矢印型信号機の「←↑→」同時全点灯って「青」信号と何が違う? じつは交通事故を減らすために効果的な策だった
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WEB CARTOP より
矢印式信号機の設置でスムースかつ安全な交通を実現
交通事故を起こさないため、安全運転の大基本となるのが信号灯器に従うことだ。日本の信号機は、赤・青・黄の3色となっているが、横型信号機の場合は左から順に青・黄・赤とするように、また縦型のときには上から赤・黄・青とするのが原則だ。
言うまでもなく、目前の信号機が青色の灯器を点灯させている際に、クルマは進むことができる。
しかし、そんな青灯が点かない信号機もある。それが矢印型の信号灯器によって、進行方向ごとに通行の可否を示すタイプで、矢印式信号機などと呼ばれている。
青色の矢印が出ている場合、メインの信号機が赤点灯であっても、矢印の方向については進むことができることを意味しているのは、運転免許を有しているドライバーであれば、ご存じのことであろう。
おそらく、右折を示す矢印を見かけることが多いだろうが、それは右折待ちによる渋滞や事故を防ぐためだ。
信号機を管轄している警察の立場としては、基本的にスムースかつ安全な交通を実現することが目的となっている。
右折需要の多い交差点においては、右折待ちのクルマが滞留してしまうケースも多く、また右折車両と対向直進車両による「右直事故」も起こりやすい。
そこで直進・左折と右折を分けた信号表示とすることはメリットがあるのだ。
左折・直進・右折と進行方向ごとにクルマの流れをコントロールすることが求められるような大きな交差点では、各方向の矢印灯器を備えた信号機が設置されていることがある。
矢印式信号機の矢印同時全点灯は青信号とどう違う?
しかし、左折・直進・右折と3つの矢印灯器が並んでいるような信号を見ていると、3つの矢印が同時に点灯している状態となっていることもある。
そうであれば、メインのほうの青信号を点灯させればいいような気もするものだが、はたして矢印の全灯というのは意味があるのだろうか。
まず、3方向の矢印灯器があるような多くの信号機において、3つの矢印が全点灯しているというシチュエーションはほとんどないはずだ。
通常の交差点であれば、右折の矢印が点灯しているときは、少なくとも直進を示す矢印は消灯、メインの信号機は赤表示となっていることが多い。
つまり、交差点には右折する車両しか進入しない状況を作り出しているのだ。右直事故を防ぐという意味からすると、通常の交差点において右折と直進の矢印が同時に青く点灯するというシチュエーションは考えづらい。
対向する車線からの右折車が物理的に存在しえない丁字路のような交差点であれば直進・右折が同時点灯するケースは考えられるが、多くの場合においては3つの矢印は常に同時点灯させるものではなく、時間差で点くようにするためにわけているというのが基本となっている。
ユニークなケースでは、時間帯により右折禁止となっている交差点において、その時間帯については矢印灯器を使わずに、メインの信号機の青を点灯させるという制御をしている場所もある。この場合、信号は青を示していても右折は禁止なわけだから、交通ルールとしては正しい制御といえるだろう。
なお、信号の制御は警察の仕事だが、警視庁の指針によると『右折矢印表示時間帯は右折先の横断歩道を対象とした歩行者用灯器は赤信号表示にすること』となっている。矢印灯器であれば、歩行者用信号と連携させることが可能になる。
具体的には、矢印灯器を持たない車両用信号が青点灯の場合は、歩行者用信号も青になっていることが多く、右左折で車両と歩行者が交錯する可能性は高まる。
しかし、矢印灯器と歩行者用信号を連携させれば疑似的に歩車分離の瞬間を作ることができ、交通事故のリスクを低めることが期待できる。こうした運用ができるのも矢印灯器だからこそのメリットといえるだろう。