タイヤ水洗い厳守って本当? メンテによって財布が救われる!! 意外にお金のかかるタイヤを長持ちさせるコツ3選
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ベストカーWeb より
愛車の足元を支え、唯一路面に触れているタイヤ。重要なパーツであるにもかかわらず、そのお手入れは案外なおざりになりがちなもの。高額商品でもあるタイヤをできるだけ長持ちさせるために大切な日頃のケアとは?
文/井澤利昭、写真/写真AC、Adobe Stock
■日頃のメンテで性能や寿命の大きく変わる!? タイヤのお手入れが重要なワケ
走行中、常に路面と接しているタイヤには、土や砂、泥といった汚れが付着しやすい。山道や悪路を走る機会が多いクルマであれば、さらにその汚れはひどくなる。
それ以外にも、舗装された路面のアスファルトに含まれる油分やブレーキをかけたときに出るブレーキダストなど、走行中の足回りから発生するさまざまなものがタイヤには付着している。
こうした汚れはボディに付くホコリなどよりも頑固でなかなか落ちにくいうえ、タイヤはその素材が合成ゴムでできた化学製品であることもあり、ボディやガラスなどといったクルマの他の部分とは手入れの仕方も大きく変わってくる。
タイヤの汚れをそのまま放置してしまうと、性能を左右するグリップ力の低下が心配されるのに加え、素材であるゴムが劣化することで寿命が極端に短くなってしまう可能性もある。
タイヤの劣化は走行中のパンクなど大きな事故につながることもあるため、タイヤを常にベストな状態に保つ日頃のお手入れやメンテナンスが安全のためにも重要になってくるわけだ。
■汚れを落としてその性能を100%引き出す! お手入れの基本はまず掃除から
タイヤのお手入れでやはり大切なのが、その表面に付いた汚れをしっかりと落とすこと。つまり掃除だ。
タイヤを掃除する際はいきなりタイヤ本体を洗うのではなく、タイヤによって巻き上げられた泥汚れなどが付着しているタイヤハウスの内側をきれいいにするのがその第一歩。水を使って洗い流すのが基本だが、このとき高圧洗浄機などを使えばより効率的に作業を進めることができる。
タイヤハウスの内側がきれいいになったらいよいよタイヤ本体の洗浄に取りかかろう。
ここも水洗いが基本。高圧洗浄機を使ってもOKだが、あまり圧力が高い水流を当ててしまうとタイヤの表面を傷める可能性があるため、ノズルの先端がタイヤに近づきすぎないように注意しつつ、水圧を下げたり、拡散タイプのノズルを使って作業することが必要だ。
水の圧力だけで落ちない頑固な汚れは専用のブラシやスポンジを使うことになるが、ブラッシングの際はあまり強くこすらず優しく丁寧に作業するのがコツ。
水洗いをしながら、タイヤの溝に小石などの異物が挟まっていたり、キズや劣化によりヒビ割れなどがないかも合わせて確認しておきたい。
タイヤの洗浄は水だけで行うのが基本ではあるが、どうしても落ちない汚れがあるときは、薄く希釈した中性洗剤やタイヤ専用の洗剤を併用するのもありだ。
ただし洗剤を使った場合は、最後に水でしっかりすすいでおくのを忘れないようにしたい。洗剤の成分が残ったままだと、その影響でタイヤのゴム素材が劣化する可能性があるからだ。
また、しつこい汚れを落としたいからといってベンジンやアルコールなどを使うのは絶対にダメ。素材であるゴムの変質を招いたり、タイヤを守るために配合されている薬剤などを落としすぎ、ヒビ割れなどの原因になるからだ。
■きれいにしたい気持ちはわかるけど…過度なお手入れは性能低下や劣化の可能性も
タイヤをよりきれいにしたいからといって、ボディ用のワックスやコーティング剤などをタイヤに使うのはやめよう。
またタイヤ用とうたわれているツヤ出し剤や保護剤なども同様で、タイヤメーカー各社はその使用を推奨していない。
これは先ほども説明したベンジンやアルコールなどと同様で、タイヤの表面に染み出して劣化を抑える老化防止剤やワックスなどの成分を落としすぎてしまい、ヒビ割れなどの原因となることがあるためだ。
またトレッド面にこれらのケミカル剤が付着するとグリップの低下のなど性能面での影響があるため、どうしてもという場合は、サイドウォールのみに使用するだけにとどめたい。
同様に気をつけたいのがホイールを洗浄するための洗剤や、ツヤ出し&保護剤を使用する場合。
こちらもタイヤに付着してしまうと同じように劣化やトラブルの原因となる可能性があるため、使用する場合はできるだけタイヤに付かないように気をつけるとともに、付着してしまった場合はすぐさま拭き取るよう心がけたい。
タイヤの洗浄は頻繁にやりすぎると素材であるゴムの寿命を縮めてしまうこともあるため、あまり過保護にせず、汚れが目立ってきたタイミングで行うのが一番。どうしてもいうのであれば普段の洗車時はホースでの水洗い程度で済ませておくのがいいだろう。
■掃除と一緒にタイヤの減り具合や空気圧なども忘れずにチェック!
タイヤがきれいになったら、その他のチェックポイントも合わせて確認しておこう。
まずやっておきたいのがタイヤの摩耗具合を確認するスリップサインをチェックだ。万一このスリップサインが露出している場合は、残りの溝の深さが使用限界といわれる1.6mmを切ったことを示しているため、すぐさまタイヤを交換する必要がある。
スタッドレスタイヤに設けられたプラットフォームも同様で、この部分が露出したものは冬用タイヤとしては使用することができない。
また、空気圧のチェックも重要な項目。タイヤの空気は正常な状態でも自然に抜けていってしまうため、空気圧が低くなっていることに気付かずにいると、ハンドルを取られるといった走行面での悪影響だけでなく、燃費の低下や偏摩耗、パンクの危険性も高くなる。
タイヤの空気圧は、ディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなどで点検をお願いできるほか、店舗によってはセルフで行えるところもあるため、少なくとも1カ月に一度はチェックしたいもの。
空気圧が規定値より低い場合は充填する必要があるが、この作業を自分で行う場合は、運転席側のドア周辺に記載されているメーカー推奨の空気圧を超えないように注意したい。
タイヤの空気圧は高すぎても、乗り心地が悪くなったり、偏摩耗やパンクの可能性があるからだ。
スタッドレスタイヤへの履き替えなどもあり、タイヤへの注目度がいつもよりは高まるこの時期。その性能を十分に引き出すとともにより安全に長く使うためにも、このタイミングでタイヤのお手入れを考えてみるのも悪くないだろう。