夏→秋に一番多い故障“バッテリー上がり”を防ぐ ハイブリッド車とアイドリングストップ車の正解メンテ
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ベストカーWeb より

JAFのロードサービス出動理由としてもっとも多い「バッテリー上がり」。2024年度に寄せられた救援要請では、約4割がこの「バッテリー上がり」でした。
このバッテリー上がりを防ぐために注意が必要なのが夏。夏はエアコンを駆使するために電気を使う量が大きく、使う量が大きいことで負担がかかり劣化もしやすいなど、バッテリー上がりの原因となる要素が多い季節なのです。夏に酷使されたことで、秋や冬にトラブルが発生するケースもあります。「バッテリー上がりを防ぐ正解メンテ」をご紹介しましょう。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_metamorworks/写真:Adobe Stock、写真AC
夏のダメージは、冬に現れる
2024年度のJAFロードサービス出動理由(一般道路と高速道路での四輪・二輪合計の出動理由)においてもっとも多かったのは「バッテリー上がり」で、全国で97,2393件の救援要請があったそう。これは全体の42.37%にあたり、クルマの(補機)バッテリーは、思わぬトラブルの原因になりやすいことがわかります。
バッテリー上がりには、ライト類や室内灯の消し忘れなどによる「過放電」と、バッテリーそのものに不具合が発生したことによる「破損・劣化」の2つの原因がありますが、この2つを合計したものをシーズン別にみてみると、ゴールデンウイーク(2024年4月27日~2024年5月7日の10日間)が27,298件、お盆(2024年8月10日~2024年8月19日の10日間)が27,272件、年末年始(2024年12月28日~2025年1月6日の10日間)が42,971件。
冬がもっとも多い結果となっていますが、このなかには夏の酷使によって劣化したバッテリーが、冬の低温下で性能がさらに低下してしまったことでバッテリー上がりとなってしまったケースも少なくないと考えられます。夏に酷使されたことで秋を迎える頃にはバッテリーが弱っており、それが冬の低温によってトドメを刺されているのでしょう。夏を乗り切ったとしても、バッテリーには確実にダメージが蓄積されているのです。
バッテリーの劣化は目視や電装品の動作で判断が可能
そうはいっても、昨今の猛暑のなかでは、命を守るため、エアコンの使用は避けられないもの。ここからは突然のバッテリートラブルを避けるためにやっておきたいメンテナンスについてご紹介しましょう。
まずは、エンジンルームをあけ、バッテリーの状態を確認しましょう。バッテリーの液量は十分か(本体横についているUPPER LEVELとLOWER LEVELの間にあるか)、プラス端子やマイナス端子に腐食や金具の緩みがないか(動くようならば増し締めする)、バッテリー上面にあるキャップの通気口に落ち葉や埃などの汚れがついていないか(できる範囲で取り除く)などを確認してみてください。
劣化具合に関しては、きちんとチェックするには専用機材で負荷試験を行うことが必要ですが、電装品の動作である程度判断することができます。たとえば、パワーウインドウの動きが遅くなった、エンジンの掛かりが悪くなった、ヘッドライトの明るさが落ちたなど、普段とは異なる様子がクルマに表れるようならば、バッテリーの交換を検討してもよいころです。アイドリングストップ機能付きのガソリン車の場合は、バッテリーが劣化してくると、アイドリングストップが作動しなくなります。
これらの状況に変化がみられないとしても、前回の交換から3年が経過していたら、バッテリーの交換を検討するようにしてください。クルマの補機用バッテリーは、一般的に2年から3年が交換サイクルといわれますが、使用状況によって寿命は変わってくるため、3年を超えて使用していても何ら問題の出ない場合もあります。しかしながら、バッテリー内部の劣化は確実に進行しているため、トラブルを未然に防ぐためには、定期的な交換は必要。
これはガソリン車もハイブリッド車も同じです。ハイブリッド車もハイブリッドシステムの起動は補機バッテリーが担っているほか、ハイブリッドシステムがOFFのときの電装品への電力供給も補機バッテリーが担っています。エンジンを始動させるという役割がないため、ガソリン車よりも劣化しにくい傾向がありますが、メーカーはガソリン車同様に3年での交換を推奨しており、ハイブリッド車もガソリン車と同様のタイミングで交換すると考えておいたほうがよさそうです。
アイドリングストップ機能付きのガソリン車の場合は、特にバッテリーに負荷がかかりやすいため、3年よりも早いタイミングで交換が必要となります。アイドリングストップ機能付きのガソリン車の場合は、アイドリングストップが入らなくなったなど、バッテリーの劣化を感じたら、いったん機能をOFFにしておくと、バッテリー上がりでエンジンがかからなくなる「突然死」を防ぐことができるかもしれません。
秋のうちに点検をしておこう!!
「前回の交換から3年が経過しておらず、電装品の動作にも異常はないけど不安」という場合は、自動車用品量販店や自動車ディーラーで「一度バッテリーの状態をみてほしい」に相談するといいでしょう。酷暑を乗り越えたバッテリーは確実に疲れています。秋のうちに点検をしておくことで、冬の「バッテリー突然死」は防ぐことが可能ですので、暑さがひと段落したころに一度点検しておくと安心です。