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サンキューハザードは違反? 間違えると大事故につながる!?? ハザードランプの正しい使い方
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ベストカーWeb より


 道を譲ってもらった際などに行う「サンキューハザード」は、マナーのひとつとして定着しているが、実はこれは正しいハザードランプの使い方ではない? 今回は、ハザードランプについてもう一度考えてみよう。

文/長谷川 敦、写真/写真AC、Adobe Stock、アイキャッチ/vachcameraman@ Adobe Stock



■非常時を知らせるのがハザードランプ

 スイッチを押すと前後左右のウインカーランプが同時に点滅を開始するのがハザードランプ。その存在を知らないドライバーはまずいないと思うが、実際はどんなときに使う機能なのだろうか?

 ハザードランプの「ハザード(hazard)」は英語で、日本語にすると「危険」を意味している。

 日本では、危険を意味する英語は「デンジャー(danger)」のほうが知られているが、hazardが交通事故などの明確な危険を示すのに対して、dangerはより広い危険一般を指している。

 つまりハザードランプは、なんらかの危険を知らせるためのランプということになる。実際、ハザードランプのことを日本語では「非常点滅表示灯」と呼ぶ。

■ハザードランプを使う正しいタイミング



 道路交通法施行令には、非常点滅表示灯(ハザードランプ)の使い方について以下の記載がある。

 「自動車(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車を除く。)は、法第五十二条第一項前段の規定により、夜間、道路(歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道)の幅員が五・五メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない」(第十八条の二)

 「通学通園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、車両の保安基準に関する規定に定める非常点滅表示灯をつけなければならない」(第二十六条の三の二)

 つまり、一般の車両は夜間に幅5.5m以上の道路に駐停車する際にハザードランプの点滅が必要ということ。これ以外にも、次に紹介するタイミングでハザードランプを点滅させることが多い。

●クルマの故障により路肩に駐車するとき
 なんらかの原因でクルマが走行不能になり、路肩に停める際にハザードランプを使用する。これは特に高速道路で有効で、日中であっても後続車に停車を知らせるために点滅させる。

●高速道路で渋滞に追いついたとき
 高速道路で渋滞の最後尾に追いついてしまったときや、事故現場に近づいたときにハザードランプを点滅する。これで後続車に自車の減速を知らせる。

●レッカー車でのけん引
 故障してレッカー車でけん引されるクルマも、可能であればハザードランプを点滅させて、通常よりも遅い速度で移動していることを後ろのクルマに教える。

●駐車場で駐車するとき
 店舗などの駐車場で、特にバックで駐車を行う際にハザードランプを点滅させ、これから後進することをほかのクルマや歩行者に周知させる。

 上記のシチュエーションでハザードランプを点滅させるのが一般的だが、これらは道路交通法で定められたハザードランプの使用法ではなく、慣習として行われているものだ。

 とはいえ、上記の状況でハザードランプを使っても、すぐに道路交通法違反で検挙されることはないだろう。特に駐車場は私有地であることが多く、通常の道路交通法は適用されない。

■サンキューハザードは道交法違反?




 車線変更や合流の際に後続車に譲ってもらった際に、お礼を伝える意味でハザードランプを数回点滅させる。これがいわゆる「サンキューハザード」だ。

 サンキューハザードの発祥は1980年代のトラックドライバーからといわれていて、現在ではすっかり定着している。

 しかし、ハザードランプは本来駐停車時に使用するものであり、危険な状況を知らせるのが目的ではないサンキューハザードは、厳密にいえば道路交通法違反に問われても仕方ない。

 では実際にサンキューハザードが理由で検挙されるかというと、その可能性はきわめて低い。

 お礼であることが明らかな状況であって、数回の点滅後にハザードランプをオフにするのであれば、取り締まる側も特に問題視はしてないようだ。

 ハンドサインやアイコンタクトでお礼をするのが望ましいが、夜間や状況によってそれらの合図が伝わらないようであれば、サンキューハザードもありだといえる。

 ハザードランプでは違法性が気になる、でもお礼はきちんとしたいのであれば、市販の「ありがとうランプ」を装着するという方法もある。

 これはスイッチを入れるとリアウィンドウに取り付けられた表示板に「ありがとう」や「Thanks」などの文字が浮き上がるもので、通信販売やカー用品店で購入できる。

 なお、サンキューハザードは日本のみで通じる合図であり、海外では通用しないので注意が必要。

■ハザードランプが招く危険な状況

 最後は「こんなハザードランプの使い方はNG」という状況を考えてみよう。

●点滅させたままの走行

 停車時にハザードランプを使用し、そのままスイッチを切り忘れて発進してしまうことがあるが、これはかなり危険だ。

 後続のクルマはハザードランプが点滅していることにより、前のクルマが停車中だと判断して横を通過しようとするが、ここでいきなり発進すると接触する可能性がある。

 また、走行中にハザードランプが点滅しているクルマに追いつくと、そのクルマがすぐにどこかに停車すると思い、追い越してよいと考えるケースもある。

 しかし、ハザードランプ点滅車のドライバーに停車の意思がない場合、これもまたタイミングが悪いと接触してしまうかもしれない。

 停車状態から発進する際には、ハザードランプをオフにするのを忘れないように心がけたい。

●切り忘れによるバッテリーダウン

 ウインカーとは違ってハザードランプの作動中に大きな音が出ない。そこでドライバーがハザードランプをオフにするのを忘れて長時間駐車すると、バッテリーがあがってしまい走行不可になることもある。

 非常時用の装備であるハザードランプは、エンジンをオフにしても消灯しないしくみになっているため、切り忘れるとバッテリーを最後まで消費してしまう。

 実際ランプ類の切り忘れによるバッテリーダウンはよくあるトラブルだが、これを防ぐにはドライバーがクルマを降りる際にランプの消灯確認を行うのを習慣づけるしかない。

 うっかりは誰にでもあるが、それが重大な結果を招くことがあるのは、ハザードランプにかぎらず運転全般にいえる。だからこそ、小まめにチェックするのが重要になる。

 ハザードランプはその名称どおり、基本的に非常時に使用するものである。サンキューハザードも含めて、ハザードランプを使っていいかどうかの判断を慎重に行うのが交通安全につながる。


引用元:https://bestcarweb.jp/feature/column/753668


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