夏に活躍「カーエアコン」内気循環と外気導入はどう違う? 使い分けの基準とは?
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熱気を車内からどう逃がすべき?
夏の暑い季節のドライブに欠かせないカーエアコンですが、さすがに炎天下に放置された車両では効き目が下がってしまいます。また密閉された車内は長時間の運転では空気がよどみがちです。
より短時間で冷房を利かせるため、そして長時間のドライブを快適にする秘訣は、カーエアコンの「内気循環」と「外気導入」の使い分けにあります。
では、なぜ使い分けすることで効果が出るのでしょうか。
カーエアコンの熱交換器に通される空気は2種類。車内の空気を循環させる「内気循環」と、車外の空気を取り入れる「外気導入」です。
このふたつの違いで分かりやすいのが吹き出し口からの風量です。
内気循環の場合は車内の密閉空間内で空気を循環させるため、車内の圧力は一定。対して外気導入の場合では密閉された車内に対して、外の空気を押し込む形になってしまうため、その分抵抗が生じてしまい吹き出し口の風量が若干弱くなります。
外気導入では車外から空気を取り入れるため、どうしても排ガスなどのニオイが車内に入ってきやすいというのも特徴です。
一見すると外気導入を使うメリットはないのでは、と思うかもしれません。しかし上手く使い分けすることで、エアコンの稼働効率を高め、より快適な運転が可能になります。
JAFが過去におこなったユーザーテスト「夏の駐車時、車内温度をもっとも早く下げる方法は?」では、エアコンの内外気での違い、ドア開閉、冷却スプレーの使用など様々な方法が試されています。
その結果一番効果があったのは「外気導入エアコン+窓を全開にして走行」というもので、開始から2分足らずで30℃以下にまで車内温度が下がっています。とにかく車内の熱気は走行風も使って排出することが重要なのです。
また締め切った状態でのエアコンの内外気での違いに関しても、相対的に涼しい外気を取り入れる外気導入の方が、初動では早く冷えることも分かっています。温度が高い車内の空気を内気循環で取り込んで冷やすよりも、温度が低い外気を取り込んだ方が冷房の効率が上がるのです。
以上のことから、車内の熱気を短時間で排出するためには外気導入を積極的に使い、熱気排出後は内気循環に切り替えるのがもっとも効率的といえます。
車内の空気の淀みを防ぐには?
内気循環はエアコンの利きを良くできる一方、車内を密閉してしまうので空気がよどみやすいというデメリットがあります。
JAFのユーザーテスト「ドライブ中で、空調は『内気循環』『外気導入』どちらがいいの?」では、締め切ったクルマで走行し内外気での二酸化炭素濃度、酸素濃度、花粉などの粉塵を測定しています。
結果としては内気循環では二酸化炭素濃度が常に上昇し続け、逆に酸素濃度も下がる傾向に。二酸化炭素は3000ppmを超えると疲労感の増加や注意力の低下、眠気や頭痛を訴える人が増加するとされ、テストでは開始20~30分でこの水準を超えていました。
一方で外気導入は、二酸化炭素濃度がほぼ一定で、酸素濃度も内気循環よりも高い水準を維持していました。
ちなみに花粉などの粉塵に関しては、テスト開始時に新品のエアコンフィルターを装着していたこともあり、車内で検出されたのは微量なもの。これは車用のエアコンフィルターは活性炭を使用しており、花粉やニオイなども除去できるためです。
炎天下で放置された車内の熱気は、外気温よりも高いです。その熱気を内気循環で冷やすのは効率的ではないため、外気導入と走行風を使って空気の入れ替えをすると良いでしょう。
また内気循環はエアコンの効率を高めて涼しい車内環境にできますが、二酸化炭素と酸素のバランスが悪くなり、眠気や頭痛による運転への悪影響が懸念されます。
外気導入を使うことで車内の空気を入れ替えるという効果が期待できるので、状況に応じて上手く使い分けるのが、快適な夏のドライブのコツといえそうです。