河野太郎デジタル大臣がツィッター発信「交通違反切符への押印は義務でなく任意」の真意 もし押印しなかったらどうなる?
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ベストカーWEB より
河野太郎デジタル大臣がツィッター発信「交通違反切符への押印は義務でなく任意」の真意 もし押印しなかったらどうなる?
2022年10月25日16時59分、河野太郎デジタル大臣(デジタル大臣、内閣府特命担当大臣(デジタル改革、消費者及び食品安全)、国家公務員制度担当就任(第2次岸田改造内閣)が、自身のツィッターで「この通知にもあるように、交通違反をした時の切符の押印または拇印は任意で、違反者の義務ではありません」とツィートした。
10月26日午前のカウントで5770件のリツィート、610件の引用ツィート、3.3万件のいいね、がついて、多くの反響が寄せられている。
この時期に、河野太郎デジタル大臣がツィートしたのだろうか? そして交通違反切符の押印は義務ではなく任意という真意、もし押印しなかったらどうなるのか、解説していきたい。
文/ベストカーweb編集部
写真/Adobe Stock((トビラ写真/Adobe Stock@xiaosan)、ベストカーweb編集部
■交通反則切符を切られた際、押印は義務は、実は任意だった
2022年10月25日16時59分、河野太郎デジタル大臣が自身の公式Twitterアカウント(@konotarogomame)にて「この通知にもあるように、交通違反をした時の切符の押印または拇印は任意で、違反者の義務ではありません」とツィートした。
このツィートを見て、「えー知らなかった」「警察官に言われるままに押していた」「義務だと思っていた」というリツィートが多く寄せられているが、筆者もそのなかの一人。昨年、時間帯で変わる右折禁止道路を違反して切符を切られてしまったが、警察官は当然のように「印鑑ありますか? なければ拇印を押してくださいね」と言われたのを記憶している。
河野大臣がツィートに添付した資料は令和3年9月7日に警察庁交通局指導課長の名で警視庁および全国の都道府県警宛に「交通違反切符における供述書作成上の留意事項について(通達)」通達されたものだ。
以下、重要部分を抜粋すると、
「もとより当該欄は、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)、第322条第1項の供述書にあたるものとして、違反者が任意に作成する書類であるところ、違反者がこれに作成する場合において、署名とともに押印または指印(以下「押印等」という。)は違反者本人が作成したことが確認できるようにすることが目的で、警察官の求めに応じて、違反者の任意により行われるものであり、他方で、押印が拒否されたことをのみをもって、刑事手続きにおけるその証拠能力が直ちに否定されるものでないことに留意する必要がある。
以上を踏まえ、交通取締まりに際して、警察官において、仮にも押印などが違反者の法的義務であるという誤解を相手方に与えるような言動をしないよう、改めて、部下職員に対する適切な指導教養に努められたい。
また、違反者の押印等が任意であることについて、各都道府県警察のウェブサイトに掲載するなど、適切な周知を図られたい」。
かいつまんで説明すると、交通反則切符の押印は任意だから、警察官にあたかも義務であるかのような言動をさせないように警察庁が全国の都道府県警察に通達した、ということだ。
■なぜ今、河野太郎デジタル大臣が発信した意図、背景は?
ではなぜ今、交通反則切符の押印は義務ではなく、任意と発言したのだろうか?
警察庁が通達した文書は2021年9月7日、当時の棚橋泰文国家公安委員長が閣議後の会見で、文書に書かれた内容と同じ内容、つまり交通反則切符に押印や指印は任意で求められるもので法的に強制されるものでありませんと発言。
さらに棚橋氏は「現在進めている刑事手続き全般に関わるIT化について法務省と協議を重ねている」とも。
河野大臣がツィート発言した背景としては、いまだに紙の文書や判子、FAXなど時代遅れのアナログ手続きを行う省庁、都道府県警察など対して、行革大臣当時の河野氏に寄せられた不満の声だった。
河野大臣はこれまで行政手続きの押印不要を打ち出してきており、交通違反切符に関しても、デジタル化を加速するべく今回、ツィートしたのではないだろうか。
■もし交通反則切符に押印しなかったら逮捕される?
交通反則切符に押印は義務ではなく、任意だとわかったところで、交通反則切符に押印をしなかったらどうなるのか、についても解説していこう。
警察官に提示された交通反則切符に押印すると、告知を受けた日の翌日から起算して7日以に反則金を納めれば終了となるが、もし、違反に納得いかず押印しなかった場合には、交通反則告知センターから反則金を支払うように郵便で通告書が送られてくる。
それを無視し続けていると検察庁から出頭命令が送られてくる。この呼び出しに応じないと稀に逮捕されることもあるので必ず出頭すること。
出頭した際、検察官は略式裁判を勧めてくる場合が多い。ここでビビッてしまって罰金(反則金と同等額)を納めて終わらせるか、正式裁判に持ち込むかを選ぶことになる。
正式裁判を選択した場合、裁判所から「特別送達」が届き、通常裁判が行われることになる。どうしても納得いかないと押印を拒否し、正式裁判に持ち込むと決意した場合は、警察官に調書を取ってもらっておいたほうがいい。裁判の際の重要な証拠になるからだ。
しかし、軽微な違反である青切符の場合、「検察庁別道路交通法等違反被疑事件の受理既済及び未済の人員」などの資料を確認すると、刑事裁判に持ち込まれることなく9割以上不起訴になっている。
ただし、反則金が刑事処分で不起訴になったとしても、行政処分である違反点数は、交通違反を警察官に検挙されてしまったら、違反点数が確定してしまうという。納得いかず公安委員会に不服申し立てを行ってもほぼ100%却下される。なんとも理不尽な結果に終わってしまうのである。
反則切符は7年ほど前から、以前のようなあらかじめ用意された紙に手書きで書きこんでいく形式から、警察官がタブレットに打ち込み、簡易プリンターで違反切符や違反金納付書をプリントアウトする仕組みに移行している。
おそらく今後は、反則切符の捺印&拇印は、カード決済と同じように、タブレットに手書きのサインをする方式に代わっていくだろう。