ケチるとかえって高額出費に! 寿命を縮める手抜きメンテナンスと放置リスク
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ベストカーWeb より

「ちょっとくらい我慢すれば…」と思ってやらなければいけないメンテナンスを後回しにしていませんか? そこで今回はクルマを長持ちさせるために重要なエンジンオイル交換、ブレーキ関連、バッテリーの交換時期・症状・費用を具体的に解説。ケチった分が後で跳ね返ってくる“放置リスク”を知れば、あなたのクルマも長く・安全に走るはずです。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トビラ写真:jozefklopacka@Adobe Stock)
エンジンオイルを交換しないで放っておくとどうなる?
エンジンオイル交換はいつすればいいのか? 現代のクルマだから1万5000km、1年はしなくてもいいという認識の人もいるでしょう。しかし、エンジンオイル交換のサイクルは一律ではなく、クルマの使い方、走行状況、オイルの汚れ具合によって変わってくる、ということを肝に銘じましょう。
今、ほとんどの新車のマニュアルを見ると、エンジンオイルの交換時期は環境対応のため、長くなっている。メーカーによって微妙に異なるが、次のように規定されている。
・ガソリンNA車/1万5000kmまたは1年
・ガソリンターボ車/5000kmまたは6ヵ月
・NA軽自動車/1万kmまたは6ヵ月
・ターボ軽自動車/5000kmまたは6ヵ月
高温かつ高回転となるターボ車はNAエンジンより交換サイクルは短く、さらにシビアコンディションだった場合は以下のようにさらに短くなる。
■シビアコンディションの場合
・ガソリンNA/7500km、または6ヵ月
・ガソリンターボ車/2500km、または3ヵ月
・NA軽自動車/5000kmまたは3ヵ月
・ターボ軽自動車/2500kmまたは3ヵ月
ここで「シビアコンディション」という見慣れない言葉が出てきた、と思った人がいるかもしれない。シビアコンディションは読んで字のごとく、シビアな使われ方。1回あたりの走行距離が8km以下、悪路での走行が走行距離の30%を占める、年間走行距離2万km以上、1日のアイドリングの累積時間が2時間程度などが該当します。
また、ハイブリッド車は、エンジン停止時間が長く、エンジンオイルが温まりにくいうえに、走行中にエンジンを何度も始動と停止を繰り返しているため、エンジンオイルにとってはシビアなコンディションとなっています。
ハイブリッド車は、エンジンとモーターの切り替え運転が頻繁で、エンジンが低負荷で長時間作動するシーンが多く見られるため、オイルが冷えたまま使われる時間が長く、劣化スピードが意外と早いのです。特に猛暑時は負荷も高まりやすいため、半年または5000kmごとの交換が理想的です。
上記のようにメーカーが推奨しているエンジンオイル交換サイクルであれば問題ないと思いますが、クルマを労わり、長持ちさせたい人には1万kmまたは1年ごとでは物足りないハズ。
やはり愛車を長持ちさせたいなら、夏と冬、1年に2回、走行5000kmごとの交換をおススメしたい。ちなみにオートバックスでは5000kmの走行、または6ヵ月を目安としたオイル交換を推奨しています。
また20年以上前のクルマの場合、夏場にヒート気味なら「20W-40」や「15W-50」といった硬めのオイルを、セルの回りが重くなる冬場は「10W-30」といった柔らかめを選定するといいでしょう。
ちなみにシビアコンディションの場合、以下のようなチェックする整備項目が増えます。クルマに与える負担がいかに重いのかわかることと。もし、シビアコンディションに該当してしまっても、シビアコンディションの交換サイクルでエンジンオイルを交換し、点検すれば心配することはないでしょう。
■ステアリングギヤボックスの取付けの緩み
■ロッド、アーム類のボールジョイントのダストブーツの亀裂、損傷
■ブレーキドラムの摩耗、損傷
■ブレーキディスクの摩耗、損傷
■サスペンションの取付部、連結部の緩み、ガタ
■サスペンション各部の損傷
■ドライブシャフトのユニバーサルジョイント部のダストブーツの亀裂、損傷
■燃料漏れ
シビアコンディションではなくても、自動車メーカーが指定するオイルのグレードや粘度、交換頻度を参考に、それと同等以上の品質のオイルを同じように交換して、エンジンの良い状態を長持ちさせることを心がけましょう。
オイル交換を先延ばすと起きる具体的トラブル
オイル交換を怠ると、下記のような問題が発生します。
・オイル劣化/スラッジ蓄積:燃焼の残留物や金属摩耗粉などがオイル中に溜まり、洗浄力が落ち、潤滑性も低下します
・エンジン内部摩耗の加速:シリンダー壁、ピストンリング、バルブなど摩擦が増える部品が傷みやすくなります
・燃費悪化・動作不良:始動時のセルの回転が遅くなったり、アイドリング時のガタつき・冷間始動時の異音など
・最悪、エンジン焼き付き/故障:潤滑が不十分な状態が続くと、金属どうしが直接接触、過熱等で重大故障。修理費用は数十万円規模になることも
オイルフィルター(エレメント)は、オイル中のゴミ・スラッジ・金属片などを除去する役割があります。オイル交換2回に1回、または1年に1回といった頻度でフィルター交換が推奨されています。
オイルフィルター交換を怠ると以下のようになります。
・新しいオイルを入れても古いフィルターが汚れていてすぐにオイルを汚す→オイル交換の効果半減
・フィルター詰まりも招き、オイル圧力が上がったり、バイパス機構が作動して無ろ過のままオイルが回ることも
・オイルが適切に循環せず、潤滑・冷却機能の偏りが生じ、エンジン内部の特定部分だけが過度に摩耗する
これらもまた、長期的には故障率アップ・寿命短縮につながります。
バッテリーが弱くなっても放置 結局新品を買うハメに
酷暑のなか、エアコンをガンガンかけて、オーディオなどの電装品を使用することは、バッテリーにいいハズがありません。そこでまずはバッテリー劣化を早める典型的な要因と、バッテリーの寿命が近づくと出る症状を以下に書いておきます。
■バッテリー劣化を早める典型的な要因:
・短距離走行が多く、走行中にバッテリーが十分充電されない
・常時電装品(ライト・オーディオ・ドラレコなど)や室内灯の消し忘れ等で放電過多
・クルマを長期間使わない(週に一度も乗らないなど)と自然放電やセルフ放電で容量低下
・寒冷地や高温・湿度の高い環境で過酷な温度ストレスがバッテリーにかかる
・アイドリングストップ搭載車で頻繁なエンジン始動停止を繰り返すが、バッテリーの性能/容量がそれに追いついていない
■バッテリーの寿命が近づくと出る症状
・エンジンをかける時、セルモーターの音が弱くなったり、回るのが遅い
・ヘッドライトや室内灯の明るさが少し暗く感じる、または点灯に時間がかかる
・アイドリングストップ機能が働かなくなる(搭載車両の場合)
・電装品(パワーウィンドウ等)の動作が少し重く感じられる/遅くなる
・バッテリー本体の外観異常:ケースが膨らんでいる、端子の腐食・接触不良、液量変化(液式の場合)など
バッテリー交換費用とJAFのロードサービス内容
バッテリーの交換費用の相場は車種・バッテリーの種類によって幅がありますが、一般的なガソリン車用バッテリー本体は約4000円〜4万円のケースが多く、アイドリングストップ車対応・純正品だと高くなります。
工賃(交換作業費)は500円~3000円程度が多く、車種・設置場所・性能によってはもう少しかかることも。 廃棄費用:無料~1000円程度という業者が多い。
JAFのロードサービスに出動を頼んだ場合、バッテリーの故障や不具合が原因でのバッテリー上がりの場合、部品交換が必要となるため、部品代は別途実費として支払わなければなりませんが、単純なバッテリー上がりなら、無料で対応してもらえます。
一方、JAFの会員になっていない場合、ロードサービスを利用することは可能ですが、別途費用が発生します。バッテリー上がりの場合の費用は場所や時間帯によって異なります。例えば8時~20時の時間帯に一般道で修理してもらう場合は、基本料8380円+作業料4750円=1万3130円の料金が発生します。
ブレーキパッドを代えるのを伸ばしたばかりにローターを交換するハメに
ブレーキ関連パーツはメンテナンスを怠れば命に関わるだけに重要なものです。ブレーキパッドおよびブレーキローターから異音が発生したらすぐに整備工場で修理していただきたい。
とはいえ、普通の人はこのヤバい状況がわからない場合が多い。そこで、ブレーキ関連の異音はどんなものがあるのか紹介していきたい。
・キーキー音:金属(バックプレート等)がローターに当たり始めているサイン。パッドが摩耗限界に近づくほどこの音が出やすい
・ブレーキを踏んだ時の振動(ジャダー):ローターの歪み・厚みの偏り・熱膨張・ヒートクラックなどが原因で、制動時にペダルに振動が伝わる
・制動距離の変化・ブレーキの踏み心地が異なる:初期制動が弱くなったり、踏み込む感触が変わる
パッドの厚みは、新品のブレーキパッドは約10mmの厚さがあり、これが2〜3mmまで摩耗すると交換時期で一般的に走行距離3万〜4万kmが目安といわれています。
十分であればローターはある程度保護されますが、パッドが薄くなるとローター表面に摩耗や溝ができやすくなります。これを放っておくと以下のようになります。
・ローター表面に深い溝・刻印状の傷→研磨では回復できない状態となる
・ローターの厚みが規定値を下回る→使用限界となり、強度・熱変形耐性が落ちるため、安全性に関わる重大な問題
・熱を持ちやすくなりヒートクラックなどの損傷が起きやすくなる。
では最後にブレーキパッド、ローターの費用目安を紹介しておこう。ブレーキパッド交換費用は、国産車であれば前輪1セット(左右)で、部品代+工賃で 数千円〜2万円前後が一般的。
当然、車種・パッドの材質(ノーマル・セミメタル・セラミック等)で価格差はありますので、前もって愛車の部品代+工賃は頭に入れておきましょう。
一方、ブレーキローター交換費用の目安は、1輪(片側)でのローター部品代が 約1万円〜2万円、工賃が約4000円〜5000円程度。合計で1万4000円〜2万5000円/1輪 というケース。 フロント一式・左右両輪での交換なら 約2万8000円~5万円、4輪交換すると 5万円~10万円。程度の範囲になることも。
今すぐ実践!ケチでもコスパ高く・寿命を伸ばす賢いメンテ法
読者の皆さんが“ケチ”したくなる気持ちは理解できます。でも、メンテを適切にやれば、出費を抑えつつ寿命を延ばし、安全で快適なカーライフを維持できます。
メンテナンススケジュールを定着させましょう。半年毎のオイル交換サイクルを手帳・スマホ・車検時の整備記録に仕組み化。バッテリー交換時期(おおよそ2〜3年)をカレンダーにマーク。ウェブリマインダーに設定しておくのも有効です。
1:コスパを意識して部品・作業先を選ぶ
・オイルは全合成油が高いが寿命が長く、燃費改善の効果があるものも。用途に応じて選択
・パッド・ローターも信頼性のあるメーカーを選び、ノーブランドは避ける。初期は高くても長く使えれば割安になる
・バッテリーは“容量・始動性能・耐寒性”を見て選ぶ。アイドリングストップ対応車なら専用バッテリーを選ぶこと
2:定期点検を怠らない
・オイルフィルターの目詰まりや汚れは、目視でできる簡易チェックを月1程度で
・バッテリーの端子・ターミナルの腐食、液式種類なら液量確認
・ブレーキパッドの残量を見たり、ローターの状態(溝・滑り具合・変色など)をサービス工場で点検
3:異常の予兆に敏感になる
・始動時・ライト点灯時・制動時など、“いつもと違う”音・感触に注意。キーキー音・振動・遅れなどはサイン
・放置する前に相談できる整備店を一つ常に見つけておく。見積もりを取る習慣をつける
4:キャンペーン・会員特典を使う
・オートバックスなどでは「メンテナンスオプション」「会員制度」でオイル交換・フィルター交換の工賃割引や無料特典がある。カー用品店・ディーラー・整備工場でのセール情報をチェック。ネット通販で良質なバッテリーを買って、作業だけを依頼するパターンもコスト削減に有効。
総まとめ:先延ばしは「見せかけの節約」でしかない
この記事で挙げた3大メンテ(エンジンオイル+フィルター、バッテリー、ブレーキパッド/ローター)は、クルマの寿命・安全性・維持コストに直結するものです。「ちょっと待てば」「まだ大丈夫だろう」と思って放置するたびに、壊れる可能性・修理コスト・安全リスクが積み重なっていきます。
・ケチって得するのは“初期費用だけ”
・放置のツケは時間と共に重くなる
・適切なタイミングでの予防メンテナンスが、結果的に“最も節約できる”選択肢
あなたのクルマが今どのくらい“手抜きメンテ”状態か、まずはチェック項目をひとつずつ確認してみてください。それだけで泣きを見るような出費を未然に防げる可能性が高まります。