逆に金がかかるだけで意味なし!? いますぐやめよう!! 間違いだらけのケチケチ走行
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ベストカーWeb より
クルマ購入で資金を使い果たし、愛車となってからは「あまりお金をかけられない」とはよくある話。余分にお金をかける必要はないが、「ここだけは」というポイントまでケチケチすると、逆に大きく散財するかも……。
文／今坂純也（DIRT SKIP）、写真／写真AC
その1 ギリギリでしか給油しない
そのときに走るギリギリの量しかガソリンを入れない行為で、結果としてガス欠（燃料切れ）となってエンジンが停止しがち。筆者も若かりし頃はそうでした。EVでは「電欠」と呼ばれ、これを頻繁にすることによって次のようなトラブルが起こることがある。
●燃料ポンプの故障
燃料ポンプは、燃料を燃料タンクからエンジンへ運んでいる。エンジンが動いている間は燃料ポンプ内のモーターは高速で回転しており、このモーターの潤滑と冷却は燃料に含まれる「油分」によって行われている。
ガス欠によって燃料がなくても、イグニッションスイッチをオンにすることでモーターは回る。潤滑と冷却の役目を果たす燃料がないのにモーターが回されるため摩擦熱が発生し、摩擦による焼きつきを起こすことがある。
●セルフスターターモーターの故障とバッテリー上がり
燃料切れでエンジンが動かないのに、「かかれ！」とセルフスターターモーター（セル）を回し続けているとセルフスターターモーターとバッテリーに負担がかかる。セルフスターターモーターには平均して100〜150アンペアもの電流が流れ、瞬間的にはその2倍もの電流が流れるので連続使用は故障の原因にも。
また、バッテリーはセルフスターターモーターの連続使用で意外と簡単に「バッテリー上がり」を起こしやすく、そうなるとガス欠後にせっかく給油してもエンジン始動不可となる。
●インジェクションノズルの破損
現在主流の直噴エンジンは、エンジンのシリンダー内に直接燃料を均一に噴射するシステム。インジェクションノズルは燃料を均一に噴射する役割を持ち、これの潤滑は燃料が行っている。燃料がなくなると潤滑が行われなくなり、ノズルが破損することがある。
なお、「ガス欠後からエンジン不調になった」という場合は、燃料タンク内のサビやゴミが燃料フィルターに詰まっている可能性大。燃料タンク内に燃料が多く入っていればサビやゴミがあっても拡散されているが、燃料がわずかになるとサビやゴミも燃料ポンプが寄せ集めてしまうのだ。
と、ガス欠が起こすデメリットは意外と多いのに驚くはず。また、常に少ないガソリンしか入っていない燃料タンクはサビも発生しがちなことも覚えておきたい（散財方向）。
その2 激安オイルで交換サイクル長め
「オイルなんてそんなに変わらないでしょ、だいたい近場への買い物にしかクルマを使わないし」と、激安オイルを長く使うのは故障の原因となりえる。
激安オイルと高級オイルの違いは、簡単に言うとベースとなるオイルの種類の違いと添加剤の違い（有無）。
メーカーが指定しているものより低グレードのオイルを指定された期間や距離より長いスパンで交換していると、エンジン内部にはスラッジと呼ばれる燃料の燃えカス、酸化物質がどんどん溜まっていく。
スラッジが溜まると、オイル通路の詰まり、エンジン内部の軸受部の潤滑不良、放熱性の悪化などを招き、エンジンパワーがダウンする、燃費悪化、異音発生の原因となり、お金がかかってしまう。そして、一度溜まったスラッジは、除去することも難しい……。
とはいえ、サーキット走行を行う、高速走行ばかりなど、あまり想定されない使い方をする場合を除き、一般的使用であれば特に高価なオイルは必要ナシ。
一般的使用の範囲であれば、クルマの説明書に書いてある指定オイルを指定の距離・期間で交換しておけばお金が余分にかかる心配はほぼないので、ここだけはケチケチをやらないほうがいい。
その3 燃費向上を狙ってタイヤに空気パンパン！
タイヤの空気圧不足は燃費を悪化させ、空気を多めに入れると燃費は向上すると言われる。
燃費が向上する理由は、タイヤの変形が抑えられて路面への接地面積が減り、転がり抵抗が小さくなるからだ。
ガソリン価格が上がっている現在では、タイヤに空気を多く入れてできるだけ燃費を良くしたいと思うだろうが、次のような理由から、逆にお金がかかることになりかねないのだ。
●タイヤの寿命を縮める
タイヤの空気圧をどんどん高くすると、タイヤのトレッド面（路面と接地している部分）が膨らみ、接地する部分はトレッドセンターに集中するようになる。
こうなると、トレッドセンター部分のみが摩耗（偏摩耗）し、そこ以外は十分タイヤ溝はあるのに使用不可となり、タイヤを交換しないといけなくなってしまう。
●外部ダメージを受けやすくなる
タイヤの空気圧が高すぎるとタイヤの柔軟性が失われ、縁石などに当てた際に切りキズや擦りキズが生じたり、タイヤ内部のワイヤーコードが切れたりする危険がある。ダメージを受けてタイヤがバーストするともちろん交換となる。
●乗り心地が悪くなり、操縦安定性が低くなる
タイヤはサスペンションの一部とも言える働きをしているが、その性能が失われてしまい、衝撃吸収力は低下。
結果、乗り心地は悪くなり、操縦安定性は低くなっていく。
雨の日など、路面の摩擦力が低い場合は、トレッドの接地面瀬が低いうえに操縦安定性も低ければ事故につながり、結果散財することに。
散財だけで済めばいいが、他車を巻き込んだ事故にもつながりかねない。
上記デメリットを回避しつつ少し多めに空気を入れたとしても……燃費向上はわずか。
結局、空気を多く入れることは、メリットよりもデメリットのほうが上回ってしまう。
タイヤの適正な空気圧は、車種ごとにカーメーカーが指定している車両指定空気圧と同じ。
車両指定空気圧は多くの場合、運転席側のドア付近、給油口に貼られた空気圧表示シールに記載されている。
なお、タイヤメーカーのブリヂストンによると、タイヤは1カ月で約5〜10％も空気が自然に抜け、約41％のユーザーが空気圧不足で走行しているという。
自然空気漏れも考慮し、車両指定空気圧を基準として0〜＋20kPaの範囲内で調整・管理するのがベストだ。
今回は、ケチケチ走行でやりがちなことを3つ取り上げたが、悲しいことにどれも結局は散財方向。
だが、愛車を持つことで逆に得られるものも多いのだから、度を超えたケチケチはやらないほうがいいみたいですね。
引用元：https://bestcarweb.jp/feature/column/692745
