一発免許取り消し!? ナメちゃいけない過労運転
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ベストカーWeb より
仕事が忙しくて寝不足続きで眠くて仕方がない、足をねんざしてアクセルやブレーキを踏み込むと痛い、熱があって頭がボーッとしている。
そんな時に運転をしたことはないだろうか?
これらはすべてれっきとした道交法違反なのだ。そして、その罰則は想像以上に重いものだ。
「仕事でどうしても運転しなくちゃならなかった」なんて言い訳をしても無罪放免とはならない。
ここでは、甘く見てしまいがちな過労運転に関して検証する。
文/藤原鉄二、写真/写真AC
過労運転と見なされるケースとは?
道路交通法第66条の「過労運転等の禁止」では、「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」とされている。
つまり、ひどく疲れている時や、体調が悪い時、ケガをしている時などには運転をしてはいけないということだ。
例えば、高熱を出してフラフラな状態で運転をして事故を起こし過労運転を指摘された時「病院に行きたかった」と言い訳したとする。
しかし、それは言い訳にならない。そんな時はタクシーを使えばいいでしょということになってしまうのだ。
少しやっかいなのは、法律にはどんな状態であれば過労と見なされるのかという具体的な基準については明記されていない点。
つまり、今の自分のコンディションが過労運転にあたるのかは運転手の自己判断に委ねられているということだ。
もちろん、クルマの動きがふらついていたりと、明らかに挙動がおかしい場合には停車させられる可能性はあるが、現実的には、事故を起こさない限り過労運転違反として検挙されるということはほんどないだろう。
そのため、見つからなければ大丈夫と思う人がほとんどかもしれない。
しかし、過去に過労運転が発端となった事故には、死亡事故などの重大事故につながっているケースも多い。
飲酒運転と同様、見つからなければいいというものではないのだ。
こういったことから、自分を守ることはもちろんのこと、他人を巻き込まないためにも体調が悪い、強い疲労感・眠気があるなど、過労運転につながりそうなコンディションであると感じた時は運転を控えるようにしよう。
ちなみに、従業員が体調が悪い、明らかに睡眠不足の状態であるなどがわかっているにもかかわらず、運転を許したり、強要した雇用者、過労運転を引き起こすような労働環境であるにもかかわらず改善をしていなかった雇用者にも、道交法第75条「自動車の使用者の義務等」違反となり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。
過労運転は免許取り消しの厳罰!!
過労運転に違反してもせいぜい免停くらいだろうと思ってはいないだろうか?
それは甘い!! 実は違反点数25点、罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金、行政処分は免許取り消しという厳罰が科せられるのだ。
違反点数35点の酒酔い運転、麻薬等運転、妨害運転(著しい交通の危険)に次ぐ厳罰。同等の違反点数が科せられる違反行為は、共同危険行為等禁止違反、無免許運転、酒気帯び運転(呼気呼気1リットル中のアルコール量が0.25mg以上)、妨害運転(交通の危険のおそれ)となる。
居眠り運転は過労運転になる?
居眠り運転は過労運転にあたらないのか? 一般的には「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」という道交法の第70条が適用される。
安全運転義務違反の場合は、違反点数2点、反則金は普通自動車の場合9000円となる。過労運転とは異なり、罰則はそれほど大きいものではないように感じるかもしれない。
しかし、居眠り運転の原因が過労をはじめとした道路交通法第66条に抵触するものと判断された場合は「過労運転等の禁止」違反となり、既出のような安全運転義務違反よりも重い罰則を受けることになりる。
万一、居眠り運転によって事故を起こして取り調べを受けた時に、前日に睡眠時間が極端に短かった、極度の体調不良だった、クルマの操作が適切にできないケガをしていた、眠気をもよおすような薬を服用していたといったことが証明されれば、過労運転として厳罰に処せられる可能性がある。
過労運転防止の基本は6~7時間睡眠
過労運転の最大原因は睡眠不足。
寝不足は脳の働きを停滞させ、集中力の欠如をもたらす。
自覚症状がなくても、とっさの時の反応速度が大幅に低下したりするのだ。
ただし、寝すぎも脳の働きを低下させる。
健康維持に最も適した睡眠時間は6~7時間と言われている。
また、眠気を引き起こすような持病を持つ人も注意が必要だ。
特に、睡眠時無呼吸症候群と診断されたり、その疑いがある人は要注意だ。
就寝中に、第三者から大きないびきをかいている、たまに呼吸が止まっているようになっているなどと指摘されたことがある人は、睡眠時無呼吸症候群の可能性がある。
睡眠時無呼吸症候群の場合は、自分では十分な睡眠時間を確保しているつもりでも、体は覚醒状態となっていて、知らず知らずのうちに深刻な睡眠不足に陥っている恐れがある。
もし昼間に強い眠気に襲われることがたびたびあるという人は睡眠外来などの専門機関を受診してみよう。
抗ヒスタミン剤の服用した後も運転をしてはいけない。
抗ヒスタミン剤が含有されている薬は主に、くしゃみや鼻水を抑える作用のある薬、湿疹など、アレルギー反応を抑える薬、酔い止めなど。
花粉の季節に、花粉症を抑える薬を服用している人は注意が必要だ。
そもそも花粉症の症状のひとつに眠気があるため、花粉症の症状が表れている時には、運転を控えるのが賢明だ。