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冬はクルマのドアを開けるのが恐怖でしかない! 「バチッ」とくる静電気がどうにかならないか考えてみた
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WEB CARTOP より

突然「バチッ」と訪れる静電気にビックリ


 寒い季節になってくると気になってくるのが「静電気」ですね。クルマに乗ろうとしてドアノブを触るときに、恐る恐る触ったり、熱いものに触れるときのようにサッと瞬間的にタッチしたり、あるいは服の袖を先に触れさせたりして少しでもあの「バチッ」という衝撃を和らげようとしているシーンをよく見かけるようになります。

 実際にカー用品店などに出かけると、この時期には静電気防止グッズの棚ができていたりして、それを見てもアレが苦手だと感じている人が多いんだなということが実感できますね。



 ここでは、ふだん何げに使っている「静電気」という言葉の意味から、静電気が発生する仕組みを知り、そんな静電気の衝撃を少しでも遠ざけたい、というテーマで、静電気を防止するための対策までを話してみようと思います。

■そもそも「静電気」ってなに?

 モノに触れるときに発生する「バチッ」という現象は「静電気」によるもの、というのはほとんどの人が知っていると思います。
ではその「静電気」が何なのかを説明できる人はどれだけいるでしょうか?

 文字を見ると「静かな電気」と書きますが、電気は分かるものの、「静か」とはどういうことでしょう?

 言葉の意味合いで言うと、電池やコンセントからの電源のように流れ続けるタイプの電気を「動電気」と言うようで、その逆にただ帯びている状態で留まっていて、放電によって解放されると安定する状態の電気のことを「静電気」と呼びわけているのだということです。



 意味を聞いてもストンと腑に落ちた感じはしませんが、科学用語というのはそういうところがあるので、まあそういうものだと覚えてください。

「動電気」は比較的電圧が低く、電流値が高い性質があるので電気を多く流せますが、「静電気」は電圧が高いわりに電流量は多くないので、(放電のショックの悪印象がありますが)人体が受けるダメージとしては大きくないという傾向があります。

 ちなみに雷は静電気が最大級に発生して放電する現象ですが、雲という広大な範囲で発生するためにエネルギー自体が膨大で、そのぶん電圧が10億ボルトというとんでもない値になるため、ダメージも甚大になるというわけです。

■あの「パチッ」という現象はなぜおこる?

 さてそれでは「静電気」が発生するメカニズムの話をしていきましょう。

「静電気」は別名「摩擦電気」とも呼ばれるように、物質同士が触れ合うとその表面で電子が移動してマイナスまたはプラスに極性が偏った状態になります。
電子はマイナスの極性を持っているので、電子が多く移動した先の物質はマイナスに帯電した状態となり、逆に電子が奪われた側の物質はプラスに帯電(電位に差が起きている状態)した状態になります。
この電荷が偏った状態を「静電気」と呼ぶのです。

 空気は絶縁体なので電気を流さないため、電荷が偏っていても他の導電物質に触れない限りはそのままの状態で留まっていますが、マイナスまたはプラスに帯電した状態の物質が、逆の帯電状態、あるいはニュートラルな電位状態の物質に接触すると、そこで電子が一気にプラス電荷側に移動していきます。



 それがあの「パチッ」という瞬間放電の現象なのです。

■物質には帯びやすい電荷の特性がある

 物質にはその組成によってプラスかマイナスのどちらかに電荷が偏りやすい性質にわかれます。

 たとえば人間の皮膚はプラスに帯電しやすい性質があり、金属はマイナスに帯電しやすい性質になります。
この組み合わせでは逆の電荷同士になるので、接触したときの静電気の放電が起こりやすいということになります。

 ちなみに絶縁体も静電気を発生させます。ゴム風船をセーターにこすりつけて髪に近づけると、フワッと髪が引き寄せられる場面を見たことがある人も多いでしょう。
絶縁体は電気を流しにくい性質なので電荷を帯びにくいのですが、摩擦によって電子が物質の表面を介して移動するため、他の物質とこすれ合う状況ではマイナスに帯電します。
ただ、放電もしづらいので、「パチッ」と一気に流れるようなことはあまり起こらないようです。

■じつはクルマは帯電していない?

 クルマはタイヤという絶縁素材で接地しているため、溜まった静電気をアースできずに帯電しているというイメージを持っている人も多いと思いますが、じつはそれは間違った解釈だという話があります。



 それはタイヤの黒い色に関係があります。タイヤは耐久性や耐候性を高めるためにカーボンを配合しています。
それがあの黒い色の理由です。
科学が好きなら当然の知識ですが、カーボンは電気を良く通す素材なので、この成分を伝って電気は地面にアースされているそうなんです。

 そのため、昔はよくクルマの後部に垂れ下げられてていた「アースバンド」といわれるアイテムはあまり効果がなく、徐々に廃れてしまいました。



 つまり、クルマのドアノブで「バチッ」となるのは、自分自身が帯電しているということが原因なんです。

身につけるものやアイテム利用で上手に放電して静電気を防ぐ


■静電気の対策を考えてみよう

 静電気の対策には大きくわけてふたつあります。ひとつは静電気を発生させないように工夫すること。もうひとつは静電気を地面や周囲に流してしまうことです。それぞれの対策方法を見ていきましょう。

○服の素材を考える〈発生を抑える〉

 服の素材には、帯電しやすいものとそうでないものがあり、さらにマイナスに帯電しやすいものとプラスに帯電しやすいものにわかれています。

◆帯電しにくい素材・・・綿や麻、絹などのおもに植物由来の素材。逆に動物由来や化学繊維は帯電しやすい
◆マイナスに帯電する素材・・・アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、アセテートなど
◆プラスに帯電する素材・・・ナイロン、ウール、レーヨン


 前述のように、マイナスに帯電する素材とプラスに帯電する素材がこすれ合うと静電気が発生しやすいため、たとえばウールのニットを着ていて、その上にアクリル素材の上着を羽織っているような場合は、動くだけで静電気を発生させるのでかなり注意が必要です。
上着を脱ぐときに盛大に静電気のフワッとした感触に包まれ、細かくパチパチいっているのが想像できます。
きっとその状態で外を歩いてクルマに触れたら、けっこう激しい「バチッ」が待ち受けているのではないでしょうか。



 静電気を発生させないようにするには、まずは綿や麻などの帯電しにくい素材を選ぶことです。
肌に触れるインナーウェアにこれらの素材を着用すれば、静電気対策のベースが整っている状態と言えるでしょう。

 また、プラスならプラス同士、マイナスならマイナス同士の素材を組み合わせると、異なる極性の組み合わせのときよりも静電気の発生をグッと抑えられます。

 出先で触れる物の静電気の帯電具合を調べることは難しいので、まずは自分自身が帯電しにくい状態で行動できるように気を配ってみましょう。
まずは着ていく服の素材が何でできているか、タグを見て確認するところから始めるといいのではないでしょうか。



○靴の素材を考える〈周囲に流す〉

 電子工作や電気工事の分野では「接地」のことを「アース」と呼びます。地面は電気を良く流す導体で、しかも質量が膨大なため、たとえ雷レベルの強大な静電気も軽く受け止めて中和します。

 人間の場合は、足もとが地面と接する部分になるので、帯電したとしても、地面と接していればアースされるので帯電は解消されます。
ただし、それは間に絶縁体がない場合の話です。
靴のソールの多くはゴムやラテックスなどの絶縁性の高い素材が使われているので、身体に溜まった静電気が上手くアースできないんです。



 対策は導電性の素材がソールに使われている靴を選ぶことです。ポリウレタンやEVAなどは導電性があるようで、静電気防止シューズなどはそういう導電性の素材を活用しています。また、革も導電性の素材なので効果があるようです。

○肌のうるおいをいつもリッチな状態にしておく〈周囲に流す〉

 空気が乾燥する時期に静電気が発生しやすいのは、身体に帯電した静電気が皮膚の表面から放電しにくくなるためです。
湿度が高い状態では導電性の高い水分が空中に多く漂っているので、身体から発生する静電気が常に放電されいる状態になり帯電しにくいのですが、空気が乾燥してくると水分が少なくなるため、身体から放電がおこなわれなくなってしまい、静電気を帯びやすくなるのです。

 なので単純な話ですが、放電するための皮膚の表面に水分をまとわせてやればいいということになります。
女性なら肌の保湿にかなり気を使っていることと思いますが、男性の場合も静電気対策のためには、保湿クリームや化粧水などを使っていつもしっとり肌をキープするというのは有効な手段と言えるでしょう。
その際は手や顔だけでなく、腕や脚など見えないところの保湿が効くということも覚えておきましょう。

○放電グッズを使ってみる〈周囲に流す〉

・放電ブレスレット


 けっこう古くからある静電気対策グッズがブレスレットタイプのアイテムです。
基本的な仕組みは、伝導性の高い素材を使って、静電気をブレスレット部から大気に放出させてやろうということのようですね。
放電する面積が少ないのでやや頼りない感じはありますが、カサカサになって導電性が失われた皮膚の代わりに放電してくれるのなら意味はありそうです。



・放電スプレー〈周囲に流す〉

 昨今、少し話題になっているアイテムがこのスプレータイプのアイテムです。
原理は導電性の高い水を衣類に吹きかけることで大気に静電気を放出させようということのようで、すぐに蒸発してしまわないように、グリセリンなどを配合しているのがポイントですね。

 常に身につけていないでも済む手軽さと、施工する対象を選ばないのも魅力のポイントなのでしょう。

・静電気除去シート&キーホルダー〈周囲に流す〉

 自宅やクルマのドアノブの脇に貼り付けて、パッドに触れることで静電気を逃がしてくれるアイテムです。
同じ導電性の素材ならドアノブも同じではないか? と思いますが、こちらは同じ導電性でもゆっくりと電気を流す素材とのことで、放電は行うけど「バチッ」っといわないよ、ということのようです。
ドアノブに触れる前に使うキーホルダータイプも原理は同じですね。



 ちなみにセルフのガソリンスタンドの放電パッドはまた別の仕組みです。
あれはしっかりと地面にアースされているので、効果はカンペキでしょう。



あとがき

 紹介した方法以外にも、帯電の状態を確認できるセンサー(業務用)や、帯電をLEDの点灯で教えてくれるライトなどがあり、物に触れる前に帯電しているかを確認しておくことで、放電してから物に触れるように対策することができるというのもあります。

 また、かなり原始的で衛生的にも疑問はありますが、ドアノブに触れる前に地面に触れるという方法も有効です。
地面が土ならカンペキですが、コンクリートやアスファルトは前出の放電パッドと同様にゆっくり電気を流すので「バチッ」のショックは防げます。


引用元:https://www.webcartop.jp/2023/12/1248362/


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