将来お宝になるかも!! だから気にしたい「ガソリン車の寿命を縮める」NG行為
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ベストカーWeb より

温室効果ガスの排出量削減に向け、2035年には新車での販売が禁止になるともいわれているガソリン車。今後“貴重品”になるかもしれないガソリン車をより長く乗り続けるために知っておきたい、クルマの寿命を縮めるNG行為とは?
文/井澤利昭、写真/写真AC
エンジンオイルの交換を怠る・不適合なオイルの使用
ガソリン車の寿命を延ばすには、まず何といってもその心臓部ともいえるエンジンをいかに長持ちさせるかが肝心。
そのためにはやはり、日頃からのエンジンのメンテナンスが重要になってくる。
特にエンジンの内部を潤滑・冷却・清浄する機能を担い、サビの防止や燃焼ガスの漏れを防ぐ気密性を保つ役割を持つエンジンオイルは、定期的な交換が必要。
これを怠ると燃費の悪化やエンジンのパワーダウンといった性能の低下はもちろん、内部の金属パーツが摩耗し、最悪の場合はエンジンが焼きつき、修理が不可能になってしまうこともありうる。
エンジンオイルの交換時期は、車種やそのクルマの使用状況によって異なるものの、一般的には10000km~15000kmごともしくは6カ月~1年ごとを目安としているメーカーが多く、ターボ車ではその半分程度程度ともいわれている。
とはいえこれはあくまで目安にすぎないので、エンジンオイルの状態をこまめにチェックし、汚れているようであれば早めに交換するのがベストだ。
また交換の際に注意したいのが、愛車に合った適切なオイルを選ぶようにすること。
エンジンオイルには、その硬さを示す「粘度」、オイルの主成分となる「ベースオイル」、品質を示す「規格」や「グレード」などによる違いがあり、それぞれのクルマに合ったものを選ばないとエンジンの寿命を縮める原因にもなる。
また、1970年代頃までに生産されたいわゆる旧車では、ベースオイルとして「全合成油」や「部分合成油」が使われているものは使用を控えたほうが無難。
これは、旧車のエンジンに使われているオイルシールが、合成油によって浸食され、オイル漏れを起こす可能性があるため。
良かれと思って行ったオイル交換がエンジンを壊す結果にならないよう、古いクルマではより慎重なオイル選びが必要となってくる。
ガソリンタンクを空に近い状態で走行しない
クルマの燃費は、車体が軽いほうが良くなるというのは当たり前。
だからといってクルマを軽くするためにガソリンタンクが空に近い状態で走り続けてしまうとエンジンに悪影響を与えることもありうるため、やめておいたほうが無難だ。
特にエンジンが停止してしまう「ガス欠」状態を繰り返してしまうと、ガソリンを送るための燃料ポンプや、燃料を噴射するためのインジェクターなどの故障や破損といったトラブルの原因にもつながりかねない。
これは、燃料ポンプのモーターやインジェクター先端部分の潤滑および冷却に、ガソリンに含まれる油分が利用されているため。
ガス欠を何度も繰り返すと、最悪の場合、燃焼室の冷却が追いつかずピストンに穴が開いてしまうことがある。
またガス欠によって燃料のパイプラインからガソリンがなくなると、給油した直後はスターターを回してもガソリンがすぐには行き渡らないため、スターターやバッテリーにも負担をかけることになる。
さらにガソリンタンクが空に近い状態を長期間続けてしまうと、タンク内の湿気と空気中の水分による腐食やサビが発生してしまい、その結果、エンジン内に異物が混入することにも。
エンジン本体はもちろん、関連する機器の劣化や故障にもつながるため、ガソリンタンクが空に近い状態で走ることはできる限り避け、ある程度燃料が入った状態をキープするように心がけたい。
不要な暖機運転、冷間時からのアクセル全開もNG
昭和の時代には常識という感のあった、走り出す前の「暖機運転」だが、ここ最近のクルマでは特に必要がないという考え方が一般的。
そもそも「暖機運転」とは、エンジンの始動直後に走り出すのではなく、一定時間負荷をかけずに回すことでエンジンの内部を暖め、潤滑のためのオイルを十分に行き渡らせることで摺動部分が滑らかに動くようにする準備運動のようなもの。
これによりエンジンが本来持つ性能を引き出すことがその目的だ。
ところが現代ではエンジン本体の組み付け精度が高くなり、オイルの潤滑性も向上しているため、暖機運転をせず、すぐに走り出してもエンジンはその性能を十分に発揮することができる。
また、かつて使われていた「キャブレター」に代わり、現代のクルマでは「インジェクター」が使われていることも、暖機運転を必要としない大きな理由のひとつだ。
これは冷間時に燃料の噴射が安定しないという特性がある「キャブレター」に対し、電子制御の「インジェクション」では、常に安定した噴射が可能になったからにほかならない。
あまりに長い暖機運転やアイドリング状態を続けることは、ガソリンの無駄遣いになるのはもちろん、エンジン内部にカーボンがたまる原因にもなるため、クルマの寿命を考えると控えたほうがいいだろう。
とはいえ、エンジン始動直後からいきなりアクセル全開というのもNG。いくら技術が進歩したとはいえ、熱による金属同士のクリアランスの変化やオイルの粘度変化などはどうしてもありうるからだ。
停止したままの暖機運転こそ必要はないが、エンジンが適正な温度に温まるまで優しくゆっくりと走る「暖機走行」は、現代のクルマには最適とされている。
いっぽうで極端に気温が低い時やしばらくクルマを動かしていなかった場合などには、1分程度「暖機運転」をしてから、「暖機走行」へと移行するのがお薦めだ。
高回転を多用、低回転ばかり。どちらもダメ
クルマのエンジンは、長期間始動せずに放置した状態が続くと、内部のオイルが重力によって落ちて油膜が失われ、パーツの腐食やサビが発生することもありうる。
そのため1週間に一度程度はエンジンをかけ、内部にオイルを循環させるのが、エンジンを長持ちさせる秘訣だ。
さらに実際の走行においてもエンジンを労わる運転を心がけることが重要。
エンジンを長持ちさせるための方法として「内部のカーボン汚れを燃やすために、高回転をキープしたほうがいい」という説を聞いたことある人も多いのではないだろうか。
この方法、決して間違いではないものの、やり過ぎには注意が必要。
高回転域を多用した運転は、燃費に悪影響を与えるのはもちろん、エンジン内部に大きな負荷がかかり続けるため、ピストンやバルブ、クランクシャフトの摩耗が激しくなるからだ。
またエンジン内部の圧力の上昇により、シール部分からのオイル漏れを起こす原因にも。
特にMT車の場合は、エンジンの回転数がレッドゾーンに入ることがないよう、的確なシフト操作が求められる。
いっぽう、低回転で走り続けるのがエンジンに優しいかといえば、そうとも限らないのが難しいところ。
あまり低回転でエンジンを使い続けてしまうと、不完全燃焼による燃えカスなどのカーボンがエンジンの内部に蓄積してしまい、性能低下や故障につながってしまう。
車種によって異なるものの、エンジンのコンディション維持には、2000~4000rpm程度の中回転域で一定時間走行し続けるのが良いとされており、そのためには高速道路やバイパスなど一定速度を保てる場所を、ある程度のスピードで流すのが最適。
今後貴重になるかもしれないガソリン車に長く乗り続けるためには、ハードすぎる使い方はもちろん、ほとんど走らせないなど、大切にするあまり愛車を過保護にしすぎるのもNGということだ。