ズルい? ズルくない? 高速本線との「先頭合流」は正しい! 渋滞時の「ファスナー合流」はなぜ推奨されるのか
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くるまのニュース より
早く本線に合流しようとする運転が渋滞の原因に…だからファスナー合流を!
連休などにおいて、高速道路のインターチェンジやサービスエリア/パーキングエリアなどから本線への合流ポイントでは、渋滞が発生しやすくなっています。
なぜこのような場所で渋滞が起こるのでしょうか。
渋滞の原因にはさまざまありますが、代表的なものとして前述のような合流ポイントでは、本線に合流する側の車両が加速車線を十分に使い切らず、加速車線の途中で本線に合流してしまうことが挙げられます。
まばらな地点から次々とクルマが合流することで、本線を走行するクルマがブレーキを踏む回数が増え、後続車との間隔が狭まってしまうのが合流ポイントで渋滞が発生しやすい原因のひとつというわけです。
実際に、名神高速道路の一宮ジャンクションなどでは、上り線に合流するクルマが加速車線の至るところから合流するケースが見られ、渋滞の要因となっています。
では、このような合流ポイントにおける渋滞を解消するための対策には、どのような合流方法が挙げられるのでしょうか。
各高速道路を管轄するNEXCO3社(東日本・中日本・西日本)では、「ファスナー合流」という合流方法を推奨しています。
ファスナー合流とは、合流する側の車両が加速車線の先頭まで走り、加速車線の先端付近で本線を走行しているクルマと1台ずつ交互に合流するという合流方法です。
本線のクルマと合流する側の車両が、ファスナーのように規則正しく1台ずつ走行する状態になることからこう呼ばれます。
NEXCO各社では、ファスナー合流の方法を紹介するとともに「車線合流の際には合流部の先端付近でゆずり合って合流いただき、交通の円滑化にご協力のほどお願いします」(NEXCO東日本)というように、渋滞緩和への協力を求めています。
また、ファスナー合流が促進されるような道路づくりにも力を入れており、前出した一宮ジャンクションを管理するNEXCO中日本では2019年11月より、東海北陸道から名神上り線に合流する加速車線で、車線を分離するラバーポールを約520m延長しています。
これにより、自然とファスナー合流が促されるようになり、実際に運用前と運用開始から2か月経過した頃のデータを比較すると、交通量はほぼ同じながら、約3割も渋滞による損失時間が減少したといいます。
また、NEXCO東日本では、首都圏中央連絡自動車道について、2021年11月よりファスナー合流の試行運用を開始しました。
これは圏央道内回りの幸手インターから久喜白岡ジャンクション間で、車線数が2車線から1車線に減少する場所に看板やLED表示板を設置し、ファスナー合流を呼びかけています。
渋滞の要因はほかにも…? 覚えておけば回避出来る?
高速道路における渋滞の要因は、合流の仕方だけではありません。ほかにも、道路の地形により、加速車線が直線ではない場合も渋滞の原因となります。
たとえば、首都高速道路では、加速車線がカーブになっているケースも多いうえ、区間が短い場所が多数見られます。
加えて、左右どちらからの合流もあるうえ、道路自体の高低差も大きいため、結果として、ほかの高速道路より渋滞が発生しやすくなっています。
たとえファスナー合流を意識していたとしても、このように加速車線の構造が特殊で、交通量が多い首都高速道路では完全に渋滞を回避するのは困難です。
また、高速道路では、運転者が無意識のうちにスピードを落としてしまい、渋滞に繋がるケースもあります。
上り坂や間口が狭く感じるトンネルの入り口付近では、運転者は無意識のうちにブレーキを踏んで、スピードを落としてしまいがちです。
1台がスピードを落とすことで、前述したように後続車のスピードも落ち、慢性的な渋滞へと繋がってしまいます。
高速道路では、不要なブレーキを踏まないことや、一定の速度で走行することを心がけ、先行車両との車間距離を十分に取るようにしましょう。運転者ひとりひとりの意識が渋滞の緩和へ繋がります。
※ ※ ※
ファスナー合流は、もはや高速道路を利用する際の運転マナーのひとつともいえます。
合流する側のクルマの運転者はもちろんですが、本線を走行する側のクルマの運転者もファスナー合流を意識することで、渋滞を発生させないよう、互いに歩み寄るようにしましょう。