冬用の濃度の濃いウオッシャー液をそのまま使っていないか、ブレーキの点検など、異常はないか面倒くさいと思わずに点検したい。