作動するからと一般道で使うのは基本NG! 超便利なACCだけど「頼りきって」事故っても責任はドライバーにある!!
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WEB CARTOP より

ACCは自動運転ではない
最近のクルマには衝突被害軽減ブレーキや定速走行・車間距離制動制御、追従機能、レーンキープ機能が付くACC(アダプティブクルーズコントロール)などの運転支援機能が付いている。なかには高度なカーブ、料金所手前速度抑制機能から、一定の速度でハンズオフ(手放し運転)ドライブさえ可能な車種もあるほどだ。それはそれで快適で運転ストレスを低減してくれる機能といえるのだが、過信は禁物だ。
たとえば一般的な(ハンズオフドライブ機能なし)ACCを作動させ、運転しているときに「警告が出るまでちょっとならハンドルから手を放してもいいんじゃね」とか、「ACCは一般道でも作動するから使えるよね」とか、「ACCが作動しているから短時間のよそ見運転はOKだよね」なんていう誤解をしている人もいるかも知れない。が、それらは全部NG、やってはいけないことなのである。
そもそも、現在の運転支援機能は、あくまでドライバーの運転を支援する機能にすぎず、運転操作の主体はドライバーであるということ。ACCにしても、カーブや料金所手前の速度抑制機能にしても、ドライバーが絶えず前方・周囲の状況を確認しつつ安全運転を行うことを前提としたもので、特定の条件下でシステムが運転制御を代替えする自動運転システムでは決してないのである。
国土交通省や自動車メーカーの注意喚起でも、「運転支援システムには機能の限界があり、故障していない場合でも、使用する環境や条件によっては、作動しない、または使用中に突然機能が停止することがある」と説明とされていて、ここがとくに重要なのだが、「その結果、衝突事故などを起こした場合でも、責任は運転者にある」ということ。
たとえば、運転支援システムが作動・機能しない(しにくくなる)状況の例として、クルマの急な割り込み、車線の白線が見えない場合、雨、雪、霧などの悪天候下がある。つまり、運転支援システムは、車両に搭載されたカメラやレーダーなどで周囲を監視して制御を行うわけで、カメラなどが適切に作動しない悪条件下では、システムが周囲の状況を正しく認識できず、制御を行うことが困難になり、また、機能が突然、停止することもありうるのである。
高速道路でACCを使い、ペダル操作から解放された運転をしているときでも、ドライバーが絶えず前方・周囲の状況を確認しつつ安全運転を行うことが前提であり、スマホの操作などもってのほかで、ナビ画面の注視もNG。道路交通法違反になってしまうから注意したい。高度な運転支援システム搭載車に、ドライバーを終始カメラでモニタリングし、前方を向いていないと警告が発せられる(そのままだと機能停止に至る)のは、そのためでもある。
ACCはあくまで”渋滞支援”機能
一般的なACCを使う上でとくに注意したいのは、高速道路、自動車専用道路のカーブ。設定速度内で一定速度、前車に追従して走ってくれるのが(渋滞追従も)ACCだが、カーブに差しかかったからといって、カーブを曲がるのに適切な速度まで車速を落としてくれるわけではなく、それまで追従していた前走車が、ACCのセンサー検知範囲から外れれば、設定上限の速度で(いきなり加速することもある)カーブに突っ込んでしまい、車線逸脱、壁やガードレール、隣のクルマに激突……という最悪な事態も起こりうるのだ。
しかし、ブレーキを踏むとACCの設定が一時的に解除されてしまうため、ブレーキを踏むことが面倒と思える人もいるかもしれない。なので、筆者の場合、カーブ手前でステアリングのACC速度設定スイッチで速度を落とすなどして、フットブレーキなしでカーブを曲がるのに安全な速度まで、ACCの制御で落とすこともあったりする。
ところで、ACCは、使おうと思えば一般道でも作動してしまう(できてしまう)。が、ただ、そんなACCは高速道路や自動車専用道路で使うことを前提に設計されているため、ACCのセンサーは車両前方(一定の角度まで左右にいる車両を認識できるが)に向けてセットされている。
そのため、一般道での交通環境下においては、前走車が頻繁に変わり、隣の車線からの急な割り込みも頻繁であり、ブレーキ制御が遅れたり、センサーによっては自転車やバイクの検知ができないこともあって、その使用は極めて危険なのである。
いずれにしても、現在の運転支援システム(高機能であっても自動運転機能では決してない)では、繰り返すけれど、運転操作の主体はドライバーであり、運転中は絶えず前方・周囲の状況を確認しつつ安全運転を行うことが不可欠なのである。
一定速度までのハンズオフドライブが可能な車種の高機能でも、それは渋滞支援でしかなく、それ以外の運転状況、速度でハンズオフするのは危険そのもの。高速道路や自動車専用道路でACCを使ってらくちんなクルージングをしているからといってよそ見をしていいわけではなく、ACCを適応範囲外の一般道で使うのも極めて危険な行為なのである。
運転支援の「支援」という意味、役割を、改めて頭に叩き込み、認識してほしい。とはいえ、先進運転支援機能・装備は、適切に使えばじつに便利で、安全運転に直結し、ドライバーの運転に関わるストレスを大幅に軽減してくれることは間違いないのである。