渋滞に事故まで引き起こす「0時待ち」問題! なぜ取り締まりが行われないのか?
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WEB CARTOP より
料金所渋滞は「0時待ち」で起きる
渋滞をコントロールするために高速道路などに変動料金制を採用するという手法は、世界的な定番となっている。
たとえば、アメリカ・カルフォルニア州のハイウェイでは一部に有料車線を設け、さらに曜日と時間帯によって通行料を割り引いたり、割り増したりする制度が採用されている。
この例では、無料レーンと有料レーンをわけて、無料レーンが渋滞しているときに希望者が有料レーンを使うというものだが、交通需給のマネージメントとして有効な手法といえる。
そのほか都市部への流入を防ぐ方法としては、一定時間帯や一定期間における料金を上げ下げすることで流入量をコントロールしようとする「ロードプライシング」という制度も世界中で実績ある手法とされている。
最近では2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックの期間中、首都高のマイカー利用者に対して1000円上乗せするという施策がとられたが、あれもロードプライシングの一種といえる。
このように変動料金制は、基本的にスムースな交通を生み出すためにあるわけだが、そんなシステムが逆に渋滞を生み出している例がある。
それが「0時待ち」と呼ばれる高速道路の料金所周辺で起きる渋滞だ。
具体的には、日本の大動脈といえる東名高速道路の東京料金所では0時直前まで料金所手前の路肩に大型トラックなどが違法駐車をするなどして、渋滞が起きることが日常茶飯事となっている。
そもそも0時に料金所を通過しようとするのはETCによる深夜割引があるからだ。昼間の交通量を減らすために、0時~4時の間に高速道路を走行していると、通行料金が30%引きになるというのが深夜割引の仕組み。
交通量を分散させて渋滞を減らすことが狙いで、変動料金制の一種といえる。
なぜ、渋滞を減らすための深夜割引が渋滞を起こしてしまうのだろうか。
「0時待ち」の取り締まりは難しいのが現実
たとえば、夕方あたりに高速道路に乗ったとしても、東京料金所を0時過ぎに通過すれば30%引きが適用される。逆に23時59分に通過してしまっては通常料金となる。
深夜割引に合わせるために大型トラックが路肩に駐車したり、料金所手前で速度を落としたりすることで、渋滞が発生してしまう。
その状態が、通称「0時待ち」と呼ばれている。
路肩に違法駐車をしたり、本線上をゆっくりと走ったりせずに、手前のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)で時間調整すればいいというのも正論だが、時間調整のために利用する大型トラックなどによってSAやPAの駐車スペースに空きがない状態なのも事実。
さらにいえば、物流コストを抑えるために深夜割引を利用することは大前提となっている。
つまり、現実的には「0時待ち」を完全になくすというのは不可能な話だ。
仮に23時から深夜割引を適用しても、「23時待ち」にシフトするだけで割引を待つための渋滞が発生するという状況は変わらないだろう。
すでに一部では社会問題として捉えられている「0時待ち」だが、その取り締まりは難しいのも現実だ。実際問題として、0時待ちの料金所渋滞は0時を過ぎたらすぐに解消してしまう。
さほど交通量が多くない時間帯に起きる短時間の渋滞であるから対応する必要性があるかといえば微妙だ。
もちろん「0時待ち」に起因する交通事故も起きているので、対応すべき課題なのは間違いないが、仮に料金所手前のエリア(東名高速でいえば川崎インターから東京料金所までの区間)において路肩駐車を厳格に取り締まったとしても、ひとつ手前のインターチェンジ付近の路肩に駐車するドライバーが出てくるだけで、ある意味イタチごっことなることは容易に想像できる。
日本経済のことを考えると、時間帯にかかわらず大型トラックに限って通行料を深夜割引並みに安くしてしまうというのもありかもしれないが、そうなると昼間の渋滞対策としての変動料金制の意味はなくなってしまう。
逆に、0時待ちが起きるような主要な料金所手前のSA・PAを拡大したり、新設したりというのも、使われる時間が短いため、費用対効果としては微妙なものになるだろう。
もっとも、未来永劫にわたり0時待ちが起きるとは思えない。ネットワーク制御された完全自動運転になれば、料金所手前で時間調整せずとも、狙い通りの時間に料金所を通過することができるようになるだろう。それ以前にも運転支援システムによって速度を微調整することで0時過ぎに料金所を通過するようにすることも可能になっていくだろうからだ。