充電カードって何だ? 電欠したらどうすればいい? なんとなく避けている人に読んでほしい 初めてのEV講座
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ベストカーWeb より
・車両価格が高い
・集合住宅住まい
・急速充電が混む
・航続距離がガソリン車より短くて不安
・EVに乗ったことがない
EV購入を選択肢から外す人の、なんとなくEVを避けてしまう理由・不安というと、こんなところになるだろうか?
EVにまつわるこれらの不安、実はいまはほとんどが問題なかったりする。
本企画では、EV歴8年の自動車評論家 片岡英明のテキストや、EVを10年以上売り続けてきた日産東京 新車のひろば目黒店への取材、アリアへの試乗などを通して、EVにまつわる不安や疑問を解決してみたい。
※本稿は2022年8月のものです。
文/片岡英明、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか、撮影/平野学
初出:『ベストカー』2022年9月26日号
■自動車評論家 片岡英明が解説。EVを所有してわかったメリットと困ったこと
8年前からEVライフを楽しむようになり、間もなく公道だけで10万kmに達する。
その間に氷点下15℃で雪が降り積もる北海道の雪道を走ったし、標高2500mまで山岳路を登っている。また、EVキャンプも楽しんだ。
長所は言うまでもない。
瞬発力の鋭い胸のすく加速フィーリングだ。
しかも内燃機関にはマネのできない、息継ぎのない滑らかな加速を満喫できる。
クルージング時だけでなく急加速した時も静粛性が高い。
これもEVの美点のひとつに挙げられる。
高速道路でも会話が弾むし、音楽好きはオーディオから出る最高の音色に聴き惚れるだろう。
充電は、基本的に家の普通充電器を使う。
ホンダeの航続距離は約200kmだ。仕事でそれ以上の距離を走る時は充電カードを使って急速充電を行う。
行動範囲が決まっていて、継ぎ足し充電を行うことが少なければ充電カード(番外コラムにて解説)を契約しなくてもいいと思う。
数は少ないが、無料の急速充電器を使える場所もある。
蓄積した電力が家庭用機器などの電源になる「V2L」と家とつながる「V2H」に対応し、蓄積した電力をどこでも(非常時にも)使うことができるのも魅力だろう。
いいことばかりではない。ドキドキするのは電欠の心配だ。
ボクは旅先で充電が必要になった時、4カ所続けて充電器が使えなかったことがあった。5カ所目で充電できたが、残り4%だから冷や汗だ。
エアコンを使うと電費はグッと落ち込む。
特に冬場にヒーターを使うと電気を食い、航続距離は一気に短くなる。
航続可能距離が50kmを切る前に充電したほうが安全だ。
回生エネルギーを生み出すなど上手に電力を使えば航続距離を延ばすことができる。
今のところEVは充電に時間がかかるから、特性に合わせた運転をすることも重要だ。
まだまだ問題は多いが、この先5年でEVの世界は大きな進化を遂げるだろう。
■もしEVが電欠したら?
もしEVが電欠したら、サポートセンターまたはJAFに電話だ。
JAFが対応する場合、最寄りの充電設備までレッカーし、そこで充電することになる。
JAFには給電車もあるのだが、課題があり運用は困難とJAFは考えている。
電欠してしまう前にこまめに充電をしてほしい。
充電器の空き状況はナビやスマホから確かめられるが、週末などのSA/PAでは空き待ちをするケースが出てくる可能性がある。
充電時間も考慮した、余裕のあるプランを組みたい。
EV購入前に、レンタカーでEVを借りて遠出をしてみるのもいいだろう。
自分のスタイルにEVがあっているか確かめて、後悔のない買い物をしてほしい。
■50kW以上の急速充電スポットも増加中
CHAdeMO規格の急速充電器は最大でも50kWだったが、すこしずつ50kW以上の設備も増えてきている。
日産本社、大黒パーキング、海老名SA下り、遠州森町PA上りなどに90kW急速充電器が設置されたほか、佐賀県の日産サティオ佐賀にはなんと150kWの急速充電器が設置された。
国は2030年までにEV用の急速充電器を3万基に増やす計画を持つ。数だけじゃなく、速度にも期待したい。
■日産ディーラーに突撃取材決行! EV購入前の不安や疑問を一挙解決!!
ここでは、取材をもとにEV導入に関する不安や疑問に答えていく。協力してくれたのは、日産東京「新車のひろば目黒店」のカーライフアドバイザー大橋さんと、日産東京販売ホールディングスの広報を務める吉田さんだ。
●EVに向いている人、向いていない人とは?
大橋さんは、EV所有が向いていない人について「月の走行距離が多く、なおかつ自宅に充電設備がない人」「30分の急速充電が待てない人」を挙げた。
例えば、月の走行距離が300km程度ならば、家に充電設備がなくとも、EVによるが月1~2回の急速充電の利用で賄える。自分が月に何キロ走るのか、まずは把握してほしい。
●航続可能距離が不安な場合の考え方について
充電時間は0%→100%で語られがちだが、『50%充電』を基本に考えるといいとのこと。リーフの場合、50%だと約160km走れる。200V充電だと約8時間。一晩あれば50%充電できる。
毎日乗る人の場合、例えばリーフなら1日のバッテリー使用量が50%以内なら、帰宅して充電すれば翌朝満タンなのでまた同じ距離を走れる。遠出の際も、片道50%以内であれば充電なしで往復可能だ。
●急速充電器の混む時間は?空き状況はどう把握する?
EV購入前に急速充電器の場所を把握したい。大橋さんは「自宅周辺のほか、実家などよく行くところの周辺などは事前に把握しておきましょう」と教えてくれた。コレ、意外と盲点らしい。
急速充電器が混む日は、金曜日の夜と週末とのこと。金曜夜は、土日に遠出をする人が事前に充電をするためだ。急速充電器の場所や空き状況はアプリ(Nissan ConnectやEVsmartなど)や車載のナビで確認ができるので、うまく活用すればストレスを減らせるぞ!
●普通充電の設備の導入にはいくらかかる?
6kW普通充電の設置はいくらかかるのだろうか。東京日産系列だと業者によるが8万~10万円ほどかかるとのこと。家が木造か鉄筋か、どの位置に設置するのかによって費用が変わる。ディーラーで手配が可能だ。
●EVの下取り額は低いままなの?
EVは売却時に価格が低くなるイメージがあるが、2021年中旬あたりから改善してきていると大橋さんは話してくれた。
要因としては、新車不足、中古車の数が少ない(補助金の関係で4年落ち以降のものが出回るため)、蓄電池目的での利用増加、EVの注目度の向上が挙げられる。
確かに中古車サイトを見てみると、現行型リーフは数も少ないし価格も低くない。
●EVに変えるとどのくらいお得?
EVは価格が高いので、燃料代がどのくらい浮くのかは気になるところだ。
日産が充電費用シミュレーターというのを公開しているので、そこで試しに月の走行距離600km(遠出1回)と1000km(遠出2回)の2パターンで計算し、いくらお得になるのかを下記の表にまとめた。
現在の愛車の燃費が悪いほどお得になるぞ!!
●V2Hやソーラーパネルはディーラーで購入できる?
V2H(Vehicle To Home)やソーラーパネルにも補助金があるため、導入を検討している人もいるだろう。
V2Hはディーラーでは購入できない。ディーラーは業者を紹介してくれるところまでだ。
V2H専門店も存在するので、活用したい。
EVを愛車とする片岡英明氏によると、V2Hやソーラーパネルは工事費が高く、ピンキリだが機器購入費と工事費あわせると300万円くらいはかかってしまうとのこと。
なお、機器購入費の2分の1(上限75万円)、工事費は上限40万円が国から補助金として出る。
●補助金申請はディーラーがやってくれるの?
これはディーラー次第らしい。EVの補助金はクルマの新規登録・届け出日から1カ月以内に申請する必要がある。
補助金申請をディーラーがしてくれるかどうかよりも、補助金の申請期限のほうが圧倒的に重要。
7月25日時点で、終了見込み時期は10月末と発表されている。終了すると補助金はもらえないのだ。
最近は納期が長いので、補助金が間に合うか注意したい。
●結論
自分が普段どのようにクルマを使っているのかをもう一度見直してみよう。
遠出する距離がEVの航続可能距離の50%以内であれば充電について心配する必要なし。
それ以上の遠出でも、ナビが充電計画を含んだ行程を提案してくれるぞ。充電を過度に心配する必要はなし。
自分のカーライフにあったEVを選ぼう!!
【番外コラム01】出先で充電するのに必要!! 充電カードを詳しく解説
急速充電器で充電するためには、急速充電カードを使用して充電するか、ビジター利用をする必要がある。充電器にはいくつかメーカーがあり、ビジター利用の仕方は充電器のメーカーによって変わる。充電にかかる費用も高額になるので、なるべくなら充電カードを持ちたいところ。
自動車メーカーは独自の充電カードを発行しており(ボルボなど発行していないメーカーもある)、EVを購入したディーラーでカードを作るとそのメーカーの充電カードを持つことになる。
メーカーが発行するどの充電カードもほぼe-Mobility Power(旧NCS)提携の充電器に対応しているので、充電器の数の心配は不要だ。
メーカーの垣根を越えて誰でも作れるのが、e-Mobility Powerカード、日産のZESP3カードなどだ。料金表を作ったので参考にしていただきたい。
【番外コラム02】企画担当マツナガ、アリアに感動
アリア、本当にいいクルマでした。
アクセル操作に対する加速がリニアで、極低速域から意図どおりにスピードをコントロールできます。
踏めばEVらしい加速感も味わわせてくれます。
ワンペダルのフィーリングもかなり自然で、他メーカーのワンペダルより完成度が高いです。車両が大型化していくなか、ギリギリ車幅を1850mmに抑えたのも評価できます。
しかも、フロアコンソールとインパネがつながっていないので、運転席から助手席に移動しやすいのも地味にありがたく、駐車場が狭い日本では便利です。
ダブルシャークフィンアンテナも猫耳みたいで可愛いし、こりゃ買うしかないと思ってハンコを取り出したら、なんと受注停止中でした……チッキショー!!(知ってた)
引用元:https://bestcarweb.jp/feature/column/520747