知らず知らずのうちにヤレてくる!!! 無意識のうちにやっているクルマを停める時の悪習慣とは
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ベストカーWeb より

新車を購入後、3年くらいまでは壊れるはずがないと特に気にせずにディーラーに任せっきりのメンテナンスを行っている人が多いのではないだろうか。しかし、無意識のうちにやっている悪習慣が、知らず知らずのうちにクルマを蝕み寿命を短くしているのだ。今回はクルマを停める際の悪習慣を紹介していこう。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:Adobe Stock@buritora)
停車時の据え切り
パワーステアリングが当たり前になった今のクルマは、停車した状態でも楽にハンドルを切ることができる。このようなハンドル操作を「据え切り」と呼び、無意識のうちに行っている人もいるだろう。
パワステが動作していない状態のハンドルは極端に重い。路面をグリップしているタイヤを無理矢理、左右にこじることになるからで、パワステのなかった昔のクルマは動き出してからでないとハンドルは回せなかったのだ。パワステは電動や油圧によるパワーアシストによって力ずくで動かしているわけで、たまに1回や2回、「据え切り」したからといって壊れることはない。
しかし、 駐車する時やUターンなど日常的に繰り返していたなら注意が必要。走行時よりパワーアシストする力が必要となるため、電気モーター(電気式)やパワーステアリングフルード(油圧式)が発熱しやすくなる。
タイヤやステアリングリンケージ回りにも確実に負担がかかるからだ。このパワーステアリング、油圧式と電気式の2つの方式に大きく分けられるが近年は後者が主流となっている。
電気式の場合、電気モーターや配線が高温で傷む恐れがある。平成初期まで主流だった油圧式の場合、油圧経路には常に高い圧力がかかっており、フルロック状態では逃げ場がなくなった圧力を解放するためリリーフバルブが開く。頻繁に繰り返すとリザーバータンクからパワーステアリングフルードが吹き出したり、気泡が発生してしまうこともあるので要注意。
クルマ止めにタイヤを思いっきりあてる
縁石や段差、キャッツアイなどの突起に乗り上げたりすることも、タイヤやサスペンションへ強烈な衝撃が加わってしまうため避けるべき行為。特に、低扁平なタイヤは、タイヤのサイドウォールが撓むことで出来る逃げが少ないため、ホイールと突起物との間でタイヤのサイドウォールが潰れ切ってしまい(ピンチカット)、最悪の場合、パンクに至ってしまう。
段差やキャッツアイなどへ乗り上げざるを得ない場合は、突起を極力踏まないよう、車速を落としてタイヤの軌跡を選んで進むようにしましょう。
またクルマ止めがある駐車場では、一度クルマ止めにゆっくりとタイヤを当てたあと、少しだけ前進(前進駐車の場合は後退)して、クルマ止めからわずかに離すようにして止めるようにすることで、足回りにかかる余計な負荷を減らすことができる。
パーキングブレーキをかけずにPレンジのまま駐車
案外多いのが、パーキングブレーキをせずにPレンジだけに頼った駐車。もちろん、Pレンジのギアが噛めば、それ以上クルマが動くことはないが、ギアの噛み込みでクルマを停めている以上、外部から大きな力がかかった場合の破損や噛み込みが外れるリスクがないとは言い切れない。
また勾配がある場所にPレンジで駐車すると、再始動時にギアチェンジをしにくい場合がある。これは勾配によってPレンジのギアに負荷がかかっている状態で、駆動系ダメージが蓄積させることになる。AT車(CVT車含む)はPレンジに入れるとともにパーキングレバーまたはパーキングスイッチを効かせること。
完全に停止していない状態でR→DなどATのシフトチェンジ
「クルマが動いた状態でRやDにシフトチェンジするとATが壊れる」と昔からよく聞かれてきた。これは本当なのだろうか? 過去にアイシン・エィ・ダブリュにて技術本部に勤めるエンジニアに話を聞いたことがあるので紹介しておこう。
ズバリ、「ゆっくりとした車庫入れ程度の速度で変速しても壊れるほどヤワではありません(キッパリ)」とのこと!ではなぜ壊れないのか?
「AT内部のクラッチおよびブレーキを制御しながら、プラネタリーギアの回転方向を変えてD↔Rのギアチェンジを行なっているので、そんな操作をした程度では壊れません。機種によってはある車速以上ではギアチェンジができないような構造になっていますのでまず壊れません。
世の中にはせっかちなユーザーさんもいらっしゃるので、そういった事象は把握していますし、変速が制限されている機種では基本的にそうした操作をしてもギアチェンジされないようにしています。
また具体的に何km/hまで変速がOKなのか、うち(アイシン・エィ・ダブリュ)でもそうですし、変速機を納めている自動車メーカーにも基準があります。社外秘なので、ちょっと答えにくいですが、一般的には時速40~60kmとかそんな速度ではギアチェンジされないようにしています」。
さらにクルマをしっかり停まっていない状態で、DやRに入れるのを長い間繰り返すと、耐久的に問題ないのか、については、
「アクセルを踏まないようなゆっくりとしたギアチェンジの車庫入れであれば大丈夫だと思います。そもそもMT車のようにリバースギアがあって、クルマが動いている(ギアシャフトが可動している)時に操作すると、そのギアがガチャっと乱暴に噛み込むワケではありません。
クラッチおよびブレーキを制御しながらギアチェンジを行なっているのと、アクセルを踏まなければATへの入力トルクも小さいのでギアへの負荷というのも小さいと考えています」。
さらにCVTも同様なのか聞くと、CVTの開発者ではないと断りを入れつつも「同様だと思います」とのことだった。ATはそんなにヤワではない、ということだったが、長く乗り続けるのだったらきちんと停まってから操作したほうがいいとのこと。