夏こそエンジンオイル交換!! 35度以上の猛暑日続出でクルマが悲鳴をあげている!!! 1年1万km交換なんてもう無理!?
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ベストカーWeb より

35度以上の猛暑日が続いています。あなたの愛車のエンジンオイルは本当に大丈夫ですか? とくにハイブリッド車や軽自動車、年式の古いクルマに乗っている方にとって、夏のエンジンオイル管理は重要なテーマです。本企画では、夏場における粘度の選び方や交換サイクル、純正品と社外品の違いなど、愛車を守るために今知っておくべき情報をまとめました。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トビラ写真:NorGal@Adobe Stock)
夏に粘度は変えるべき? 10W-30? 5W-40?
真夏の炎天下、渋滞でのストップアンドゴーやアイドリング時間が長くなることで、エンジン内部の熱ストレスは想像以上です。
この状態が続くと、エンジンオイルは酸化し粘度が変化、潤滑性能が低下する恐れがあります。結果として、エンジンの金属部品が摩耗したり、異音やオイル漏れの原因になる可能性も。つまり、夏場はエンジンオイルにとって「試練の季節」なのです。
オイルの粘度は気温に大きく左右されます。冬は低温時の流動性が重視されるため「5W-30」など“低温側の数値”が低いものが適しています。一方で夏は高温に耐える必要があるため、粘度が高めのものが安心です。
ただし、マルチグレードオイル(例:5W-30、10W-40など)は広範囲の気温に対応できるため、四季を通じて使用可能です。とはいえ、真夏の酷暑に備えて、点検や交換を行うことで安心感が格段に違ってきます。
夏は粘度を高めにした方がいいのか?」という疑問を持つ方も多いはず。エンジンオイルの粘度は、理想をいえば夏は硬め、冬は柔らかめのオイルを使う方がいいです。
わかりやすくいうと、低粘度オイルはサラサラで、低音での始動性がよく、燃費向上に貢献しますがエンジンの保護性能は高粘度オイルより弱くなっています。
一方、高粘度オイルはネバネバで、高温でもエンジンをしっかり保護し、静寂性に優れていますが燃費性能はよくありません。
実際には始動時こそ大きく温度が違うものの、走行中のエンジンオイルの温度はそれほど変わりません。それは冷却系がオイルの温度を安定化させているからで、5W-40などのワイドなマルチグレードオイルは、幅広い環境に対応しています。
だから1年を通じて同じ銘柄を使っても何も問題はありませんが、昨今の猛暑を考えると、工夫してやることでエンジンを守れることになります。
最近は0W-20などの低粘度なエンジンオイルを採用しているエコカーも多くなっています。その場合はメーカーの指定を守るべきですが、クルマの取り扱い説明書でも、ある程度オイルの粘度に幅を持たせているような場合は、夏は比較的高めの粘度を選択した方がいいでしょう。
結論からいえば、メーカー指定の粘度を基本にしつつ、使用環境によって調整するのは有効です。例えば、短距離の市街地走行がメインで渋滞が多いなら、高温時の保護性能を重視して“高温側”の数値(例:W-30→W-40)を上げることを検討しても良いでしょう。
ただし、最新のハイブリッド車などはエンジン制御が非常にシビアで、指定粘度以外を使用すると燃費悪化や保証外となる可能性があるため、慎重な判断が求められます。
ハイブリッドや軽自動車、ディーゼル車の夏場のオイル交換、注意点は?
エンジンの使用頻度が低いと感じがちなハイブリッド車ですが、実は短距離走行や頻繁なエンジン始動により、意外とエンジンオイルの劣化は早いのです。特に猛暑時は負荷も高まりやすいため、半年または5000kmごとの交換が理想的。
ハイブリッド車は、エンジンとモーターの切り替え運転が頻繁で、エンジンが低負荷で長時間作動するシーンが多く見られます。このため、オイルが冷えたまま使われる時間が長く、劣化スピードが意外と早いのです。
さらにハイブリッド車ではエンジンの始動・停止が頻繁なため、「低温始動性能」に優れた低粘度オイル(例:0W-16)が推奨されるケースも多く、車種によってはメーカー指定のオイルを使わないと保証対象外になることもあります。
例えばヤリスハイブリッドには、低粘度のオイル品質規格「JASO GLV-1」認定を取得した0W-8というハイブリッド専用の超低粘度オイルが使われています。
常温での流動性能が高いエンジンオイルのため、従来の0W-16(現行プリウスが純正)のエンジンオイルに比べ、燃費性能が約0.7%向上したほか、約25%も低粘度化したといいます。
ちなみに2020年5月に、ILSACの次世代規格であるGF-6が、APIのSP規格とともに施行され、省燃費性を含む総合性能が向上し、最新のエンジン機構へ適応したオイルとなっています。
ヤリスハイブリッドは、SP規格の1つ下のSN規格で、SN PLUS 0W-16、SN PLUS 0W-20、SN 5W-30というトヨタ純正エンジンオイルも適合エンジンオイルとして使用できます。
軽自動車についても、エンジン排気量が小さい分、回転数が高くなる傾向にあるため、夏のシーズン前後でのオイル交換を推奨します。
ディーゼルエンジンはガソリン車に比べて燃焼温度が高く、スス(カーボン)が多く発生する特徴があります。とくに夏場はエンジンにかかる熱負荷が大きく、オイルの劣化が加速しやすいため、適切な交換時期を守ることが重要です。
また、DPF(ディーゼル微粒子フィルター)や尿素SCRなどの排ガス後処理装置を搭載している車両では、「低灰分・低硫黄・低リン(Low SAPS)」対応オイルの使用が必須です。誤って適合外のオイルを使用すると、排ガス装置が詰まり警告灯が点灯するなどの不具合が生じるリスクもあります。
メーカー指定のDL-1規格(JASO規格)やACEA C2/C3などを満たしたオイルを選び、走行距離や使用条件に応じて、5000~10000kmまたは半年を目安に交換するのが理想です。特に夏場に長距離を走るディーゼルユーザーは、前倒しでの交換を検討しましょう。
純正エンジンオイルじゃなきゃダメなのか?
純正オイルは、そのクルマの特性やエンジン制御に合わせて最適化されているため、迷ったら純正を選ぶのが無難です。とくに保証期間内のクルマやハイブリッド車は、純正品指定であることが多く、社外品使用によるトラブルは避けたいところ。
一方で、社外品オイルの中にも、性能が高くコストパフォーマンスに優れる製品は多数あります。例えば、スポーツ走行を想定した高温耐性のある製品や、燃費重視の低摩擦オイルなど、用途に応じて選択することで、より快適な走行が可能になります。
大切なのは、規格(API/ILSACなど)と粘度がクルマに適合しているかどうかの確認。信頼できるメーカー製であれば、社外品でも十分安心して使えます。
最後にクーラント液も要注意!
冷却水(ロングライフクーラント:LLC)は、エンジン温度を適正に保つための重要な液体です。昔、真夏といえば、ボンネットから「ぷしゅー」と水しぶきを上げているクルマをよくみかけました。
LLCを長らく交換していないと汚れがたまり、またサーモスタット故障により、ファンが回らなくなり、ラジエターに穴が開いたりしてしまうことがありました。
最近の車両は「スーパーロングライフタイプ」で10年無交換も謳われますが、実際には外気温や走行状況、冷却系統の劣化によって性能が低下することもあります。
以下のような症状があれば、早めの点検・交換をおススメします。
・LLCが茶色や白濁している
・甘い異臭(LLCの劣化臭)がある
・リザーブタンクが減っている
交換目安:
・新車:初回は7年または10万km、その後は3~4年ごと
・旧型車や過走行車は2年ごとの交換が安心
編集部まとめ
35度以上の気温、10㎞以上の渋滞といったシビアコンディションで走行した場合には、エンジンオイルが十分に冷却されず、高温劣化を促進します。クルマを長く持たせたいならば、猛暑日が続く、この夏こそ、エンジンオイルの交換をおススメします。