後席シートベルト、してる?後席シートベルト非着用時の危険性
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ベストカーWeb より

警察庁とJAFの調査によると、運転席では99.2%、助手席でも96.8%と、前席では着用率が高いクルマのシートベルト。ただ後席では、義務化から16年が経過する2024年でも、一般道では45.5%と、いまなお着用率は低いままとなっています。
しかしながら、前席でも後席でもシートベルトの重要性は変わりません。もし、シートベルトをせずに後席に乗っていて、事故に遭ったらどうなるか。後席シートベルト非着用時の危険についていま一度振り返りましょう。
文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock_v_0_0_v/写真:Adobe Stock、写真AC、JAF
一般道の速度であっても、致命的な頭部損傷を負うリスクが
前席シートと後席シートに囲まれていることで、前席よりも衝突時の危険が少ないように思われるクルマの後席。しかしながら、シートベルトの重要性は、前席も後席も変わりません。
JAFが2017年に実施したユーザーテストでは、時速55km/hでフルラップ前面衝突(正面衝突、クルマの前面のすべてがクルマや障害物に衝突する状態)すると、シートベルトを着用していない後席の実験用ダミー人形は、運転席のヘッドレストに頭を強く打ち付け、頭部傷害基準値は、死亡や重傷につながる致命的な頭部損傷を負う危険性が高くなるという2000を大きく超える2192となったそう。
クルマが衝突する際、その衝撃の大きさは速度の2乗に比例しますが、時速40km程度であってもその衝撃はすさまじく、ビルの3階(約6メートル)の高さから落としたクルマが地面に衝突するときに受ける衝撃力にほぼ等しいと、専門書では紹介されています(牧野隆編著「図解交通資料集」)。こうした衝撃が、瞬間的に人体へ加わることで、大怪我をする可能性があるのです。
後席シートベルト非着用時の危険性(JAFユーザーテスト)
車外放出のリスクも
車外放出のリスクもあります。警視庁の資料によると、高速道路上で事故死した人のうち、約4人に1人が車外放出されたことによるものだそう。一般道でも(事故死した人のうち)約15人に1人という、少なくない数値となっています。
車外放出をされると、路面に身体を打ち付ける衝撃のほか、後続車にはねられてしまうというリスクもあります。特に子供の場合は身体の大きさに対して頭部の比率が高いため、衝突時に上体が傾倒し、頭部を受傷しやすくなってしまいます。
車外放出は、クルマが回転した際の遠心力などが作用することで、衝突速度が低くても、発生するリスクがあります。冒頭で触れたように、一般道では特に低い後席シートベルト着用率ですが、高速で走っていなければ危険ではない、というわけではないのです。
シートベルトをしていない後席乗員は、前席乗員にとって凶器になることも
この実験ではまた、後席乗員が衝突によって前方へ投げ出されたことで、前席(運転席)にシートベルトを着用して乗車していたダミー人形にもダメージがあったとのこと。後席乗員がシートごと運転席のダミー人形を押しつぶし、運転席のダミー人形の頭部がヘッドレストとハンドルの間に挟まれ、運転席ダミー人形の頭部傷害基準値も1171と、頭蓋骨骨折などのリスクがあるレベルに達したのです。
後席シートベルトに関しては非装着での罰則が緩く、違反点数が前席では1点であるのに対し、後席では高速道路のみ1点で、一般道では口頭注意のみ。いずれも反則金はありません。速度超過や一時停止違反と違い、周囲に危害を与えるというよりも、自分自身の身を守るためのものという側面が強いためなのかもしれませんが、「シートベルト着用は重要」ということを知ってもらうためにも、反則金や違反点数は、もう少し厳しくしてもよいのでは、と考えます。
身長150センチ未満の子供の場合はまた、クルマに装備されているシートベルトではなく、チャイルドシートやジュニアシートを正しく着用することも重要。シートベルトは、身体に合っていなければ、安全に機能しないばかりか、肩ベルトや腰ベルトが衝撃に耐えられる鎖骨や胸郭、骨盤ではなく、首や腹部に食い込んでしまうことで、子どもの身体を痛めつける凶器になってしまう可能性があるのです。
シートベルトをしない人が車内にひとりでもいることは、万が一の事故の際、その人が危険であるばかりでなく、他の乗員にとっては凶器にもなってしまいます。後席でも必ずシートベルトを着用し、身長が150センチ未満の子供にはジュニアシートを着用させましょう。