合流のやり方、間違ってない? 渋滞を減らす「ファスナー合流」の正解とは
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ベストカーWeb より

本線道路に合流する際、多くのクルマは合流ポイントに到達するとすぐに本線への合流を始めますが、なかには合流車線を先端まで走行してから本線へと合流していくクルマもいます。渋滞時には「ズルい!」と思われがちなこの行為、実は渋滞を緩和するために、全ドライバーにぜひ取り入れてほしい方法だということをご存じでしょうか。渋滞緩和に効果的な「ファスナー合流」についてご紹介しましょう。
文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock_BSDC/写真:Adobe Stock、写真AC
いち早い合流は、場合によっては渋滞を悪化させる行為
クルマの渋滞が発生する要因に関してはいくつかありますが、高速道路のインターチェンジなど、合流部で渋滞が発生する最大の要因は、本線走行中のクルマの速度に対して、合流車の速度が低いことにあります。走行車線のクルマが合流車にあわせて速度を落とすため、走行車線の流れが停滞し、今度は走行車線の停滞に気づいたクルマが追い越し車線へと移動し、追い越し車線の流れも遅くなり、渋滞へと発展してしまうのです。
本線が渋滞しているときも、合流車が無理やり規則性なく合流することで、走行車線のクルマはブレーキを踏む回数が多くなり、クルマの流れがさらに悪化、渋滞がよりひどくなってしまいます。合流する側のドライバーは、合流が可能なポイントがきたらいち早く合流してしまいたいと思いがちですが、これは渋滞をさらに悪化させてしまう行為なのです。
並走することで、自然な速度調整が可能になる
合流渋滞を発生させないためには、合流車は加速車線を活用してしっかりと加速することが必要。そしてもう一つ、合流車に意識してほしいのが「ファスナー合流」です。
ファスナー合流とは、合流ポイントでいち早く合流してしまうのではなく、合流車は加速車線の一番奥まで進んでから、ファスナーを閉めるように一台ずつ交互に合流する、という方法。加速車線と走行車線で、一定程度並走することで、合流するほうとされるほうで自然と速度調整ができ、流れを保ったまま合流することが可能になる、というものです。一台ずつ交互に合流することで規則性も生まれ、流れが詰まることを回避(もしくは緩和)することもできます。
その効果は実証済みで、NEXCO中日本が2019年に行った実証実験によると、交通量はほぼ同じなのに、合流する箇所にラバーポールを設置してファスナー合流を促したことで、渋滞による損失時間が約3割も減少したそう。渋滞区間の平均通過時間も、約13分かかっていたのが、約3分も短縮したそうです。
長く加速車線がある場所では、合流しようと停滞しているクルマを追い越して、その先で合流するクルマがあるなど、さまざまな場所で合流が行われることもありますが、ファスナー合流ではそうした状況も回避することが可能。一台ずつ規則的に合流することで、トラブルや事故の低減も期待できますし、渋滞が緩和されることで、ドライバーの疲労軽減、そしてCO2削減効果まで期待できます。
少しずつ認知されていくことで運転マナーとして定着していくはず
ただ、いくら効果的な方法だといっても、先行車が合流のために停滞している状況で、それを追い越して加速車線の先頭まで行くのははばかられますよね。高速道路会社も「高速道路を走る際のマナー」として、ファスナー合流を推し進めていますが、こうした「ズルをしている」「追い越して申し訳ない」といった心理が働くためか、さほど浸透していないのが現状です。
しかしながら、NEXCO東日本によると、NEXCO東日本管内の高速道路における渋滞損失時間は、コロナ禍以降増加傾向にあるとのこと。利用する側としても、クルマで移動するたびに渋滞に悩まされるのは、避けたいところですよね。
合流時に大切なのは、いち早く車線に入ることではなく、みんながスムーズに進めるようにすること。いきなり実行することは難しくても、少しずつ認知されていくことで運転マナーとして定着していくと思われるので、合流ポイントではぜひファスナー合流を心掛けるようにしてみてください。