座り方で腰の負担は1.5倍にも! ピキグキボキッ(終)となる前に 腰を痛めない&腰痛持ちの運転術
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ベストカーWeb より
クルマに長時間乗る人にとって大敵なのが腰痛。最近はコロナ禍のリモートワークなどもあってデスクワーク=腰を曲げている時間がさらに長くなり、すこしの運転時間でも腰の痛みを自覚する機会が増えた、なんて方も多いのではないだろうか。
腰痛が起こるメカニズムからその対策、腰痛持ちの方のための乗り降りの方法まで、放送大学等でも講師を務める「青山一丁目カイロプラクティック院」院長の山口博氏が解説!
※本稿は2022年8月のものです
文/山口 博、写真/MAZDA、AdobeStock、ベストカー編集部、メイン画像/Jo Panuwat D@AdobeStock
初出:『ベストカー』2022年9月10日号
■座り方で腰の筋肉にかかる重さは約1.5倍にも!
何故、腰かけ続けていると腰が痛くなるのでしょうか。もちろんさまざまな原因はありますが、ひとつに姿勢があります。
ソファーに腰かけて寝てしまい、起き上がった時に腰が痛い! そんな経験はありませんか?
腰かけた時、脚は体の前でしょうか、後ろでしょうか。後ろへ行く方はいませんね。全員、体の前です。
骨盤を楕円形に例えますと、股関節がある場所は、楕円形の真ん中より下になります。
脚が前に行くということは楕円形の下を前に引っ張り、上の部分は後ろへ下がります。骨盤が後ろへ倒れるので、腰から背中も丸まりやすくなるわけです。
無理なく骨盤を起立した状態と、ストーンと骨盤と腰を丸めた腰曲がり状態とでは、腰の筋肉にかかる重さは約1.5倍違います。
体重約70kgくらいの方ですと、無理なく骨盤を起立した状態で約100kg以上、これでも相当大変ですが、腰を落すように丸めると平均で約150kg以上にもなります。
筋肉は硬くなり、中を通る血管の血流は悪くなります。結果、疲労物質が溜まり筋肉疲労を起こしてしまうわけです。
■腰痛を予防することが大切
そこで、大切なのは予防です。
ひとつの方法として、腰がストーンと丸まらないように、安全運転に支障がない範囲で硬めのクッションを骨盤から腰のあたりに置いて、筋肉の力をできるだけ使わない状態で骨盤を起立できるようにすることをお薦めします。
腰の部分を支えるような座席になっているクルマでも、支えが弱く感じたり、自分の体に合わないと感じた時は、しっかりとしたクッションやタオルを挟むなどして、腰と骨盤を支える力を追加することも予防になります。
運転時の姿勢で、ひとつ、見直してほしいことがあります。
ハンドルに向かってまっすぐでしょうか? 身体を斜めにして運転するのも腰痛の原因になります。
右ハンドルの場合、必要のないところでも常に腕と体を右にあるドアに寄りかかったり、アームレストに寄りかかって極端に背骨や筋肉を歪めて運転されている方がいます。
このアンバランスな状態が腰痛の原因になることもよくあります。
運転中、体を極端に捩(ね)じらないように気をつけましょう。
■腰痛を和らげるコツを知る
最後に、腰の痛みでクルマの乗り降りが不安という方のために、少しでも痛みを減らせる工夫をお伝えします。
クルマに向かって背中や腰を丸めて、頭から中腰で乗ると腰は痛くなりやすくなります。
そこで、クルマのドアを開けて、まず、スキーを滑る時のような腰を突き出す状態で、そのままお尻から座席に座ります。クルマの正面とは垂直に乗る形となります。
そして、骨盤に手のひらか、手の甲を当てて、骨盤が後ろに下がらないようにして正面を向きます。
降りる時も、腰や背中を丸めた中腰スタイルで頭から出るのではなく、骨盤に手を当てて、最初は降りるドアのほうに身体を向けます。正面に対して真横になります。
骨盤を手のひらか手の甲で支え、背中をできるだけ丸めないようにして、左右どちらかの足を、少し、引くようにしてから立ち上がり、降ります。
クルマは走行中、ガタンという下からの突き上げるような振動があります。乗る前に痛みがなくても、もともと筋肉が疲れている状態の時、長時間の乗車や振動がさらに筋肉を疲労させてしまい痛みに結びつくことがよくあります。降りる時も注意が必要です。
私たちは動物です。同じ姿勢でいると血流が悪くなります。
クルマの場合、サービスエリアで降りて、腰や体を動かすなどして、関節や筋肉を動かして血流をよくすることも予防になります。
●山口 博さん(青山一丁目カイロプラクティック院・院長)…カイロプラクティック師、姿勢教育指導士。早稲田大学卒業後、社会人を経て昭和62年からカイロを始める。数多くのTVや雑誌、新聞にて姿勢の大切さを伝えている