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蓄電池としてのEVを「メタバース」で体験してわかった意外な事実
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Response より


2023年1月20日、日産自動車はEVのある生活を体験できるゲーム型ネットコンテンツ「NISSAN EV & Clean Energy World」 の無料提供を開始した。

今回は、事前に行われたメディア向け体験会を通して、EVの蓄電池をアウトドアや災害時に電源として活用するV2H/V2Lの意義と、EVとメタバースの親和性を考えてみた。


◆災害の時代におけるEVの蓄電池の価値

2022年は「節電」や「停電」が何度もニュースになった。ウクライナ戦争の影響で燃料価格が高騰したため夏には電力需給が逼迫し、政府が節電を呼びかけた。12月には、大雪や暴風雪が原因で北海道や新潟県で大規模な停電があった。

令和の現代は生活のあらゆる面で電気を使っている。電気が止まると昭和のように夜の明かりやテレビを我慢するだけでは済まない。スマホやパソコンという現代の命綱のような情報源であり通信手段でもある機器が使えなくなる。

調理器具や暖房器具など電気化も進んでいるし、オール電化の住宅やマンションも増えている。僕らは電気に依存して生きている。災害時でも停電は避けたいと思うのが当たり前だろう。

そこで注目されるのが、家庭用蓄電池としてのEVだ。

日本でのEVシフトも徐々に加速している。よく知られているように半導体不足で自動車の生産台数が制限されるなどの逆風が吹き、乗用車の販売台数は2019年以降減少している。しかし、EVの販売台数は、2021年に成長に転じ2022年は過去最高となった。

そういえば、日本カー・オブ・ザ・イヤーも日産『サクラ』/三菱『eKクロスEV』が受賞した。





そして、これらのEVは家庭用の蓄電池と比べると非常に大きな容量のバッテリーを搭載している。

例えば、シャープの家庭用蓄電池は非常用の小型のもの(4.2KWh)から、ゆとりのある大容量モデル(13.0KWh)まである。パナソニックやニチコンなどのラインナップも同様だ。一方のEVは軽自動車規格の日産サクラですら20kWh、日産『アリアB6』は66KWhという大容量の電池を搭載している。

この大容量の電池を家庭で利用できるシステムがV2H(Vehicle to Home)、アウトドアや災害時で利用できるのがV2L(Vehicle to Load)だ。

◆ゲームで実感するEVとV2H

今回、日産がネット上で公開したゲーム型コンテンツは、このV2HとV2Lを手軽に体験できるものだ。

ゲームの内容は、日産アリアと共に人里離れた別荘地に赴き、アリアの蓄電池とV2HやV2Lを駆使してリゾートライフを楽しむ、というものだ。

この別荘地には電気が来ていない。しかし別荘はオール電化状態で、電気を使った調理器や、換気扇、洗濯機、ロボット掃除機、露天風呂などがある。これらの電気製品を使うためにアリアをV2Hで接続して、別荘の蓄電池にも充電しつつ、部屋を掃除したり、料理を作ったり、露天風呂に入ったりして、別荘ライフを楽しむ、というのがこのゲームの基本的な目標だ。

しかし、電気は使えばなくなっていく。アリアの電池も減っていく。減りすぎるとアリアが走れなくなってしまうので、6KWhは最低限で残るようになっている。



アリアの電池がなくなったら、充電しなければならない。別荘地の周辺には風力発電、太陽光発電、地熱発電という3つの再生エネルギーによる発電拠点がある。アリアに乗って、それらの発電拠点に移動し、発電して充電する。

しかし、ケーブルを繋いだだけでは充電できない。それぞれの発電施設は、風車が回っていない、太陽電池パネルが太陽を向いていない、地熱が足りなくてタービンが回っていないと、それぞれ問題を抱えている。

それらの問題を解決して発電し、アリアを充電して別荘に戻るというのがこのゲームの主なタスクだ。



事前にメディア向けに行われたイベントでこのゲームを体感した。参加者が多かったせいか、みんなで電気を使いまくり、アリアにいくら充電してもすぐ使い切ってまた充電に行かなければならない自転車操業状態となってしまった。



日産の広報としては多少想定外だったようだが、現実の電気だってバンバン野放図に使えばなくなっていく。そして電気を得るのだって本来は簡単なことじゃない。

気軽なエンタメコンテンツだけど、意外と大切なことをちゃんと気付かせてくれた。

ここにはもうひとつのコンテンツとして、EVや再生エネルギーに関するクイズもある。全30問に及ぶなかなか凝ったクイズで、こちらも電気の大切さを学び直すのに良いかもしれない。
◆メタバースでV2Hを体験する意味

今回のゲーム型体験コンテンツは、メタバースサービスのVRChat上に構築されている。VRChatのアカウントを作成すれば誰でも無料で体験できる。

VRChatは、現在Meta Quest版とWindows版の2種類のアプリがあり、どちらからでも利用可能だ。お手軽なのは、Meta Quest2単体だろう(Pico 4単体ではVRChatは利用できない)。

Meta Quest2は地上波テレビでCMが流れているので、日本国内でも普及が進んでいる可能性はあるが、Nintendo Switchのように多くの人が持っている状態ではない。

それでも、今回のコンテンツはスマホアプリやWebアプリにするよりは、メタバースのアプリにして正解だったと思う。

もし、同じゲームをスマホ化したもので遊んでもたいして面白くないだろうし、そもそも遊ぶ人も少ないだろう。しかし、メタバースで他の人と一緒にやると、なかなかに楽しい体験となる。VRよる没入感と大勢でガヤガヤやるカオス気味な楽しさがあるからだ。



そして、Meta Quest2を買った人達は無料で楽しめるコンテンツを求めている可能性が高い。まだ普及登場の機器でスマホのように果てしなく沢山のコンテンツがある状態ではないからだ。

日産自動車は、2021年に銀座四丁目のショールームをVRChat上に再現したバーチャルギャラリー『NISSAN CROSSING(ニッサン クロッシング)』を公開して以来、サクラのお披露目イベントなど、積極的にメタバース上での広報活動を行ってきた。

最近は企業のVRやメタバースの活用が徐々に増えてきたが、日産の場合はVRChatの“住民”とも言える既存のユーザーコミュニティとの接点を大事にしている点が特徴的だ。

いま、VRChatを楽しんでいるのは、先進的なイノベーター層やアーリーアダプター層だ。

これは筆者の憶測だが、そういった数は多くないが時代を引っ張っていく人達に日産のブランドを印象づけたり、EVの先進性やV2H/V2Lによるサスティナビリティをアピールしていく戦略だとしたら、的を得ていると言えるだろう。

◆コンテンツ利用方法

【NISSAN EV & Clean Energy World】
公開先:VRChat上 ワールド検索から「NISSANEV&CleanEnergyWorld」を選択
公開日時:2023年1月20日14:00~
対応:Meta Quest 2 対応
費用: 無料



引用元:https://response.jp/article/2023/01/20/366600.html


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