スタッドレスタイヤでも止まらない!? 冬道で一番ヤバい“ブラックアイスバーン”の対策と運転テクニック
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ベストカーWeb より
雪が降った日はみんな慎重になります。でも、本当に事故が増えやすいのは「雪がやんだ次の日以降」。道路は乾いたように見えるのに、タイヤが急にスーッと滑る……その正体が“ブラックアイスバーン”です。しかも厄介なのは、ただの濡れたアスファルトと見分けがつきにくいこと。気づいた瞬間にはもう手遅れ、なんてこともあり得ます。今回はブラックアイスバーンが生まれる条件とどういった場所に発生しやすいのか、踏んでしまった時の立て直しまで、雪の翌日こそ役立つ実戦ノウハウとしてまとめました。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トップ画像:tkyszk@Adobestock)
ブラックアイスバーンとは?「濡れてるだけ」に見えるのが最大のワナ

ブラックアイスバーンは、“アイスバーンのなかでも薄い氷で路面が覆われたもの”です。アスファルトが濡れているように見えるのに、実は表面が凍っていて、タイヤがグリップを失いやすい状態になっています。
圧雪路のように「明らかに滑りそう」な見た目ではないからこそ、ドライバーの警戒心が緩むのが怖いところ。普通の雪道以上に危ないケースがある、というのもポイントです。
そして雪の翌日以降に厄介なのは、路面が“いったん溶けてから凍る”こと。日中に溶けた水分が、夜間の冷え込みで再凍結してアイスバーンになります。雪が残っていればまだ慎重になれますが、ブラックアイスバーンは「いけそう」に見せてくる。だからこそ、運転のスイッチを切らないことが重要です。
しかも、スタッドレスタイヤを履いていれば万能というわけでもありません。スタッドレスは冬道で必須の装備ですが、凍結路では効きが限定的になりやすく、過信は禁物。結局は、滑ることを前提にした走り方が必要です。
雪の翌日以降に増える理由はコレ!「溶ける→凍る」の繰り返しが危険を育てる

雪が積もった当日は、交通量が減ったり、クルマも歩行者も慎重になったりして、全体の速度が落ちやすい傾向があります。ところが翌日になると「もう大丈夫そう」と流れが戻り、油断が生まれます。ここが危ない。実際、雪が降った当日よりも翌朝や2~3日後にも、まだ道路上に残っているアイスバーンが怖い、という指摘があります。
都市部や幹線道路では除雪や融雪が進んで、一見すると走れそうな路面になりがちです。でも、日が当たりにくい場所では雪が溶け残り、夜間に再凍結して“見えない滑走路”ができる。つまり「全体としてはよさそう」なのに、「一部だけ凶悪」というムラが発生するわけです。
ブラックアイスバーンが本当に怖いのは、制動距離が大幅に伸びて止まりにくくなること。踏んだ瞬間にブレーキが効かないのではなく、“想定していた距離で止まらない”という形で事故につながります。交差点で止まれない、下り坂で速度が落ちない、カーブで思ったより膨らむ。これが一番ヒヤッとするパターンです。
そして、雪の翌日以降に事故が起きやすいのは、クルマの操作が雑になるからでもあります。雪道では急ハンドル、急ブレーキ、急発進といった「急」のつく動作が最大の敵。これは積雪路でも凍結路でも同じで、ブラックアイスバーンではなおさら効いてきます。路面状況が読みにくいぶん、操作は“ゆっくり・少なく・早めに”が基本になります。
ここに出たら要注意!ブラックアイスバーンが潜む「定番スポット」

ブラックアイスバーンは、どこにでも均一に出るわけではありません。むしろ“出やすい場所”が決まっています。
代表格が橋や陸橋です。風通しがよく周囲より気温が下がりやすいので、同じ地域でも橋の上だけ凍っていることがよくあります。路面が黒く見えても、橋の上では「凍っている前提」で走ったほうが安全です。
次に怖いのがトンネルの出入口。トンネル内は雪がなく走りやすいので、ついスピードが乗ります。でも出口で一気に外気にさらされ、そこが凍結していたら……これはかなり危険です。
出た瞬間にタイヤの接地感が変わるような感覚があれば、そこはもう“滑る路面”だと思ってください。トンネルを抜ける時は速度を落とし、アクセルの踏み増しを我慢するだけでリスクが下がります。
市街地で一番要注意なのは交差点と停止線付近。停止と発進を繰り返す場所なので路面が踏み固められ、ツルツルになりやすい傾向があります。停止線直前がアイスバーン化していることもあり、普段の感覚でブレーキを踏むと想定より止まりません。
ここで重要なのは“早めに、弱く、長く”ブレーキをかけること。止まる直前に強く踏むほど滑りやすくなるので、停止の作り方を変えるだけでも事故の芽を摘むことができます。

そして意外と見落としがちなのが、住宅街や脇道の日陰。ビルの陰や建物の影になっている路面は日中でも溶けにくく、雪が溶けても夜間の冷え込みで再凍結しやすい。幹線道路が乾いていても、一本曲がった瞬間にブラックアイスバーン、というのは冬の“あるある”です。
さらに時間帯でいえば、夜間から明け方が危険ゾーン。気温が最も下がり、日中濡れていた路面が凍結しやすくなります。朝イチの出勤や、夜の帰宅ルートは「目で見て判断しない」ことが大切。濡れに見える場所は“凍っているかもしれない”と疑うクセが、冬道の生存率を上げます。
もし踏んでしまったら?「滑った瞬間」にやるべきこと、やってはいけないこと

ブラックアイスバーンは見えません。だから“踏まない”のが最善ですが、現実には踏んでしまうこともあります。そのとき大事なのは、パニック操作をしないこと。滑った瞬間、身体は反射的にブレーキを強く踏みたくなりますし、ハンドルも大きく切りたくなります。でも凍結路で急操作は状況を悪化させやすい。
まず基本は「急のつく動作を避ける」。滑ったら、アクセルを戻し、姿勢を整え、クルマが落ち着くのを待つ。ブレーキは踏み足すのではなく、状況に応じて踏み方を穏やかにする意識が必要です。車間距離をいつもより長めに取っておけば、そもそも強い減速が不要になり、滑る場面そのものを減らせます。
坂道はさらに難易度が上がります。登りで止まると再発進が厳しくなりやすく、下りは後輪の接地感が落ちて横滑りしやすい。下りではエンジンブレーキを使い、速度を先に落としてから曲がる。これだけで“滑り始めてから慌てる”展開を回避できます。
そして冬道で忘れてはいけないのが、装備の正しさです。積雪や凍結があるのにスタッドレスタイヤやチェーンなどの滑り止め装置を装着せずに走ると、公安委員会が定めた危険防止の義務に違反することになる、という話もあります。
さらにノーマルタイヤで雪道を走行すると、反則金6000円(普通車の場合)が科せられるケースもある。これは高速道路や一般道を問わず適用される可能性があるとされており、「雪が少ないから大丈夫」は通用しません。ブラックアイスバーンは見えないぶん、装備と心構えは“多めに”でちょうどいいのです。
雪の翌日、道路が乾いて見えたときほど危険が潜んでいます。橋、日陰、トンネル出口、交差点、明け方。ここを“危険エリア”として頭に入れておくだけで、運転の組み立てが変わります。
冬道は、上手い人ほど飛ばさない。慎重さは臆病ではなく、経験者の強さです。「え、こんなところで滑るの?」をゼロにするために、ブラックアイスバーン対策を意識して走ってみてください。



































