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軽く考えてはいけない!タイヤに空気を充填する際の危険性と注意点
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ベストカーWeb より

タイヤに空気を充填するときの注意点


 商用車タイヤのサービスマン・ハマダユキオさんが今回警鐘を鳴らすのは、タイヤの空気を充填する際の危険性です。

 特にトラック・バス用タイヤは、空気充填中にバーストすると、その爆風はまさに爆弾並み。ハマダさんが空気充填時のさまざまな危険性と注意点を教示します。

文・写真/ハマダユキオ

 空気充填というのは、タイヤに空気を規定圧まで入れることをいいますが、実はいろいろ注意点があります。

 自転車のタイヤに空気を入れる感覚でトラック、バス、乗用車、その他特殊車両のタイヤに空気を入れるのは危険な場合があります。

 もちろん自転車の場合でもさまざまな注意点があり、怪我をする場合もありますので、簡単に考えてはいけないですけどね。

 自動車では、特にトラック・バス用、特殊車両のタイヤは充填する空気の量も多く、非常に高圧なため危険が伴います。

 タイヤ屋、もしくはタイヤを取り扱う現場に就職した場合は、現場に入る前に空気充填の講習を受け、終了書が無いと空気充填作業はできません。つまりそれだけ知識が必要な作業となります。

 空気圧充填の講習、正式にはタイヤ空気充てん作業特別教育といいまして、平成2年10月1日より自動車の空気充填業務に従事する労働者に対し、特別教育を行なうこと等が事業者に義務付けされたんですね。

 これは労働安全衛生規則第36条で、違反した場合は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金となります。厳しめですよ。

 ただ罰金があるからとかではなく、本当に危険を伴う空気充填。知らなかったでは済まされない事態も発生する可能性が高いので、ぜひ受講、そして勉強をしていただきたいです。



タイヤの空気圧充填講習について

 タイヤ屋だけでしょ? って思ってるかもしれませんが、タイヤの組み立てに係る空気充填作業を行なっている場合は全て対象になります。

 我々タイヤ屋は、車両からの脱着、組み換え作業だけではなく、タイヤだけ納品もあります。それは自社整備ですね。工具、道具、設備はそれなりにはありますが、安全対策といった観点からは決して充分ではない現場も多いです。

 整備担当さんはこの道ウン十年ですので自信とプライドがあります。そして今まで作業事故は起こしてないという実績からでしょうが、傍から見てて怖くて逃げ出したくなるような作業を行なっています。

 あまり詳しく書くと講習内容と被るので割愛しますが、その危ない作業を現場だけの教育で受け継がれていくのも事実ですね。タイヤや車両の破損パーツは交換できますが、命は交換できません。

 空気充填作業で最悪な事態はバーストなのですが、事故状況のレポートを見る限り、空気充填に関する知識や安全対策をステップを踏んで作業を実施していれば痛ましい事故は防げた可能性の高いものばかりです。作業事故を起こした場合、痛い思いをするのは当の本人だけではありません。

 タイヤ空気充てん特別教育講習会の予定は、全国タイヤ商工協同組合連合会より開催場所、受講料、申込み方法がわかります。検索してみてください。

実際にある危ない状況いろいろ


 たとえば、パンクレベルで充填圧が下がっている場合。空気はゴムを透過します。

 なので定期的な点検、エアの補充が必要なのですが、例えば月一の内圧点検をエアゲージで測定した時に規定圧より減り方が100kpa以内であった場合は、パンクではなく自然漏れの可能性は高いですね。タイヤのダメージも無いと思われるので、そのままエア補充しても問題ありません。

 危ないのは急激に内圧が下がってる場合で、それを点検ハンマー等の打診点検で発見、スペア交換やパンク修理の時間が無いのでエア補充で凌ぐ場合です。

 リアタイヤのダブル、内側のエア補充は、特にタイヤの外観がわかりにくいので注意が必要です。

 では何がそんなに危ないか?

 まずはタイヤのダメージの度合いが分からないまま高圧充填すると、低圧での走行によるタイヤ内部の部材の強度低下で充填空気圧に部材が負けてバーストする危険性があります。

 もう一つは充填する作業者の場所です。

 車両からタイヤを取り外して安全囲いに入れてエア充填するのならば安全を確保できますが、ゲージ付きのエアチャックやエアチャックを手で操作をする場合は、タイヤの真横、間近での充填になりますので、バーストすれば逃場はなく、バースト時のエア圧がたとえ低圧(タイヤの規定圧に対しての)だったとしても、多くの場合、死亡事故ににつながります。

 大型トラック・バス用タイヤのサイズで規定圧まで充填しなくても、タイヤの近傍でバーストの爆風を受けた場合はほぼ助かりません。

 タイヤ専業店でのバーストによる事故や怪我は、空気充填講習、安全囲いの使用、あるいは工具メーカーさんの安全性、作業性向上させた商品づくりのお陰で減る傾向にはありますが、やはり教育の行き届いてない現場も多いのが実情です。

 トラックではないのですが、以前商用車で飛込みのお客様がスタンドでエアを補充したとのこと。

 タイヤを見るとほぼエアは入っておらず、「パンクしてるかな?」ってよく見ると、タイヤのサイド部分がボコボコになっていて、もうバースト寸前。

 我々はバーストの怖さを充分過ぎるくらい知っているので、慌ててその場でエアを抜きましたが、お客様はそのボコボコのタイヤでもエアを補充してしまったのですね。

 知らないっていうことはホントに怖いことだなとつくづく思いました。


引用元:https://bestcarweb.jp/fullload/689063


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