急速充電器が少ないし……と不安がる必要なし! 電気自動車を取り巻く環境は日々充実している
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WEB CARTOP より
便利なはずのEVが家庭充電できなくて不便な存在になっている
2009年に三菱i-MiEVが法人向けにリースされ、翌10年から市販された。
同2010年には日産リーフも発売され、以来十数年が経っている。
それでも、電気自動車(EV)の充電基盤に対する不安の声は止まない。
現状をいえば、経路充電という急速充電器の整備は全国で8000カ所ほどになり、200Vでの普通充電は2万カ所ほどで、両方を合わせると3万カ所近い充電器が国内に存在する。
これには、自宅の200Vのコンセントは含まれていない。
3万軒を割ったガソリンスタンドとさほど変わりない数字が出されても、なお、充電に対する不安視が消えないのはなぜか。
そもそも、急速充電器に象徴される経路充電は二次的な設備だ。EV充電の主体となるのは自宅での普通充電で、寝ている間に満充電にできることを基本とする。
寝ている間にガソリンが満タンになることなどありえない。ガソリンスタンドという専門の設備でなければ給油できないほど、ガソリンは危険な燃料だからだ。
一方、電気は、家庭で電灯や電化製品などあらゆるものに使われ、身近なエネルギーであるとともに、多くの人が比較的安全に利用できるエネルギーである。
それをクルマでも家庭で安心して充電できるところがEV最大の利点だ。
ところが、国内では家庭で十分に充電できないところに、最大の課題がある。
EVも増加するが充電整備も急速に進む
現状は、人口密度の高い日本の都市部などでマンションなど集合住宅に住む人や、月極めの貸し駐車場を利用する人が自宅で充電できていない。
背景にあるのは、集合住宅を管理する住民代表で構成される組合で合意が得られないことや、貸し駐車場の所有者や管理する不動産業の人々の認識が改まらないからである。
ここを乗り越えられなければ、日本での本格的なEV普及は進まないだろう。
ガソリンスタンドの延長のような急速充電器をいくら設置したり高性能化したりしても、わざわざ充電しに行く苦労は、給油以上に面倒だ。
それでもここにきて少し改善の様子がうかがえる。集合住宅の多い自治体では、管理組合の説得を含め、マンション価値を高めて都市の魅力発信の思惑とあわせ、自宅充電の整備に乗り出そうとしているところがある。
気候変動が現実になり、自然災害が甚大化している現在、都市部でも停電が起こる可能性は高まっている。
高層マンションなどで停電すれば、エレベーターが利用できなくなるのはもちろん、高層階へ水を供給することさえできなくなる。
集合住宅でもEVがあることによって、そうした万一の際に、EVから建物へ給電し、全所帯の電力は賄いきれないとしても、表玄関の扉を開け閉めする電力を得ることで部外者の立ち入りを抑制することができる。
EVの所有者が増えれば、より各家庭での利便性を確保することもできるだろう。
急速充電においても、徐々に高性能化が進められ、充電器設置の数については、イー・モビリティ・パワーの会長が、最終的には3万基を想定していると話す。現在の3~4倍に増えるということだ。
EVの普及に合わせ、充電の整備が進んでいくことが期待されている。現状の充電器数だけで将来のEV普及を懸念するのは、時代の変化という時間軸を無視した論点ではないか。また、充電器は、他の社会基盤に比べ、いざ設置となれば短期間で整備を進められる設備でもあることを忘れてはならない。