道路の「落下物」は想像以上に危険な存在! 見つけたらどうする? 衝突を避ける方法は?
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くるまのニュース より
高速道路上の落下物は年間32万件発生
クルマを運転していると、道路に落下物があるのを見かけることがあります。
高速道路上での工事用資材など大きな物はもちろん、一般道では空き缶やプラスチックのゴミなどが落ちていることもありますが、落下物を踏んでしまうと、速度や角度によってはタイヤがパンクしてしまったり、事故を引き起こす原因にすらなり得ます。
2020年度における主な高速道路で「落下物」として処理された件数は、NEXCO東日本管轄が9万7700件、NEXCO中日本が5万6300件、NEXCO西日本が11万7000件、本四高速が7300件にのぼります。
ちなみに都市部を中心に展開する高速有料道路では、首都高が2万4000件、阪神高速が1万7400件と、この数値には「ロードキル」(高速動路上に侵入してきた動物と衝突した事案)も含まれていますが、高速道路では年間約32万件、1日あたり876件も落下物が発生していることになります。
落下物を大きく分類すると、毛布やシートなどの「プラスチック・布・ビニール類」が多いのですが、タイヤや付属部品などの「自動車部品」、角材やベニヤ板など「木材」も多いとされています。
ちなみに、道路交通法で「落下物」に関して該当するのは第75条の10に記載されている「自動車の運転者の遵守事項」内に記載されている「積載しているものを転落させ、もしくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない」という一文になります。
とくに冬季の場合、ルーフキャリアなどにスキー板やスノーボードなどを搭載することも多く、これを落としてしまうと運転者の責任となり、道路交通法の違反では3か月の懲役または5万円以下の罰金。この落下物が原因で事故などが発生した場合は、過失として10万円以下の罰金が科せられることになります。
そんな落下物の原因の多くが「積載物などの固定不足」で、しっかり固定していない状態で風などの影響を受けて落ちてしまうというケース。
トラックの荷台から落下するものだけでなく、普通車でもレジャー用品や趣味の道具、ときには腐食したリアバンパーやモール、マフラーの一部などを落下させてしまうこともあるので注意が必要です。
※ ※ ※
もし高速道路上で落下物を発見した場合は、料金所の係員や最寄りのSA/PAに設置されている非常電話から通報できます。
同乗者がいる場合は、国土交通省が開設している「道路緊急ダイヤル(#9910)」に携帯電話などで通報するほうが早いでしょう。24時間通話料無料で利用できます。
ぶつかったら慌てず路肩に停車&通報
では、落下物にぶつかってしまった場合はどう対処したら良いのでしょうか。
優先すべきはハザードを点灯し周囲に異変を知らせて二次被害を防ぐことです。
次に走行継続可能な場合は非常駐車帯まで移動し、周囲の安全を十分確認したうえで道路緊急ダイヤル(#9910)へから通報するか、本線は1kmごと、トンネル内は200mおきに設置されている非常電話から通報するというのが正しい対処法になります。
ちなみに通報時には落下物の場所や事故現場などのそばにある「キロポスト」を知らせると、事故処理にあたる交通管理隊(黄色いパトロールカー)が駆けつけやすくなります。
ただし、高速道路上で自損事故を起こしたクルマの乗員が、路上に出た途端に後続車に跳ねられるという事故も発生しており、非常電話を使用するために車外に出るのは細心の注意が必要です。
高速道路で落下物を見かけたら通報する場合は何の問題もありませんが、前述のように自分のクルマから積載物が落下してしまった場合はかなり大きな問題になります。
実際に多くの落下物は固定が甘かったことが原因といわれているのですが、落とさないためにはどうすれば良いでしょうか。
キャンプや釣りが好きでフィッシングボートなどをルーフキャリアに積載することもあるという、都内の中古車販売店のK店長に話を聞いてみました。
「積載物の落下をすぐに気がつけば良いのですが、たいていは休憩のため立ち寄ったSA/PAの駐車スペースで気が付くことになるでしょう。
その場合も道路緊急ダイヤル(#9910)に通報し、落下物の形態(シートや長尺物など)やどの区間で落としたのかなど詳細を伝えると良いと思います。
ルーフキャリアに積載するときは、一般的なロープやゴムバンドではなく、できれば強力な『ラッシングベルト』で固定するのが安全でしょう」
ラッシングベルトとは、摩耗に強く耐候性にも優れるポリエステル製の積載物用固定ベルトのこと。その多くがラチェット式バックルを装備しており、比較的小さめの力でもしっかりと荷締めできるのが特徴。
1000円から3000円程度で購入できますし、耐荷重は700kgクラスでも固定できるほど強靭なタイプもあるので、ルーフキャリアに積載物をガッチリ固定するために使用すると良いでしょう。
また、ルーフキャリアに荷物を載せているときは風の抵抗を受けやすくなることから、いつも以上に慎重に運転する必要があります。
※ ※ ※
落下物との衝突を回避する方法はあるのでしょうか。
それは、十分な車間距離を取ることでしょう。落下物を視認できても車間距離があればハンドルやブレーキなどのコントロールも慌てずにできます。
荷物を積載しているクルマやトラックが前を走行している場合は、いつ積載物が落下しても回避できるように十分な車間距離を確保しておくのが良いでしょう。