駐車場空いてない! 「車いすマークに駐車」は可能? 「すぐ戻るから」でも“モラル”が問われる?
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モラルが問われる? 「車いすマークへの駐車」
多くの施設の駐車場では、車いすのマークが表示された駐車スペースを見かけることがあります。
これは「障がい者専用駐車スペース」となりますが、駐車場がいっぱいのときでも、このスペースは空いていることがあり、クルマを停めても良いのか迷った経験のある人もいるかもしれません。
では駐車場が空いていない時、このスペースに駐車することは可能なのでしょうか。
青地に白文字で車いすのイラストが描かれたマークは、正式名称を「障害者のための国際シンボルマーク」と名付けられ、障害者が利用できる建物、施設であることを明確に表すための世界共通の目印です。
このマークは、バリアフリー新法と呼ばれる法律や各自治体の条例などに基づいて公共施設や商業施設に設置されているほか、クルマに障害者が乗っていることを周りに知らせるため、ステッカーとしてクルマに貼り付けられていることもあります。
この車いすマークが表示された障害者用駐車場は、整備基準が設けられています。
埼玉県の公式Webサイトでは整備基準について、クルマのドアを全開にして車椅子の出し入れや乗り降りしたりすることができるように、「幅は3.5m以上」、障害者用駐車場であることが分かるように「分かりやすい表示」、建物の出入口まで距離がなるべく短くなるように「出入り口の近くに設置」と説明。
また障害者用駐車場の設置台数について、埼玉県では全駐車台数が1台から50台の時は1台以上、51台から100台では2台以上、201台以上では総数1%+2台以上と設置台数が決められているとも説明しています。
最近では分かりやすい表示のひとつとして、青色塗装してある駐車場も増加しつつあります。
このように、スムーズなクルマの乗り降りができるように、さまざまな整備基準が決められており、台数としては少ないものの各駐車場に障害者用駐車場が設けられています。
では、通常の駐車場が満車の際に障害者用の駐車場が空いている場合、一般ユーザーが駐車することは可能なのでしょうか。
これについて、元警察官Bさんは以下のように話します。
「車いすマークのスペースに障害者でない人がクルマを駐車しても良いのかという疑問については、推奨はしませんが停めることは可能といえなくもないでしょう。
どのような人が車いすマークのスペースを利用できるのか、また障害者でない人がクルマを駐車した場合の罰則などは法律で定められていないので、障害者でない人がこのスペースにクルマを停めたとしても何らかの法律違反になるわけではありません。
反対に、クルマに車いすマークのステッカーを付けたからといって、道路交通法上の駐車禁止を免除される、車いすマークの駐車枠が優先的に使えるなどの特権もありません。
しかし、もし法律の強制力や罰則がないといっても、この制度は相互互助の精神なしには成り立ちません。つまりひとりひとりのモラルが問われる問題です。
自分だけがよければと考えるのではなく、駐車場管理者の指示に従いマナーを守って駐車するようにしましょう」
※ ※ ※
あくまで車いすマークの駐車スペースに駐車することで何か法律に違反するということはないものの、一方でこのスペースに駐車できずに困っている人がいるのも事実です。
駐車場によっては、「障害者用マークや高齢運転者マークを掲げたクルマのみ駐車可能」と定めている場合や、妊娠した人や疾病者の駐車が可能な場合もあります。
また三角コーンやステッカーで分かりやすく掲示されている場合もあり、うっかり気付かず停めてしまうことを避けるような工夫をしている駐車場もあります。
いずれにせよ、モラルとしてもこうした場所の駐車は避けることを心がけることが大切といえます。
各都道府県では、障害者用駐車場について一般ドライバーに向け注意点が呼びかけられており、福島県では公式Webサイトで以下のように呼びかけています。
「『すぐ戻るから』『混んでいるから』『雨が降っているから』というだけで利用している人も少なくありません。
本当に必要としている人がいつでも利用できるように車椅子使用者用駐車スペースは空けておいてください」
障害者でない人がそのスペースに駐車したからといって法的な罰則はないものの、思いやりの心を持ち、本当にそのスペースを必要とする人が利用できるよう配慮することが重要です。